金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2015年09月01日

ITPに対するトロンボポエチン受容体作動薬中止後の寛解維持

論文紹介です。

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「慢性ITPに対するトロンボポエチン受容体作動薬の中止後の寛解維持」

著者名:Červinek L, et al.
雑誌名:Int J Hematol 102: 7-11, 2015.


<論文の要旨>

トロンボポエチン受容体作動薬(TPO-RAs)は、免疫性血小板減少症(ITP)に対して極めて有効です。

最近、成人ITPに対するTPO-RAの中止後にも寛解が維持されるという報告がみられています。


著者らは、TPO-RAの治療効果が持続する患者の特徴について検討しました。

TPO-RAsで治療された成人ITP患者のすべてを対象として、治療効果がみられたためにTPO-RA治療が中止された症例に焦点を当てました。


再発または難治性ITP46症例がTPO-RAsで治療されました。

これらの症例のうち11例(ロミプロスチム 7例、エルトロンボパグ 4例)において、治療効果がみられた後にTPO-RA治療が中止されました。

TPO-RAsの副作用はみられませんでした。

これらの患者は、TPO-RAの投与前に1〜3種類の治療歴があり、6例では摘脾術も行われていました。

また、中央値33ヶ月(16-54)の経過観察中、TPO-RA治療中止後の再燃はみられませんでした。


TPO-RAsによる治療を受けたITP患者の相当例において、治療中止後の寛解を維持するものと考えられました。

また、このITP寛解の持続は、以前の治療内容、摘脾術の有無、罹病期間に依存しないものと考えられました。


<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:33| 出血性疾患