金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2008年11月11日

播種性血管内凝固症候群(DIC):線溶阻止因子PAIの役割(図解13)

DIC13

 

DICにおける凝固活性化は、DICの最も本質部分と言うことができます。前回も記事にさせていただいたように、DICにおいては必ず凝固活性化マーカーTATが上昇します。

しかしながら、線溶活性化は基礎疾患によって相当の差異がみられます(PICで評価できます)。どうして、凝固活性化が同程度であったとしても線溶活性化は大きく異なるのでしょうか?

これは、線溶阻止因子であるプラスミノゲンアクチベータインヒビター(plasminogen activator inhibitor:PAI)の役割が大きいことが分かってきました。上図を用いて、PAIの説明を試みたいと思います。

血管内皮から組織プラスミノゲンアクチベータ(tissue plasminogen activator: t-PA)が産生されますと、t-PAはプラスノゲンをプラスミンに転換します。そしてプラスミンが血栓(フィブリン)を分解しますと、血栓の分解産物であるFDP(Dダイマー)が形成されます。

PAIは、t-PA同様に血管内皮から産生され、t-PAと1:1結合することで、線溶を阻止します。ですから、PAIの産生が亢進した症例においては、線溶に強いブレーキがかかりますし、一方PAIの産生があまりない症例においては線溶が抑制されにくいことになります。

さて、基礎疾患別にみたPAIの産生具合はどうなっているのでしょうか?次回の記事に続きます。

 

 

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播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解)」←  クリック(1)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 07:02| 播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解) | コメント(0) | トラックバック(0)

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