金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。
<< 前のエントリトップページ次のエントリ >>
2015年09月12日

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案(10)鑑別疾患

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(10)鑑別疾患

日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(インデックス)

詳細はこちら:http://www.jsth.org/committee/pdf/DIC_3.pdf


<新しいDIC診断基準>  鑑別すべき代表的疾患・病態

DICとの鑑別が必要となる代表的疾患・病態を表2に記載しました。

ただし、表2に示された疾患にDICを合併することもあるために注意が必要です。


表2 鑑別すべき代表的疾患・病態 
 

血小板数低下
 1. 血小板破壊や凝集の亢進
・    血栓性微小血管障害症(TMA):血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、溶血性尿毒症症候群(HUS)、HELLP症候群、造血幹細胞移植後TMA
・ ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)
・    特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、全身性エリテマトーデス(SLE)、抗リン脂質抗体症候群(APS)
・    体外循環 など

2. 骨髄抑制/骨髄不全をきたす病態
・    造血器悪性腫瘍(急性白血病、慢性骨髄性白血病の急性転化、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫の骨髄浸潤など)
・    血球貪食症候群
・    固形癌(骨髄浸潤あり)
・    骨髄抑制を伴う化学療法あるいは放射線療法中
・    薬物に伴う骨髄抑制
・    一部のウイルス感染症
・    造血器悪性腫瘍以外の一部の血液疾患(再生不良性貧血、発作性夜間血色素尿症、巨赤芽球性貧血など)

3. 肝不全、肝硬変、脾機能亢進症

4. 敗血症

5. Bernard-Soulier症候群、MYH9異常症(May-Hegglin異常症など)、Wiskott-Aldrich症候群

6. 希釈

・ 大量出血
・ 大量輸血、大量輸液
・ 妊娠性血小板減少症 など

7. 偽性血小板減少症


FDP上昇
1.    血栓症:深部静脈血栓症、肺塞栓症など
2.    大量胸水、大量腹水
3.    大血腫
4.    線溶療法



フィブリノゲン低下
1.    先天性無フィブリノゲン血症、先天性低フィブリノゲン血症、フィブリノゲン異常症
2.    肝不全、低栄養状態
3.    薬物性
:L-アスパラギナーゼ、副腎皮質ステロイド、線溶療法
4.    偽低下:抗トロンビン作用のある薬剤(ダビガトランなど)投与時


プロトロンビン時間延長

1.    ビタミンK欠乏症、ワルファリン内服
2.    肝不全、低栄養状態
3.    外因系凝固因子の欠乏症またはインヒビター
4.    新規経口抗凝固薬内服
5.    偽延長
:採血量不十分、抗凝固剤混入


アンチトロンビン活性低下

1.    肝不全、低栄養状態
2.    炎症による血管外漏出(敗血症など)
3.    顆粒球エラスターゼによる分解(敗血症など)
4.    先天性アンチトロンビン欠乏症
5.    薬物性
:L-アスパラギナーゼなど


TAT、SF または F1+2上昇
1.    血栓症:深部静脈血栓症、肺塞栓症など
2.    心房細動の一部


注)ただし、上記疾患にDICを合併することもある。


日本血栓止血学会DIC診断基準暫定案を考える(インデックス)


<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集へ 
 
 
 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:20| DIC