金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2013年08月29日

DICとアンチトロンビン(AT)2:敗血症、TAT

DICとアンチトロンビン(AT)1:APLと敗血症より続く。

 
AT2


播種性血管内凝固症候群(DIC)においては、アンチトロンビン(AT)活性が低下する場合があります(低下しないことも多いです)。AT活性が低下する最も遭遇しやすいDICの基礎疾患は敗血症です。

上図は、敗血症症例において、凝固活性化マーカーであるTATとアンチトロンビン(AT)の相関をみたものです。

もしも、敗血症に合併したDICにおいてAT活性の低下がDIC(消費性凝固障害)のためであったならば、TATとAT活性の間には負の相関があっても良いはずです(上図では右上です)。しかし全く相関関係はありません。
DICの合併がない敗血症でも同様です(上図では左上です)。

これらの結果から、敗血症においてAT活性が低下する場合であっても、それはDICのためではないと考えさせます。

 

(続く)DICとアンチトロンビン(AT)3:敗血症でアルブミンとの相関

 

<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集

参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:21| DIC