金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2013年06月14日

糖ペグ化遺伝子組換え第VIII因子製剤(N8-GP)と血友病A

論文紹介です。

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糖ペグ化遺伝子組換え第VIII因子製剤の血友病A患者に対する最初のトライアル」

著者名:Tiede A, et al.
雑誌名:J Thromb Haemost   11: 670-678, 2013.


<論文の要旨>

N8-GPは、半減期を延長させるために開発された糖ペグ化遺伝子組換え第VIII因子製剤です。

著者らは、従来の第VIII因子製剤とN8-GPとで薬理動態を比較しました。

治療歴のある重症血友病A患者26人を対象に、N8-GPおよび第VIII因子製剤を、25, 50, 75U/kgのいずれかの量で投与しました。

その結果、N8-GPはいずれの用量であっても安全であり、副作用も低頻度でした。

FVIIIやN8-GPに対する新たなインヒビターの出現はなく、N8-GPに対する結合抗体も出現しませんでした。

N8-GPの薬理動態は用量と直接的に依存していました。

N8-GP の回収率は、0.025 U/mL/kg、クリアランスは、1.79mL/hr/kgでした。

N8-GP50 U/kg投与した場合に第VIII因子活性が1%以上を維持しているのは、6.5日間(3.6〜7.9日間)でした。

N8-GPの平均半減期は19時間(11.6〜27.3時間)であり、従来の製剤の1.6倍でした。

N8-GPは、75U/kgまで安全に投与できることが確認され、半減期や第VIII因子>1%を維持している日数も延長されました。

このことは、N8-GPにより製剤投与回数を減らせるものと考えられました。

<リンク>
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:38| 出血性疾患