金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2016年01月06日

金沢で学会をやるということ(6)会長講演で伝えたかったこと

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)同門会報の原稿からです。

今回は、教授ノートです。


金沢で学会をやるということ(6)会長講演で伝えたかったこと

by  中尾眞二教授

この教授コーナーでも紹介したことがありますが、血液内科診療の中でも、もっとも誤診が起こりやすいのは骨髄不全の病態診断です。

骨髄の働きが低下する骨髄不全の中には、免疫抑制剤のシクロスポリンで簡単によくなるタイプがあるのですが、それらは成書の診断基準に従うと骨髄異形成症候群や特発性血小板減少性紫斑病と診断されるため、多くの例に対して不適切な治療が行われているのが現状です。

この「診断基準によって診断される疾患名と病態の不一致」は血液内科診療の中でももっとも大きな問題であるため、10年以上前から論文や総説を発表し、色々な学会や研究会でこの問題を指摘して来ました。

しかし、この問題のために適切な治療を受けられない患者さんが未だに後を絶ちません。

このような誤解がいつまでもなくならないのは、色々なところで話をしても、学会の骨髄不全のセッションやメーカー主催の研究会に出席する人は元々この領域に関心のある一部の人だけであるため、血液疾患患者さんを診ている多くの血液内科医は私の話を聞いたことがないのが一つの理由と思われました。

会長講演であれば、普段骨髄不全の話を聞かない人も聴いてくれるのではないか。

そう考えると急に学会が待ち遠しくなりました。

金沢で学会をやるということ(インデックス)日本血液学会学術集会  へ
 

 <リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:49| 研修医の広場