金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2017年7月21日

平成29年度 血液内科学系統講義試験

平成29年度 血液内科学系統講義試験

平成29年7月12日 水曜日 試験時間 16時00分〜17時00分 (60分間)

問1.    スライドの細胞は何か?細胞名を記入せよ。


1)(好酸球   )
2)(分節核好中球)
3)(単球    )
4)(リンパ球  )
5)(赤芽球   )


問2.    次の文の括弧の中に適切な言葉を記入せよ。

1)造血幹細胞由来の一つのコロニーを構成する細胞は(      )クローン性である。
2)網赤血球数は通常(     )(単位)で表記する。
3)慢性炎症に伴う貧血ではインターロイキン6濃度上昇のため、肝からの(      )産生が亢進する。
4)古くなった赤血球は脾臓、肝などの(     )系組織で破壊される。
5)塗抹標本を作製する際には、細胞が縮まないように塗抹後の標本をただちに(    )させることが重要である。
6)(       )の低下は溶血を示唆する最も感度の高い検査所見である。
7)貧血の急速な進行に加えて血清総(     )が低下していれば出血を疑う。
8)貧血症状で頻度が高いのは(      )、動悸、易疲労感などである。
9)急性骨髄性白血病の芽球ではアズール顆粒が凝集した(     )が時にみられる。
10)外科的処置を行う際には、血小板数が(      )万/μL以上あることが必要である。



問3.   
21歳のタイ人留学生が検診で貧血を指摘されて来院した。血液検査では赤血球数290万/μl、ヘモグロビン6.0 g/dl、ヘマトクリット23%、血清鉄 82 μg/dl、TIBC 179 μg/dl、フェリチン 423 μg/dl、HbF 18%であった。

1)MCV値を冪数表示の単位をつけて記載せよ。 

2)父も慢性貧血を指摘されている。もっとも疑われる疾患は何か?  



問4.    貧血について正しい結びつきはどれか。

(1)    悪性貧血 − LDHの上昇 − 蛋白同化ステロイド
(2)    赤芽球癆 − 網赤血球の著減 − 副腎皮質ステロイド
(3)    再生不良性貧血 − 骨髄の脂肪化 − 同種造血幹細胞移植
(4)    発作性夜間ヘモグロビン尿症 − PIGA遺伝子変異 − 抗C5抗体
(5)    自己免疫性溶血性貧血 − 抗赤血球型抗体 − 血漿交換

a. (1)(2)(3) b. (1)(2)(5) c. (1)(4)(5) d. (2)(3)(4) e. (3)(4)(5)



問5.    鉄欠乏性貧血に関する記載のうち正しいのはどれか。

(1)    原因を明らかにすることがもっとも重要である。
(2)    異食症や嚥下困難はしばしばみられる症状である。
(3)    生理出血のみで発症することは稀である。
(4)    食事療法によって改善させることは困難である。
(5)    中等度の鉄欠乏では爪が平坦化する。

a. (1)(2)(3) b. (1)(2)(5) c. (1)(4)(5) d. (2)(3)(4) e. (3)(4)(5)



問6.    骨髄異形成症候群に関する記載のうち正しいのはどれか。


(1)    p53遺伝子変異陽性例の予後は不良である。
(2)    2系統以上の血球に減少があることが診断の必要条件である。
(3)    全体の約50%が白血病に移行する。
(4)    骨髄細胞の形態異常によって診断される。
(5)    死因の多くは感染や出血によるものである。

a. (1)(2)(3) b. (1)(2)(5) c. (1)(4)(5) d. (2)(3)(4) e. (3)(4)(5)



問7.    溶血性貧血に関する記載の中で正しいのはどれか。


(1)    LDHの上昇は主に分画II、IIIによるものである。
(2)    網状赤血球は通常は10万/μL以上に増加する。
(3)    遺伝性球状赤血球症ではMCHCが高い。
(4)    PNH患者では血小板上のGPIアンカー膜蛋白も欠損している。
(5)    自己免疫性溶血性貧血ではクームス試験が例外なく陽性となる。

a. (1)(2)(3) b. (1)(2)(5) c. (1)(4)(5) d. (2)(3)(4) e. (3)(4)(5)



問8.    EBウイルスが関与するリンパ系腫瘍はどれか。


(1)    ホジキンリンパ腫
(2)    節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻型
(3)    慢性リンパ性白血病
(4)    成人T細胞性白血病/リンパ腫
(5)    免疫不全関連リンパ増殖性疾患

a. (1)(2)(3) b. (1)(2)(5) c. (1)(4)(5) d. (2)(3)(4) e. (3)(4)(5)



