金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2008年09月27日

プロタミン:ヘパリンの中和

プロタミン

 

プロタミン(ヘパリンの中和薬)

プロタミンはヘパリンの中和薬として良く知られています。

推薦図書:「臨床に直結する血栓止血学

未分画ヘパリン(標準ヘパリン)に対する中和効果は充分ですが、低分子ヘパリンフラグミン、クレキサンなど)に対する中和効果は不十分で、6割程度の中和効果とされています。また、フォンダパリヌクスアリクストラ)に対する中和効果はありません。

プロタミンの作用機序は、プロタミンがヘパリンとイオン結合し、抗凝固活性を欠く安定複合体を形成するというものです。なお、ヘパリンが存在しない時には血小板やフィブリノゲンなどのたん白質と相互作用しそれ自体で抗凝固活性を示します。ですから、ヘパリンが投与されていない状態で、プロタミンが投与されてしまいますと、プロタミンは抗凝固薬になってしまします。

プロタミンの副作用出現は低頻度ではあるものの、ショック、血圧降下、肺高血圧症、呼吸困難、徐脈、一過性皮膚潮紅温感、悪心、嘔吐などが知られています。

ただし、管理人らは上記の副作用よりも、ヘパリン類が投与されている患者のほとんどが明らかな凝固活性化状態にあることを留意すべきと考えています。安易なプロタミンの投与は血栓症を誘発する可能性があるのです。多少の出血症状によっても致命症になることは例外的ですが、血栓形成はわずかな量であっても致命症になることがあります。

蛇足ながら、管理人は、20数年の臨床経験のなかでプロタミン使用はごく少数回のみです。心臓血管領域では術後のヘパリン中和にプロタミンは不可欠だと聞いていますが、ヘパリンの中和が悪影響を及ぼす場合もあることに留意すべきだと思っています。

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:11| 抗凝固療法 | コメント(0) | トラックバック(0)

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