金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2013年09月19日

先天性第VII因子欠損症と出血症状

論文紹介です。

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先天性第VII因子欠損症の診断時の出血症状とその後の出血の予知」

著者名:Di Minno MN, et al.
雑誌名:Thromb Haemost 109: 1051-1059, 2013.


<論文の要旨>

先天性第VII因子欠損症における出血症状は軽症〜重症まで多様であり、30%の症例では無症候性(non-bleeding:NB)です。


著者らは、国際的なIF7登録とSTER登録のデータから、第VII因子欠損症626症例について検討しました。

診断時の出血のタイプと第VII因子活性(FVIIc)がその後の出血を予知するかどうか評価しました。

診断時に、272症例(43.5%)はNBであり、277症例(44.2%)は小出血がみられ、77症例(12.3%)は大出血がみられました。


中央値9年間の指標期間(IP)、診断時NBであった症例の87.9%ではNBのままであり、小出血がみられたうち75.1%では新たな小出血がみられ、大出血がみられた症例のうち83.1%が新たな大出血がみられました。


FVIIcや、その他の臨床条件を一致させてIP中の新たな出血の相対危険度(RR)は、大出血および小出血で診断された症例においてそれぞれ6.02(P<0.001)、5.87(P<0.001)でした。

逆に、NB症例と比較して診断時小出血および大出血のみられた症例においてIP中の大出血RRは、それぞれ10.95(P=0.001)、28.21(P<0.001)でした。


以上、先天性第VII因子欠損症においては最初の大出血がその後の大出血を予知する独立した危険因子と考えられました。


<リンク>
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:12| 出血性疾患