金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年01月11日

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)と頭蓋内出血(脳出血)の報告

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)症例で、頭蓋内出血(脳出血)をきたすことは稀ですが、一旦発症しますと予後不良になりますので、注意が必要になります。

そのような観点から、ITPの患者さんで脳出血を発症しやすい要素を前もって知ることは意義深いと考えられます。

小児ITP症例を対象とした検討が、最近Bloodに報告されましたので、紹介させていただきます。


「小児ITP症例において頭蓋内出血をきたした症例の解析」


著者名:Psaila B, et al.
雑誌名:Blood 114: 4777-4783, 2009.

<論文の要旨>

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)における頭蓋内出血(ICH)は、まれですが重大な合併症です。著者らは、米国において1987〜2000年の間にICHをきたした小児ITP40症例の解析を行っています(対象にITP80例)。

その結果、ICHの発症率は0.19〜0.78%と考えられました。

ICHを発症した症例における血小板数は、90%の症例で2万/μl未満であり、75%の症例で1万/μl未満でした。

ICHを発症したうち18例(45%)の小児ITP症例において、ITP診断の7日以内の発症でした。

これらのうち10症例において、ICHがITPの初発症例でした。12症例(30%)の患児においては慢性ITPでした。

ICHをきたしたITP患児のうち、33%では頭部外傷、22.5%では血尿を併発していました(対象群ではそれぞれ、1例、0例)。ICH発症例での死亡率は25%であり、25%では神経学的な後遺症が残存しました。

以上、血小板数低下が高度なITP患児のうち、頭部外傷や血尿が見られる症例ではICH発症のリスクが高く、より強力な治療が必要と考えられました。




特発性血小板減少性紫斑病(ITP)症例に対する治療(参考:ピロリ菌とITP)が奏効して血小板数が速やかに回復するのが理想ですが、本疾患は難病指定疾患でもあり、治療反応が得られにくいことも少なくありません。

頭部外傷があれば注意が脳神経系に向かいやすいと思いますが、血尿出現例でも注意が必要ということだと思います。



【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 02:48| 出血性疾患