金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2014年09月29日

遺伝性出血性毛細血管拡張症とトラネキサム酸

論文紹介です。

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クロスミキシングテスト


「遺伝性出血性毛細血管拡張症に鼻出血に対するトラネキサム酸治療(第IIIB相臨床試験)」

著者名:Geisthoff UW, et al.
雑誌名:Thromb Res 134: 565-571, 2014.


<論文の要旨>

鼻出血は遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT)に最も高頻度にみられる症状ですが、適切な治療法はありません。

しばしば重症の貧血をきたしQOLを低下させます。


HHTにおける鼻出血に対して抗線溶薬であるトラネキサム酸が有効ではないかと指摘されています。

著者らはこの点について明らかにすべく検討しました。


プラセボを対照とした二重盲検無作為cross-over臨床試験(IIIB相)で、トラネキサム酸1gまたはプラセボが3ヶ月間(1日3回)経口投与され、合わせて6ヶ月間の内服としました。

HHT22症例が検討症例でした。


その結果、Hbの有意な変動はありませんでした。

鼻出血スコアによる評価では、トラネキサム酸によりプラセボ内服期間中と比較して54%の減少をきたしました(P=0.0031)。

副作用はみられませんでした。


以上、
トラネキサム酸TA)はHHTにおける鼻出血を減少させるものと考えられました。



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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:52| 出血性疾患