問9.    ホジキンリンパ腫に関する記載の中で正しいのはどれか。


(1)    日本では悪性リンパ腫の中の10%程度である。
(2)    病変は非連続性に進展する。
(3)    CD20を標的としたリツキシマブが難治例に対して有効である。
(4)    発熱や炎症反応を伴うことが多い。
(5)    若年者では結節硬化型(nodular sclerosis; NS)が多い。

a. (1)(2)(3) b. (1)(2)(5) c. (1)(4)(5) d. (2)(3)(4) e. (3)(4)(5)



問10.    治療法で正しい結びつきはどれか。


(1)    多発性骨髄腫 — ボルテゾミブ
(2)    慢性リンパ性白血病 — アレムツズマブ(抗CD52抗体)
(3)    成人T細胞性白血病/リンパ腫 — モガムリズマブ(抗CCR4抗体)
(4)    びまん性大細胞型B細胞リンパ腫 — イブリチニブ(BTK阻害薬)
(5)    濾胞性リンパ腫 — イマチニブ

a. (1)(2)(3) b. (1)(2)(5) c. (1)(4)(5) d. (2)(3)(4) e. (3)(4)(5)



問11.    次の文章の中で正しいものはどれか。

(1)    B細胞性リンパ腫の中でもっとも多いのはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。
(2)    ヘリコバクタ・ピロリ陽性の胃辺緑帯B細胞リンパ腫に対する第一選択の治療法は放射線治療である。
(3)    NK/T細胞性リンパ腫に対して抗CD20抗体が有効である。
(4)    血管内大細胞型B細胞性リンパ腫は不明熱の重要な鑑別疾患である。
(5)    ALK陽性未分化大細胞リンパ腫の予後はALK陰性のものよりも良好である。

a. (1)(2)(3) b. (1)(2)(5) c. (1)(4)(5) d. (2)(3)(4) e. (3)(4)(5)



問12.    下記患者のアグレッシブリンパ腫瘍の国際予後指標(Internal Prognostic Index: IPI)(1項目1点)を求めよ。

63歳男性。頚部リンパ節の生検で、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断された。FDG-PET/CTでは両側頚部・左腋窩・縦隔リンパ節にそれぞれ2〜3センチ大のリンパ節を認めたが、その他の部位に病変は認めなかった。入院前日まで仕事を普通にこなしていた。体重減少や寝汗は認めていない。骨髄生検では骨髄浸潤の所見はみられなかった。LDHは167 IU/l(基準176〜353)、可溶性IL-2レセプター 1240 IU/ml(基準127〜582)であった。

国際予後指数(  )点



問13.    骨髄腫について誤っているものはどれか。


(1)    G-bandingによる染色体検査では染色体異常の検出率が高い。
(2)    骨病変対策として用いるビスフォスフォネート製剤の重大な副作用は顎骨壊死である。
(3)    重篤な合併症がなく心肺機能が正常な65歳以下の症例は、自家末梢血幹細胞移植の適応である。
(4)    血清アルブミン値と血清β2ミクログロブリン値を組み合わせることによって予後予測が可能である。
(5)    17p-を有する例は予後良好である。

a. (1)(2)  b. (2)(3)  c. (3)(4)  d. (4)(5)  e. (1)(5)



問14.    多発性骨髄種を診断する骨髄腫診断事象(MDE: myeloma defining event)の臓器障害に含まれないのはどれか。1つ選べ。


a.    高カルシウム血症
b.    腎不全
c.    貧血
d.    骨病変
e.    アミロイドーシス



問15.    ミエロペルオキシダーゼ (MPO) 染色、特異的エステラーゼ染色、非特異的エステラーゼ染色いずれもが陽性であった場合に考えられる疾患はどれか。1つ選べ。


a.    最未分化型急性骨髄性白血病
b.    急性骨髄単球性白血病
c.    急性単球性白血病
d.    赤白血病
e.    急性巨核芽球性白血病



問16.    フローサイトメトリーによる表面マーカー解析が診断に有用でない疾患はどれか。1つ選べ。


a.    骨髄異形成症候群
b.    急性リンパ性白血病
c.    慢性骨髄性白血病(慢性期)
d.    慢性リンパ性白血病
e.    多発性骨髄腫



問17.    急性白血病に関する記述で正しいのはどれか。


(1)    成人では骨髄性よりリンパ性の方が多い。
(2)    WHO分類では芽球比率が30%以上で急性白血病と診断する。
(3)    FLT3遺伝子変異を伴うと予後良好である。
(4)    Core binding factor (CBF) 白血病に対して大量シタラビン(Ara-C)療法が有用である。
(5)    一部の病型はDown症候群に合併しやすいことが知られている。

a. (1)(2)  b. (2)(3)  c. (3)(4)  d. (4)(5)  e. (1)(5)



