金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。
<< 前のエントリトップページ次のエントリ >>
2014年01月05日

遺伝子組換えFVIIa/アルブミン融合蛋白と半減期

論文紹介です。

関連記事:APTT血友病後天性血友病第V因子インヒビター第VIII因子インヒビターPT-INR

クロスミキシングテスト


「遺伝子組換えFVIIa/アルブミン融合蛋白の安全性の薬物動態」

著者名:Golor G, et al.
雑誌名:J Thromb Haemost 11: 1977-1985, 2013.


<論文の要旨>

血友病診療においてインヒビターの出現は最も重要な合併症です。

遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa)がその際の止血治療薬として用いられてきましたが、半減期が短いという問題点がありました。

著者らは、新しく開発された遺伝子組換FVIIa/アルブミン融合蛋白(rVIIa-FP)の薬物動態と安全性を健常人男性(40人、18〜35歳)で検討しました。

rVIIa-FPの1回投与量は、140, 300, 500, 750, 1000μg/kgまたはプラセボの各群に振り分けられました。

投与に先立って全員が、ビタミンK拮抗薬による抗凝固療法(INR 2〜3)が行われました。


その結果、全ての投与量でrVIIa-FPの忍容性は優れており、重篤な有害事象はみられませんでした。

薬物に対する抗体出現者もありませんでした。

血中FVIIa活性の上昇は用量依存性でした。


rVIIa-FPの用量と無関係に半減期は一定であり、6.1〜9.7hrでした。

最大用量の1000μg/kgでは、FVIIaの半減期は8.5hrでした。

クリアランスは7.62〜12.74ml/hr/kgでした。


従来のrFVIIaと比較して、rVIIa-FPのクリアランスは低下しており、半減期は3〜4倍に延長するものと考えられました。


<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集

参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:13| 出血性疾患