金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2008年09月19日

便潜血:便ヒトヘモグロビン検査の盲点(胃癌の見落とし)

臨床検査医学会
便潜血
検査は、消化管出血の有無をチェックする上で重要なスクリーニング検査です。

ドック、健康診断などでも採用されています。

最近は便潜血検査と言えば、便ヒトヘモグロビンを連想すると思いますが、盲点も理解しておく必要があります。

 

触媒法(オルトトリジン法、グアヤック法):
便中ヘモグロビンから生成したヘマチンの触媒作用を利用して血液を検出します。
管理人が今でいう研修医時代(20数年前)はもっぱらこの検査のみでした。当時は主治医が便潜血検査を行うことになっていました。数えきれないくらい自分の手で便潜血検査をしてきました。青春時代の思い出が、ほろ苦い香り(?)とともに蘇ってきます。

長所:オルトトリジン法は感度が良く、グアヤック法は特異度が高いため、通常両者を組み合わせて行います。消化管全体の出血の有無のスクリーニングに適しています。

短所:食事内容(肉食:肉食中の動物性血液)や薬(鉄剤)により偽陽性になることが問題点です。食事内容で偽陽性にならないように、便潜血食という特別食がありました。この短所をクリアするために、便ヒトヘモグロビン検査が開発されました。


免疫法(便ヒトヘモグロビン):

免疫学的に便中に人のヘモグロビンが存在するかどうかを検出します。健康診断で便潜血と言えば、通常こちらの検査です。

長所:食事や薬による偽陽性がないことです。便潜血食にして検査する必要もありません。

短所:胃からの出血があった場合でも、便ヒトヘモグロビン陰性になってしまうことがあります。ヘモグロビンが、胃酸、消化酵素、細菌の作用によって変性してしまうためと考えられています。たとえば、進行性胃癌であっても便ヒトヘモグロビンで見落とされたという事例が発生しているようです

 

まとめ
便ヒトヘモグロビン検査の限界(弱点)を知った上で、適確に検査を評価したいところです。なお、便ヒトヘモグロビンにかぎらず、どの検査についてもその検査の弱点を知るということは、適確に結果を評価する上で重要だと考えられます。

 


(補足)
吐物中に血液の混入があるかどうかで潜血反応を行う場合にも注意が必要です。同じ理由で、免疫法(便ヒトヘモグロビン)では偽陰性になる可能性があります。日本臨床検査専門医会HPQ&A でもこの問題点が取り上げられています。

 

なお図は、日本臨床検査医学会のロゴマークです

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:12| 医学全般 | コメント(0) | トラックバック(0)

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