金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。
<< 前のエントリトップページ次のエントリ >>
2013年03月21日

血液型(ABO型)と出血

論文紹介です。

参考:血友病後天性血友病rFVIIa血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)

関連記事:血液型O型の人はvWF活性が低い鼻出血(鼻血が止まらない)


血液ABO型と出血との関連

著者名:Dentali F, et al.
雑誌名:Semin Thromb Hemost 39: 72-82, 2013.


<論文の要旨>

血液O型以外の症例においては、静脈血栓塞栓症や動脈血栓症が多いという報告があります。

一方、血液型と出血合併症との関連は不明です。

著者らはこの点を明らかにするために文献のメタ解析を行いました。


MEDLINEおよびEmbase databasesで調査を行いました(1946年〜2012年3月)。

出血している患者の血液型の分布と、出血合併症のないコントロール群での血液型の分布を比較しました。

調査者2人が独立して論文を選択して、研究の性格、質、結果を検討しました。


その結果、臨床研究22が抽出され、出血患者9,468人、コントロール420,000人が対象となりました。

出血患者でO型であった割合は、コントロール群でO型であった割合よりも有意に高い結果でした(OR1.33)。


今回の多数例を対象としたメタ解析の結果より、血液型O型の人は、潜在的に出血しやすい遺伝性素因を有しているものと考えられました。


今回の知見を検証するためには、質の高い前向き試験が必要と考えられました。



<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集

参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:41| 出血性疾患