問18.    疾患名とその疾患に特徴的な染色体異常、遺伝子異常の組み合わせで誤っているのはどれか。1つ選べ。

a.    本態性血小板血症 − CALR遺伝子変異
b.    慢性骨髄単球性白血病 − t(8;21)
c.    真性多血症/真性赤血球増加症 − JAK2遺伝子のV617変異
d.    分化型急性骨髄性白血病 (M2) − t(15;17)
e.    好酸球増多を伴う急性骨髄単球性白血病 − inv(16)




問19.    疾患名と検査所見の組み合わせで誤っているのはどれか。1つ選べ。


a.    急性単球性白血病 — 尿中リゾチーム高値
b.    慢性骨髄性白血病 — 末梢血中の幼若顆粒球
c.    真性多血症/真性赤血球増加症 — エリスロポエチン高値
d.    骨髄線維症 — 涙滴赤血球
e.    急性前骨髄球性白血病 — Auer小体



問20.    疾患名と症状・身体所見の組み合わせで誤っているのはどれか。1つ選べ。


a.    真性多血症/真性赤血球増加症 − 血栓症
b.    原発性骨髄線維症 − 巨脾
c.    本態性血小板血症 − 無症状のことが多い(健診等で偶然指摘)
d.    慢性骨髄性白血病 − 歯肉腫脹
e.    急性前骨髄球性白血病 (M3)  − 出血傾向



問21.    慢性骨髄性白血病の治療に通常用いない薬剤はどれか。


(1)    イマチニブ
(2)    アナグレリド
(3)    ルキソニチニブ
(4)    ダサチニブ
(5)    ニロチニブ

a. (1)(2)  b. (2)(3)  c. (3)(4)  d. (4)(5)  e. (1)(5)







(正答)
記述式の回答は、同義語であれば正解とします。

問2.    次の文の括弧の中に適切な言葉を記入せよ。

1)造血幹細胞由来の一つのコロニーを構成する細胞は(   単   )クローン性である。
2)網赤血球数は通常(   /μL  )(単位)で表記する。
3)慢性炎症に伴う貧血ではインターロイキン6濃度上昇のため、肝からの( ヘプシジン )産生が亢進する。
4)古くなった赤血球は脾臓、肝などの(   網内  )系組織で破壊される。
5)塗抹標本を作製する際には、細胞が縮まないように塗抹後の標本をただちに(  乾燥   )させることが重要である。
6)(ハプトグロビン)の低下は溶血を示唆する最も感度の高い検査所見である。
7)貧血の急速な進行に加えて血清総(   蛋白  )が低下していれば出血を疑う。
8)貧血症状で頻度が高いのは(  息切れ  )、動悸、易疲労感などである。
9)急性骨髄性白血病の芽球ではアズール顆粒が凝集した(アウエル小体 )が時にみられる。
10)外科的処置を行う際には、血小板数が(   5   )万/μL以上あることが必要である。

問3
1)79.3 x 10-15 L
2)サラセミア

問4 d

問5 c

問6 c

問7 d

問8 b

問9 c

問10 a

問11 c

問12 1点

問13 e

問14 e

問15 b

問16 c

問17 d

問18  b, dいずれかを選択した場合に正答とします

問19 c

問20 d

問21 b






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血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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2017年7月20日

輸血関連問題

平成29年度 血液内科学系統講義試験

平成29年7月12日 水曜日 試験時間 16時00分〜17時00分 (60分間)


問30.    診断時にHLA適合同胞ドナーの検索が望ましい症例はどれか。2つ選べ。

a.    19才、中等症再生不良性貧血
b.    24才、ホジキンリンパ腫再発
c.    42才、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病
d.    49才、多発性骨髄腫
e.    51才、高リスク骨髄異形成症候群   



問31.    急性GVHDの重症度を判定する際に評価の対象となる臓器はどれか。3つ選べ。


a.    肺
b.    肝臓
c.    腎臓
d.    皮膚
e.    消化管   



問32.    血液型の検査結果を表に示す。この患者の血液型はどれか。1つ選べ。


患者検体 血球 血球 血球 血清 血清
試薬 抗A血清 抗B血清 抗D血清 A型血球 B型血球
凝集の有無 あり なし あり なし あり


a.    A型、RhD陽性
b.    A型、RhD陰性
c.    B型、RhD陽性
d.    B型、RhD陰性
e.    O型、RhD陽性   




問33.    血液製剤の取り扱いについて正しいのはどれか。1つ選べ。

a.    赤血球濃厚液は20〜24℃の室温で保存する。
b.    新鮮凍結血漿は使用する前日に融解しておく。
c.    濃厚血小板は2〜6℃の冷蔵庫で振盪保存する。
d.    新鮮凍結血漿は−20℃の冷凍庫に1年間保存した後に使用する。
e.    血小板濃厚液の有効期間は採血後4日間(採血初日を1日目とする)である。   



