金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2008年10月27日

播種性血管内凝固症候群(DIC):概念(図解1)

DIC1

 適切な治療を行う上でも、DICの病態を理解しておくことは重要です。

播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)とは、基礎疾患の存在下に全身性かつ持続性の著しい凝固活性化をきたし、全身の主として細小血管内に微小血栓が多発する重篤な病態です。凝固活性化と同時進行的に線溶活性化がみられますが、その程度は基礎疾患により、あるいは症例ごとに相当の差異がみられます。

微小血栓多発の結果として、しばしば血小板や凝固因子と言った止血因子が低下します。このよな病態を、消費性凝固障害(consumption coagulopathy)と言います。

この消費性凝固障害と、線溶活性化があいまって出血症状をきたします。
従来、DICにおいて出血症状がみられる理由としては、消費性凝固障害が強調されてきましたが、管理人らはむしろ線溶活性化の要素の方が大きいと考えています。

その理由は、同じような血小板数低下がみられたような症例を比較した場合でも、線溶活性化が高度なタイプのDICでは出血症状が著しいのに対しまして、線溶活性化が抑制されたタイプのDICでは意外と出血症状がみられないからです。

出血も目で見てわかる出血(皮下出血など)と、目で見て分からない出血(脳出血など)がありますが、後者の方がより怖いということができるでしょう。

微小血栓が多発した結果として、重要臓器における微小循環が起きますと臓器不全をきたします。
循環障害も目で見てわかるもの(四肢末梢循環不全など)と、目で見て分からないもの(腎糸球体フィブリン沈着など)がありますが、後者の方がより怖いということができるでしょう。

この、出血症状と、臓器症状は、DICの二大症状と言われています。

 

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:16| 播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解) | コメント(0) | トラックバック(0)

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