金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2013年09月26日

遺伝子出血性毛細血管拡張症(オスラー病)鼻出血とアバスチン

論文紹介です。

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「遺伝子出血性毛細血管拡張症(オスラー病)の鼻出血に対するベバシズマブ(アバスチン)

著者名:Alderman C, et al.
雑誌名:Br J Haematol 162: 547-569, 2013.


<論文の要旨>

遺伝子出血性毛細血管拡張症(hereditary haemorrhagic telangiectasia : HHT、オスラー病)は、動静脈奇形や毛細血管拡張症を引きおこす常染色体慢性遺伝病であり、鼻出血は95%以上にみられます。

ベバシズマブ(アバスチン)はVEGFに対するモノクローナル抗体です。

鼻出血に対して静注したという報告が2009年にありますが、粘膜下注射や噴霧での投与でも有効な可能性があります。


著者らはHHT3例に対してベバシズマブの鼻腔内噴霧で、100mg(総量4ml)投与しました。

5分毎に100μLを両鼻腔に噴霧し、月に1回を3ヶ月間行いました。

その結果、鼻出血重症度スコアは有意に低下し、鼻出血持続時間は35±19分から、4±2分に短縮しました。


HHT3人中2人は治療前に間欠的に赤血球輸血が必要でしたが、治療後に輸血不要となりました。

ただし、レーザー焼灼術の必要回数は減りませんでした。

副作用はみられませんでした。


以上、HHTの鼻出血に対してベバシズマブ鼻腔内噴霧治療は試みられてよい治療と考えられました。


<リンク>
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:17| 出血性疾患