金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2014年12月28日

遺伝子組換え第VIII因子製剤とインヒビター発症

論文紹介です。

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「遺伝子組換え第VIII因子製剤とインヒビター発症(未治療の重症血友病A男児での検討)」

著者名:Calvez T, et al. 
雑誌名:Blood 124: 3398-3408, 2014.

<論文の要旨>

遺伝子組換え第VIII因子製剤(rFVIII)は、全部で8種類が世界的に販売されています。

2013年に、Reserch of Determinants of inhibitor Development (RODIN)試験グループは、未治療(PUPs)の重症血友病A患者において、第2世代の完全長rFVIII(D製剤)でのインヒビター発症率が高いことを報告しました。


1994年、フランス公衆衛生局は血友病治療の安全性をモニターするために、前方視的コホート研究を確立しました。

PUPサブグループについては、インヒビター危険因子を検討するように設定されました。


著者らはRODIN知見の観点からこのサブコホートを解析しました。

RODIN試験に参加した50症例を除外したのちに、まず1種類のrFVIIIで治療された重症血友病Aの303男児に焦点をあてることを主要解析としました。


臨床的意義を有したインヒビターは114男児(37.6%)に検出されました。

D製剤におけるインヒビター発症は、最も世界的に使用されているrFVIII製剤よりも高率でした(調整ハザード1.55)。


高力価のインヒビターに関しても同じ結果でした。

RODIN試験と著者らの検討結果の間には、差異はみられませんでした。

合体させた調整バザード比は、全インヒビター1.58、高力価インヒビターで1.70でした。


以上、PUPsの重症血友病AにおいてはD製剤は他の製剤よりも免疫原性が高いものと考えられました。


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参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:57| 出血性疾患