金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。
<< 前のエントリトップページ次のエントリ >>
2013年12月10日

金沢大学血栓止血研究室(2)新規経口抗凝固薬

金沢大学血栓止血研究室(1)森下英理子の教授就任より続く。

血栓止血研究室(血管診療グループ)(2)
新規経口抗凝固薬

血栓止血研究室は、血栓止血学を臨床・研究・教育のテーマとしています。

内科系、外科系あるいは臨床検査医学など、多くの他領域と関連が深いのが特徴です。

 
遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤(rTM、リコモジュリン)は、保険適応はDICのみですが、その強い抗炎症効果が注目されて、多くの病態での応用が期待されています。

敗血症に合併したDICに対しては臨床現場で大活躍していますが、それ以外には最近は、移植後の合併症であるSOS、TMA、生着症候群にも期待されています。

rTMは、今後とも目の離せない夢のあるお薬です。



昨年は、心房細動に対する新規経口抗凝固薬(New Oral Anti-Coagulant:NOAC)であるダビガトラン(商品名:プラザキサ)、リバーロキサバン(商品名:イグザレルト)を紹介いたしましたが、現在はアピキサバン(商品名:エリキュース)も処方可能になりました。

また、近いうちにエドキサバン(商品名:リクシアナ)も心房細動に対して処方可能になるでしょう(術後の深部静脈血栓症予防には保険収載済み)。

今後は、これらの新規経口抗凝固薬の使い分けが議論されるようになっていくと思います。



ワルファリンしか使用できなかったごく最近までの時代を思いますと、治療選択肢が大きく広がりました。

他施設や他科からの紹介でも、本症例はNOACの適応があるかどうかというコンサルトも増えました。

また、紹介状を拝見しますと、NOACはあまり厳格な制限なく弾力的に処方されている印象を持っています。

ただし、これらの新薬が順調に成長するためには、やはり今後の慎重な検討が必要だと思っています。

(続く)金沢大学血栓止血研究室(3)DIC


 
 
<リンク>:臨床に直結する血栓止血学

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:21| 血栓止血(血管診療)