問34.    患者からインフォームド・コンセントを得る際の説明事項として正しいのはどれか。1つ選べ。


a.    栄養状態が悪いので高張アルブミン製剤を投与する。
b.    ABO型およびRhD型の血液型が一致した赤血球濃厚液を輸血すれば、溶血の副作用は生じない。
c.    赤血球濃厚液輸血後の副作用・合併症は、生物由来製品感染等被害救済制度の対象になることがある。
d.    特発性血小板減少性紫斑病患者では、血小板数が2万/μL未満になったら予防的に血小板輸血を行う。
e.    血液センターの血液製剤は、全てNAT検査が行われようになってから、HIV感染症のリスクはなくなった。   




問35.    18才の高校生。

通学途中で自動車にはねられ高度救命救急センターに搬送された。意識は混濁。身長176 cm、体重 60 kg、脈拍 124/分、整、血圧 74/58mmHg、骨盤骨折と診断し緊急手術となった。術後、集中治療室に収容した。入室時、脈拍82/分、整、血圧 116/78mmHg、中心静脈圧は5mmHgであったが、Hb値は6.0 g/dLであった。Hb 10 g/dLを目標に赤血球輸血をすることとした。何単位の投与が必要か。
ただし、赤血球濃厚液1単位は献血200 mL由来(Hb 14 g/dL)とする。

a.    3単位
b.    6単位
c.    9単位
d.    12単位
e.    15単位   



問36.    ABO major不適合輸血について誤った記載はどれか。1つ選べ。


a.    血管外溶血である。
b.    溶血の原因に補体系の活性化が関与している。
c.    輸血量が50 mL以内であれば救命可能である。
d.    発症要因としては、製剤の取り違えミスが最も多い。
e.    IgMクラスの抗Aあるいは抗B抗体が赤血球に結合することが発症の引き金となる。   




(正答)

問30 c、e

問31 b、d、e

問32 a

問33 e

問34 c

問35 b

問36 a


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血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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2017年7月19日

出血時間・PT・APTT・フィブリノゲン・HPT

平成29年度 血液内科学系統講義試験

平成29年7月12日 水曜日 試験時間 16時00分〜17時00分 (60分間)

問22.    下記の疾患または病態のうち、検査所見の記載が誤っているのはどれか。1つ選べ。

    出血時間 PT
APTT
Fbg HPT
a 単純性紫斑 正常 正常 正常 正常 正常
b 先天性第V因子欠損症 正常 延長 延長 正常 正常
c 先天性第XIII因子欠損症 正常 正常 正常 正常 正常
d アレルギー性紫斑病(※) 正常
正常
正常
正常
正常
e Bernard-Soulier症候群 延長 正常 正常 正常 低下

(※)IgA血管炎ともいう。
PT:プロトロンビン時間
APTT:活性化部分トロンボプラスチン時間
Fbg:フィブリノゲン
HPT:ヘパプラスチンテスト



(解説) 
a 単純性紫斑病では、全ての血液凝固検査が正常です。

b 
先天性第V因子欠損症では、PTもAPTTも延長します。HPT(VII、X、IIを反映)は正常です。

c 
先天性第XIII因子欠損症では、PTもAPTTも正常です。

d 
アレルギー性紫斑病では、上記の検査所見は全て正常です。XIII因子活性が低下することはあります。

e 
Bernard-Soulier症候群では、血小板膜糖蛋白のGPIb/IXが欠損して、血小板粘着能(血小板機能)が低下します。HPT(VII、X、IIを反映)は正常です。



(正答)
    e


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2017年7月18日

広範な皮下出血・APTT延長

平成29年度 血液内科学系統講義試験

平成29年7月12日 水曜日 試験時間 16時00分〜17時00分 (60分間)

問29.    70歳代の男性

【主訴】体幹の広範囲な皮下出血。

【既往歴】50歳頃から糖尿病に罹患。抜歯歴があるが異常出血なし

【家族歴】特になし(異常出血者なし)。

【現病歴】
1週間前に上胸背部に皮下出血が出現し、徐々に範囲が拡大してきたため近医受診。
Hb 6.0 g/dlの高度な貧血を認めたため緊急入院した。
赤血球輸血を行うも貧血は改善しなかった。
血小板数やプロトロンビン時間(PT)は正常、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の著明な延長(86秒)、第VIII因子活性は3.2%と著減していたが、他の凝固因子は正常範囲であった。


止血療法としてとして最も有効なのはどれか。1つ選べ。


a.    DDAVP
b.    ビタミンK
c.    新鮮凍結血漿
d.    遺伝子組換え第VIII因子製剤
e.    遺伝子組換え活性型第VII因子製剤




(解説) 
第VIII因子の著減、APTTの延長が見られていますが、異常出血の家族歴や既往歴がありません。
先天性の血友病Aではないようです。
第VIII因子に対する自己抗体の出現した、後天性血友病Aです。

