金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2015年03月04日

非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)とeculizumab

論文紹介です。


「補体関連因子の異常によるaHUS」

著者名:吉田瑶子、他。
雑誌名:臨床血液 56: 185-193, 2015.

<論文の要旨>


非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)は、微小血管症性溶血性貧血、血小板減少、急性腎障害の3徴候で知られている希少疾患です。

aHUSという病名は、志賀毒素産生大腸菌(STEC)感染HUSと区別するために使用されてきました。


aHUSの多くの症例(約70%)で、補体活性化第二経路に属する因子の遺伝子異常が報告されています。

また。最近では凝固関連因子異常が、aHUSの病因であることも示されましたが、本論文では補体関連aHUSを中心に概説されています。

aHUSは上記の3徴候の他に、ADAMTS13活性が10%以上で、STEC感染が陰性の場合に疑われ、補体因子の遺伝子解析により診断されますが、未だに診断が困難である場合も多いです。


aHUSの初期治療は血漿療法とされてきましたが、最近では補体C5に対するモノクローナル抗体eculizumabが有効であることが示され、病態解析が治療にも重要となりました。


早期診断による早期治療が、aHUSの予後改善に必要です。



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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:37| 出血性疾患