金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2013年09月23日

小児von Willebrand病/血友病と扁桃腺摘出術後出血

論文紹介です。

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「von Willebrand病または血友病の小児における扁桃腺摘出術後の出血」

著者名:Sun GH, et al.
雑誌名:JAPM Otolaryngol Head Neck Surg 139: 245-249, 2013.


<論文の要旨>

出血性素因を有する小児が扁桃腺摘出術(扁摘)後に出血のリスクが高いかどうかは不明です。

著者らは、von Willebrand病(VWD)や血友病と診断されている小児(n=508)を対象に出血頻度や危険因子を検討しました。

主要評価項目は扁摘後の出血に対する治療の有無です。

平均年齢は7歳、ほとんどが男性症例、白人、個人保険をもった都会在住人であり、気道閉塞の治療目的に扁摘が行われました。


扁摘1日以内の出血率は1.6%であり、2日目以降の出血率は15%でした。

遅延性の出血は年齢と関連しており(P<0.001)、16歳以上では35%に達しました。 

輸血が必要となった例は2.4%でした。


以上、VWDや血友病患者に扁摘を行った場合に早期出血は一般人と差異はみられませんでしたが、遅延性出血はとくに年齢の高い小児ほど有意に高いと考えられました。


<リンク>
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:47| 出血性疾患