金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2017年1月14日

伝統と文化のまちづくり(17) 観光のあり方

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会:平成28年7月17日(日)東急ホテル

伝統と文化のまちづくり: 山出保前金沢市長(インデックス)

特別講演                     
「伝統と文化のまちづくり」(17) 観光のあり方

石川県中小企業団体中央会会長、前金沢市長      
山出 保


ところが、ここに来て、どうも町が「危ないぞ」ということになりました。
それは近江町市場へ行ったら大勢観光客が来られて、そのためか、地元の人が行きづらくなりました。金沢らしさの一つ「親しみ」に問題が出てきました。
たくさんお客がくるから、何でも売れば良いとなってきたら、品質への「こだわり」から遠ざかります。

こういうことが今、非常に困ったこととして起きています。
これを金沢市民が心得なきゃいけないと思います。
儲かりさえすれば良い、そして、ホテルの代金を上げると、悪い印象だけがお客様に持たれて、これじゃあ長くお客様が来てくれません。

町が持続するにはどうすれば良いかですが、私はこれをこういう言葉で言ってるんです。
「自制の論理」です。
自らを制御する論理、お互いに自分を抑えると言うことがなかったらだめだと思います。

近江町市場はたくさんお客さんが来て下さって良いけど、これかもずっと近江町市場が栄えていくためには、やはり値段の点とか、応対とかそういうことについて、自分だけ良いというのではいけないよと、こういうことを誰かが呼びかけて教えるべきと思います。
私もその1人かもしれませんけど、しかるべき立場のそういう人たちがちゃんと教えていかなければいけません。


さて最後によく市民の皆様から何気なく「金沢は古都」だという言葉を聞きます。

しかし本当にそうだろうかなと思います。
冒頭に言いましたように、金沢は14代280年間続きました。
明治になって今日まで150年間です。
足して430年間です。
奈良は1300年間、京都は1200年間、鎌倉は800〜900年間です。
ですから金沢を古都だというのは今日からやめましょう。
金沢を古都とは私は、恥ずかしいと思っています。

もう一つ「金沢は小京都」とよく言います。
これも私は如何なものかなと思います。
京都はお公家の文化です。
金沢は侍の文化です。
文化の本質が基本的に違うのです。

この前、金沢工業大学の先生で、先日まで京都に住んでいて、金沢に移り住んできて下さった方がおられまして、こう言うことを話されました。
「京都に住んでいて感じることは文化と庶民の間が離れている。金沢へ来ると文化と庶民の間が近く感じる」
そういうことを私に言われました。

ある作家は、こう言いました。
「京都は文化を売るけれども、金沢は生活に使っている」と。
私はそうだろうと思います。

昨年、「京都ぎらい」という本が出ました。
大変売れた本です。
これ、京都大学の先生が書いたのですが、私は読んでなるほどと思いました。

どういうことが書いてあるかと言ったら、京都は洛中、洛中とは御所の近辺です。
御所の近辺、ここが京都なのです。
ここからちょっと離れると、別に見られると。
だから京都は嫌いなのだと。
京都大学の教鞭をとった人がそういうことを書いたのでございます。
私もなるほどと思いました。

金沢にはそういうことが無いわけでございまして、そのほか、金沢は古都ではないですよと、小京都でもないですよと、金沢はどっちかというと江戸に近いと思います。

ところが、江戸は、戦争で壊れて全部無くなって新しいものしかありません。

これらから私は、「金沢は金沢です」と言いたいと思っているんです。

「金沢は金沢だ」と言うことを申し上げて終わらせていただきます。

拙い話を聞いて下さって有難うございました。

伝統と文化のまちづくり: 山出保前金沢市長(インデックス)

<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:07 | その他

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