金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2013年05月27日

新鮮凍結血漿製剤(FFP)(3)凝固因子製剤

新鮮凍結血漿製剤(FFP)(2)非適応より続く。


新鮮凍結血漿製剤(FFP)(3)凝固因子製剤

第VII、VIII、IX、XIII因子など、安全で効果的な血漿分画製剤や遺伝子組み換え製剤など代替医薬品があればFFPは用いません。

他のビタミンK依存性凝固因子欠乏症(第II、第X因子)は、プロトロンビン複合濃縮製剤の適応が考えられます。

また、低・無フィブリノゲン血症、フォンヴィレブランド病には、濃縮フィブリノゲン製剤、フォンヴィレブランド因子を含む第VIII因子濃縮製剤(コンファクトF)を用います。

第XII因子、高分子キニノゲン欠乏症、プレカリクレイン欠乏症は出血傾向に乏しいのでFFPの適応となりません。


後天性TTPの場合、ADAMTS13の補充と自己抗体の除去を企図し、FFPを置換液とする血漿交換を行います。

先天性TTPはADAMTS13補充目的のFFP単独投与で良いです。

なお、後天性溶血性尿毒症症候群に対するFFPを用いた血漿交換療法の有効性は不明です。


FFP使用前にプロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)を測定します。

播種性血管内凝固症候群(DIC)や大量出血時はフィブリノゲン値も測定します。

検査値はFFPの適応判断に必要ですが、出血傾向が改善すれば検査値正常化を目指さなくて良いです。

  (続く)新鮮凍結血漿製剤(FFP)(4)種類


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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:25| 輸血学