遺伝子組換え第VIII因子製剤は無効です。
遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(ノボセブン)または活性型プロトロンビン複合体製剤(ファイバ)などが止血に有効です。



(正答)
    e


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2017年7月17日

PIVKAII 上昇、AFP正常

平成29年度 血液内科学系統講義試験

平成29年7月12日 水曜日 試験時間 16時00分〜17時00分 (60分間)

問28.    60歳代の男性。

重症の血友病B患者でHIV感染症に対し抗レトロレトウイルス療法を継続していた。

HBVとHCVが既感染ですでに肝硬変となっており、これまで食道静脈瘤破裂も数回繰り返していた。

今回は吐下血により緊急入院となった。

アルブミン2.7 g/dl、ALT(GPT)19 mg/dl、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT) 42.3 秒 (基準 25-37)、プロトロンビン時間(PT)18.7秒(基準 10-11.8)、PIVKAII 3,230 mAU/ml (基準 0-40)、AFP 2 ng/ml (基準 0-28.5)であった。

これは血漿由来濃縮第IX因子製剤投与後であるため、APTTの延長は軽度にとどまっている。
PTの延長や低アルブミンなどの低蛋白血症は肝硬変の影響であり、PIVKAIIの著増は肝細胞癌によるものを第一に考えた。

しかし、各種画像検査では肝細胞癌は検出されなかった。

抗レトロウイルス療法による胃腸障害があり、繰り返す感染症のため抗生薬も多用されていたことから(  A  )の可能性を考え(  A  )に対する治療を開始したところ、急速にPIVKAIIは正常化し、PT延長も基準値上限程度まで回復した。

PIVKAIIの上昇から(  A  )を診断出来た症例であった。肝硬変がベースにあり、肝細胞癌の合併が疑われる患者であっても、AFP値の上昇がない場合は(  A  )も念頭に入れるべきである。




(  A  )は何か。

a.    肝不全
b.    腎不全
c.    ビタミンK欠乏症
d.    プロテインC欠乏症
e.    プロテインS欠乏症



(解説) 
PIVKAIIは肝細胞がんの腫瘍マーカーですが、ビタミンK欠乏症の確定診断にも用いられます。
また、
ビタミンK欠乏症では、APTTよりもPTの延長の方がはるかに目立つことを知っておきたいです。
ビタミンK依存性凝固因子は、半減期の短い順番に、VII、IX、X、IIです。


(正答)
   c


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2017年7月16日

血栓止血関連疾患の検査・治療

平成29年度 血液内科学系統講義試験

平成29年7月12日 水曜日 試験時間 16時00分〜17時00分 (60分間)

問27.    血栓止血関連疾患の検査・治療に関する記載のうち誤っているのはどれか。1つ選べ。

a.    妊娠により血中プロテインS活性が低下する。
b.    健常人は、PT-INR 1.0前後である。
c.    肺塞栓(PE)の再発予防としては直接経口抗凝固薬(DOAC、新規経口抗凝固薬 NOACとも言う)内服が有効である。
d.    オスラー病(遺伝性出血性毛細血管拡張症、遺伝性出血性末梢血管拡張症とも言う)の出血に対しては遺伝子組換え第XIII因子製剤が有効である。
e.    von Willebrand病の出血に対しては血漿由来第VIII因子製剤(コンファクトF)が有効である。





(解説) 
a.    妊娠や、ピルなどの女性ホルモン剤により、血中プロテインS活性が低下します。血栓傾向の原因になります。

b.    健常人は、PT-INR 1.0前後です。ワルファリンコントロール時は、年齢や疾患によって異なりますが、INR2〜3程度でコントロールすることが多いです。

c.    肺塞栓(PE)の再発予防としては直接経口抗凝固薬(DOAC、新規経口抗凝固薬 NOACとも言う)やワルファリンの内服が有効です。アスピリンは無効です。

d.    オスラー病(遺伝性出血性毛細血管拡張症、遺伝性出血性末梢血管拡張症とも言う)の出血に対しては、根治的な治療法はなく、対症療法になります。
第XIII因子製剤は無効です。
なお、
第XIII因子製剤は、IgA血管炎には用いられることがあります。

e.    von Willebrand病の出血に対しては血漿由来第VIII因子製剤(コンファクトF)が有効です。
コンファクトFは、 第VIII因子製剤ですが純度が悪いために、VWFも豊富に含まれます。
なお、
遺伝子組換え第VIII因子製剤には、VWFは含まれませんので、von Willebrand病の出血には無効です。


(正答)   d


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血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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2017年7月15日

血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)と溶血性尿毒症症候群(HUS)

平成29年度 血液内科学系統講義試験

平成29年7月12日 水曜日 試験時間 16時00分〜17時00分 (60分間)

