金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2014年01月03日

von Willebrand病の小腸血管異形成由来出血とダナゾール治療

論文紹介です。

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「von Willebrand病における小腸血管異形成からの難治性出血に対するダナゾール治療」

著者名:Botero JP, et al.
雑誌名:Blood Coagul Fibrinolysis 24: 884-886, 2013.


<論文の要旨>

von Willebrand病(VWD)では胃腸(GI)血管の異形成をきたすことがあり、慢性GI出血の原因となります。

従来の治療としては、von Willebrand因子(VWF)補充療法、内視鏡的止血術、腸管切除などが知られていますが、必ずしも出血を減らすとは限りません。

著者らは、GI出血に対して従来の治療が無効であった3症例を報告しています。


ダナゾールによる治療を開始したところ、GI出血は長期間にわたって減少し、赤血球輸血量も減少しました。

1例では重篤な肝毒性が出現したために精査したところ、原発性胆汁性肝硬変を合併していることが判明しました。


従来の治療法が無効であるVWDの血管異形成に起因するGI出血に遭遇した際に、ダナゾールは考慮されて良いものと考えられました。


<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集

参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:55| 出血性疾患