金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2015年05月05日

出血性疾患の種類と治療(2)血小板数の低下

<出血性疾患の種類と治療>(2) 血小板数の低下

出血性疾患の種類と治療:インデックス

血小板数の低下する疾患のなかには、出血と血栓症の病態が共存するものがあります。

具体的には、播種性血管内凝固症候群(DIC)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、溶血性尿毒症症候群(HUS)、HELLP症候群、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)などです。

これらの出血と血栓が共存する病態では、出血に対する治療は血栓性病態を悪化させる場合があり、一方、血栓に対する治療は出血性病態を悪化させる場合があります。

例えば、TTPにおいて血小板数が著減していても血小板輸血を行うことで脳梗塞などの致命的な血栓症を誘発することがあります。

また、線溶亢進型DICに対する抗凝固療法は出血を悪化させる場合があります。

症例ごとに慎重に対応することになります。


TTP以外においても、血小板数が低下して出血症状をきたしている場合でも、致命的な出血でなければ安易な血小板輸血は控える方が良い場合が多いです。

血小板輸血を行うことで抗血小板抗体産生を誘発して、本当に血小板輸血が必要な致命的出血時の効果が減弱してしまう懸念があります。

具体的には、ITPや再生不良性貧血に対して血小板輸血を行うのは例外的です。


血小板数低下をきたす2疾患を有していることで、出血と血栓が共存する病態をきたすことがあります。

具体的には、ITPと抗リン脂質抗体症候群(APS)の合併です。

ITPでは4割程度の症例で、抗リン脂質抗体が出現することが知られています。

特に、ITPに対して摘脾術やトロンボポエチン受容体作動薬の治療を行うような場合にはさらに血栓症を誘発する懸念があります。

ITPの症例では、全例において抗リン脂質抗体の有無をチェックすべきと考えられます。

ITPとAPSの合併時例では、摘脾術後の抗血栓療法をどうするかなど一定の見解はありませんが、個々の症例に対応を検討することになります。

出血性疾患の種類と治療:インデックス

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:00| 出血性疾患