問26.    血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)および溶血性尿毒症症候群(HUS)の両者に共通した所見の記載として誤っているのはどれか。1つ選べ。

a.    腎障害
b.    クームス試験陰性
c.    血清間接ビリルビンの上昇
d.    血清ハプトグロビンの低下
e.    抗ADAMTS13抗体の出現





(解説) 
a.    腎障害は、TTPでもHUSでもみられます。

b.   
TTPもHUSも、クームス試験陰性です。

c.   
TTPもHUSも、溶血を反映して血清間接ビリルビンが上昇します。

d.   
TTPもHUSも、溶血を反映して血清ハプトグロビンが低下します。

e.    TTPでは、抗ADAMTS13抗体(自己抗体)が陽性になりますが(
そのためにADAMTS13が低下)、HUSでは陰性です。


(正答)   e


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血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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2017年7月14日

播種性血管内凝固症候群(DIC)の病型

平成29年度 血液内科学系統講義試験

平成29年7月12日 水曜日 試験時間 16時00分〜17時00分 (60分間)

問25.    以下の疾患のうち、合併する播種性血管内凝固症候群(DIC)の病型が他の4つと異なるものはどれか。

a.    常位胎盤早期剥離
b.    羊水塞栓
c.    急性前骨髄球性白血病(APL)
d.    大動脈瘤
e.    腹膜炎





(解説)
a.    常位胎盤早期剥離は、線溶亢進型DICを合併して大出血をきたします。

b.    羊水塞栓:同上です。なお、出産時の大出血の原因としては、線溶亢進型DICの他に、後天性血友病も知っておきたいです。

c.    急性前骨髄球性白血病(APL)では、APL細胞にアネキシンIIの過剰発現が診られます。
アネキシンIIは、APLの線溶活性化病態に深く関与しています。

d.    大動脈瘤:線溶亢進型DICを合併します。

e.    腹膜炎、敗血症などの重症感染症では、線溶抑制型DICを発症します。



(正答)   e


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血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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2017年7月13日

抗リン脂質抗体症候群(APS)

平成29年度 血液内科学系統講義試験

平成29年7月12日 水曜日 試験時間 16時00分〜17時00分 (60分間)

問24.    典型的な抗リン脂質抗体症候群(APS)に関する記載内容として、誤っているのはどれか。1つ選べ。

a.    不育症患者で抗カルジオリピン-β2GPI複合体が陽性であればAPSである。
b.    動脈血栓症では脳梗塞が最も多い。
c.    静脈血栓症では深部静脈血栓症が最も多い。
d.    習慣性流産の女性に対してはワルファリン内服が有効である。
e.    APTTクロスミキシング試験の混合曲線がインヒビター型になる。




(解説)
a.    不育症患者では、抗カルジオリピン(-β2GPI複合体)またはループスアンチコアグラントのいずれか一方以上が陽性であればAPSです。

b.    色々な部位の動脈血栓症がありますが、脳梗塞が最も多いです。心筋梗塞は少ないです。

c.    静脈血栓症では、深部静脈血栓症と肺塞栓が多いです。

d.    ワルファリンには、催奇形性の副作用があります。ビタミンK依存性淡白として、VII、IX、X、II、PC、PSの他に、オステオカルシンも知っておきたいです。

e.    APTTクロスミキシング試験の混合曲線がインヒビター型であれば、ループスアンチコアグラント陽性の判定になります。



(正答)   d


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2017年7月12日

出血と血栓の両病態がみられる疾患・病態

平成29年度 血液内科学系統講義試験

平成29年7月12日 水曜日 試験時間 16時00分〜17時00分 (60分間)

問23.    出血と血栓の両病態がみられる疾患・病態として誤っているのはどれか。1つ選べ。


a.    電撃性紫斑病
b.    アミロイドーシス
c.    真性多血症/真性赤血球増加症
d.    Upshaw-Schulman症候群
e.    ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)


(解説)
a.    電撃性紫斑病では、プロテインCが著減して、DICと類似した著しい凝固活性化状態になります。皮膚の微小循環レベルで微小血栓が多発して、二次的に出血するために紫斑もきたします。

b.    アミロイドーシス:アミロイド繊維に第X因子が吸着されたり、線溶活性化、血管壁の脆弱性などが原因となって出血をきたします。

c.    真性多血症/真性赤血球増加症:ヘマトクリットの上昇や血小板数の増加などが原因となって血栓傾向になりますが、一方で血小板の機能は低下しているために、出血傾向もみられます。

d.    Upshaw-Schulman症候群:先天性のTTPです。血小板活性化に伴い血栓傾向になりますが、一方で血小板数が著減していますので、出血もみられます。

e.    ヘパリン起因性血小板減少症(HIT):血小板活性化に伴い血栓傾向になりますが、一方で血小板数が著減していますので、出血もみられます。


(正答)   b


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2017年3月11日

血小板の機能と止血や凝固・線溶の機序を説明できる

CBT(コアカリキュラム)の復元問題と解説です。

出血時間が延長し,活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)軽度延長を示す疾患はどれか.


