金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2009年05月13日

気道疾患:金沢大学 呼吸器研究室グループ紹介(1)

同種造血幹細胞移植&ワクチン療法:金沢大学 血液・移植研究グループ紹介(3)から続く


この度は、金沢大学血液内科・呼吸器内科(第三内科)の呼吸器研究グループの研究室紹介をさせていただきます(今回は第1回目)。

血液・移植研究グループと同様に、金沢大学第三内科の最新同門会誌からの改変です。ただし、執筆時期と同門会誌発刊時期との間に時間的な幅があるために、必ずしも最新研究情報の紹介とはならないことをご容赦いただければと思います。


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ガイドライン:咳嗽の診断と治療 
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呼吸器内科は専門的に実践しようとすると大変ハードな領域です。血液内科、循環器内科などと同様にチーム医療が必要です。北陸の各地区に原則1つの専門呼吸器内科部門を維持すべく地域中核病院の特化を進めています。この場合、1部門に呼吸器内科医3名以上を原則としています。

さて、呼吸器研究グループには現在、気道疾患グループ、肺疾患(間質性肺炎など)グループ、肺癌グループの3つのサブグループがあり、臨床、研究を精力的に遂行しています。


<気道疾患グループ>


慢性咳嗽、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に関して基礎的・臨床的研究を継続しています。「アトピー咳嗽の確立」と「慢性咳嗽診療の標準化」に取り組み、国内外をリードする我々のグループにとって、各々の疾患における咳嗽の発生機序の解明と治療法の開発は義務となっています。

アトピー咳嗽に関する基礎的研究は、
「アレルギー機序による咳感受性亢進と各種免疫調整薬の影響」(徳田先生)
「咳喘息の咳嗽発生機序に関する研究」(大倉先生)
が順調に進んでいます。

動物実験では、気管支平滑筋収縮がAδ神経線維を刺激して咳嗽を発生するという新事実を突き止めました(大倉先生の学位論文)。

臨床研究では、気管支平滑筋収縮による咳嗽反応に、疾患による特徴があるという興味ある成績が出つつあります。

慢性気流制限(いわゆる慢性閉塞性肺疾患:COPD)を来す機序は明らかではありません。とくに、気管支喘息の慢性気流制限は一部の患者さんでのみ進行します。この規定因子が、好酸球性気道炎症のバイオマーカーである呼気NO濃度ではなく、吸入ステロイド薬を中心とする長期管理によっても残存している気道過敏性亢進であることが判明しました(大倉先生)。

徳田先生はアトピー咳嗽の研究と平行して、「TNF-α(COPDで増加)とIFN-γ(ウイルス感染で増加)によるToll-like receptor 2の発現とその制御」について検討を進め、その成果が出つつあります。

(続く)

肺疾患(間質性肺炎):金沢大学 呼吸器研究室グループ紹介(2)







【リンク】

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:45| 呼吸器内科