金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2017年07月13日

抗リン脂質抗体症候群(APS)

平成29年度 血液内科学系統講義試験

平成29年7月12日 水曜日 試験時間 16時00分〜17時00分 (60分間)

問24.    典型的な抗リン脂質抗体症候群(APS)に関する記載内容として、誤っているのはどれか。1つ選べ。

a.    不育症患者で抗カルジオリピン-β2GPI複合体が陽性であればAPSである。
b.    動脈血栓症では脳梗塞が最も多い。
c.    静脈血栓症では深部静脈血栓症が最も多い。
d.    習慣性流産の女性に対してはワルファリン内服が有効である。
e.    APTTクロスミキシング試験の混合曲線がインヒビター型になる。




(解説)
a.    不育症患者では、抗カルジオリピン(-β2GPI複合体)またはループスアンチコアグラントのいずれか一方以上が陽性であればAPSです。

b.    色々な部位の動脈血栓症がありますが、脳梗塞が最も多いです。心筋梗塞は少ないです。

c.    静脈血栓症では、深部静脈血栓症と肺塞栓が多いです。

d.    ワルファリンには、催奇形性の副作用があります。ビタミンK依存性淡白として、VII、IX、X、II、PC、PSの他に、オステオカルシンも知っておきたいです。

e.    APTTクロスミキシング試験の混合曲線がインヒビター型であれば、ループスアンチコアグラント陽性の判定になります。



(正答)   d


 <リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:03| 医師国家試験・専門医試験対策