a 血小板無力症
b von Willebrand病
c 血友病A
d 血友病B
e ビタミンK欠乏症


(ポイント)
出血時間は、
1)血小板数の低下、
2)血小板機能の低下、
3)血管壁の脆弱性のいずれかで延長します。
特に、血小板機能の低下で出血時間が延長する意義が大きいです。

APTTは、内因系凝固活性化機序を反映した検査です。
血液凝固第XII、XI、IX、VIII、X、V、II(プロトロンビン)、I因子(フィブリノゲン)活性の低下で延長します。

(選択肢解説)
a 血小板無力症は、GPIIb/IIIaが欠損することで血小板機能(血小板凝集能)が低下する先天性の出血性疾患です。Glanzmann病とも言います。出血時間は延長しますが、APTTは正常です。

b von Willebrand病(VWD)は、von Willebrand因子(VWF)が先天性に低下する先天性の出血性疾患です。
VWFがないために血小板機能(血小板粘着能)が低下し、出血時間が延長します。
さらに、VWFは第VIII因子のキャリアー蛋白でもあるため、VWDでは第VIII因子活性も低下して、APTTが延長します。
出血時間(血小板関連検査)もAPTT(凝固検査)も延長する疾患は、先天性疾患ではVWDのみであり、後天性疾患では肝硬変などがあリマス(ただし肝硬変では、APTTよりもPTの方が延長しやすいです)。

c 血友病Aは、第VIII因子が欠損する先天性出血性疾患です。APTTが延長しますが、出血時間は正常です。関節内出血、筋肉内出血といった深部出血がみられやすいです。

d 血友病Bは、第IX因子が欠損する先天性出血性疾患です。APTTが延長しますが、出血時間は正常です。臨床症状は、血友病Aと同じです。

e ビタミンK欠乏症は、ビタミンK依存性凝固因子である血液凝固第VII、IX、X、II因子(半減期の短い順番)が低下する後天性出血性疾患です。
重症例ではAPTTが延長しますが、出血時間は正常です。
なお、ビタミンK欠乏症ではAPTTよりもPTの方が延長しやすいです。


(正解)b

(鑑別)

鑑別



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2017年3月10日

CBT(コアカリキュラム)/PT/PT-INRについて

CBT(コアカリキュラム)の復元問題と解説です。

プロトロンビン時間〈PT〉が延長している.活性が低下しているのはどれか.

a 第IV因子
b 第V因子
c 第VI因子
d 第VII因子
e 第VIII因子


(ポイント)
PTは外因系凝固活性化機序を反映した検査です。

血液凝固第VII、X、V、II(プロトロンビン)、I因子(フィブリノゲン)活性の低下で延長します。

(選択肢解説)
a 第IV因子は死語に近いですが、カルシウムイオンを指しています。
カルシウムイオンがないと血液凝固は進行しません。
カルシウムイオンが低下すると純学問的にはPTは延長しますが、問題の文意から第IV因子はナンセンス選択肢と判断します。

b 血液凝固第X、V、II(プロトロンビン)、I因子(フィブリノゲン)活性が低下している場合には、PTもAPTTも延長します。

c 第VI因子は欠番です。ナンセンス選択肢です。

d 第VII因子活性が低下している場合には、PTは延長します(APTTは正常)。

e 第VIII因子活性が低下している場合には、APTTは延長します(PTは正常)。



(正解)b、d

(PT/PT-INRについて)

PT(prothrombin time):プロトロンビン時間

PT-INR(PT-international normalized ratio):プロトロンビン時間国際標準比



正常値

PT:用いる試薬により異なりますが、通常は、10〜12秒程度。
PT-INR:正常値は1.0。ワーファリンコントロール時には、INR 2〜3でコントロールすることが多いです。



意義
PTは、外因系凝固活性化機序を反映する検査です。

すなわち、凝固VII、X、V、II(プロトロンビン)、I(フィブリノゲン)因子の活性低下で、PTは延長します(INRは上昇します)。

PTが延長することと、INRが上昇することは同義です。



INR
ISI:PT試薬ごとに国際感受性指標 (International Sensitivity Index:ISI)が設定されています。
ISIが、1.0に近いPT試薬が好まれます。

PTが延長する(=INRが上昇する)病態
1) ワルファリン内服中:ワルファリンはビタミンKの拮抗薬。ビタミンK欠乏状態に伴い、VII、IX、X、IIの順番で凝固因子活性が低下します。VII因子が最も半減期が短いため、最初に低下します。そのため、ビタミンK欠乏症では、APTTよりもPTの方が先に延長します。


2) ビタミンK欠乏症:同上。


3) 肝不全:凝固因子は肝臓でできるため、肝不全ではPTやAPTTが延長します。
特に、半減期の短い第VII因子を反映するPTは、敏感に延長します。


4) 凝固第VII、X、V因子、プロトロンビン、フィブリノゲンの欠損症または、これらの凝固因子に対するインヒビター。



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2017年3月9日

CBT(コアカリキュラム)/止血機序

CBT(コアカリキュラム)の復元問題と解説です。

血管内皮においてコラーゲンと血小板を接着するのはどれか.

a Ca++
b 第VIII因子
c フィブリノーゲン
d 組織因子
e vWF


(ポイント)

止血のプロセスにおいて、まず血小板がコラーゲンに粘着します(血小板粘着)。
この際、von Willebrand因子(VWF)の介在が必要です。
ついで、フィブリノゲンを介在して血小板が凝集します(ここまでが一次止血)。
血小板上で多くの凝固因子が集合して最終的にトロンビンが形成されると、フィブリノゲンがフィブリンに転換します(ここまでが二次止血)。


(選択肢解説)
a Ca++は、凝固活性化のいくつかのステップで必要です。

b 第VIII因子は、第IX因子の補酵素です。第VIII因子が先天性に欠損している疾患は、血友病Aです。

c フィブリノーゲンは血小板凝集時に、血小板間に介在します。

d 組織因子は、第VII因子とともに、外因系凝固活性化機序の最上流に位置します。

e vWFは、血小板が粘着する際に必要です。


(止血機序)図解します。

止血




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2017年3月8日

CBT(コアカリキュラム)/APTT延長・PT正常

CBT(コアカリキュラム)の復元問題と解説です。

40歳の男性.幽門狭窄症で胃の部分切除を受けた.出血時間に異常はないが,APTT延長,PT正常であった.異常がある凝固因子はどれか.

a II
b V
c VII
d VIII
e IX
f   X
g XI
h XII
i  XIII


(ポイント)

PTが正常ということは、血液凝固VII、X、V、II(プロトロンビン)、I因子(フィブリノゲン)には異常ないと考えられます。
PTが正常で、APTTのみが延長している場合には、血液凝固XII、XI、IX、VIII因子のいずれかの活性が低下していることになります。


(正解)
d、e、g、h


(APTTの延長する代表的疾患・病態)

APTT

1)    血友病A:先天性の第VIII因子欠損症。

2)    血友病B:先天性の第IX因子欠損症。

3)    von Willebrand病(vWD):先天性のvon Willebrand因子(vWF)欠損症。vWFは、第VIII因子のキャリアー蛋白でもあります。vWDでは、第VIII因子を産生できますが、vWFがないために第VIII因子は安定して血中に存在できません。vWDでは、血中第VIII因子活性も低下してAPTTは延長します。

4)    後天性血友病A(第VIII因子インヒビター):第VIII因子活性が低下。

5)    ビタミンK欠乏症:この疾患では、ビタミンK依存性凝固因子である、凝固VII、IX、X、II因子活性が低下します。まず半減期の短い第VII因子が低下するため、PTの延長が目立地ますが、さらに進行するとAPTTの延長もみられます。

6)    ループスアンチコアグラント(LA):LA陽性では、APTTが延長することがあります。LAは抗リン脂質抗体症候群の診断に不可欠な検査です。

7)    肝不全:肝不全ではほとんど全ての凝固因子産生が低下するため、PT&APTTが延長します。初期には半減期の短い第VII因子をひっかけるPTの延長が目立ちますが、進行するとAPTTの延長もみられます。

8)検体へのヘパリンの混入:いわゆるartifactです。ヘパリンロック部位からの採血、透析回路からの採血、動脈留置カテーテルからの採血などでみられることがあります。



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2016年7月21日

ABO不適合輸血・輸血療法・T&S(Type & Screen)

平成28年度血液内科学系統講義試験
細胞移植学(血液内科)
平成28年7月13日(水)


問34.    ABO不適合輸血について正しいのはどれか。2つ選べ。


a.    死亡率は80%である。
b.    即時型血管外溶血が起こる。
c.    溶血の原因に補体系の活性化が関与している。
d.    AB型患者にO型赤血球製剤を輸血した時の死亡率が最も高い。
e.    検査の過誤よりも事務的な過誤(患者誤認や血液製剤の取り違え)により発生する率が高い。   



問35.    輸血療法に関して誤っているのはどれか。2つ選べ。

a.    血小板輸血に際しては交差適合試験が必須である。
b.    血小板輸血後の患者には輸血後感染症の検査が必要である。
c.    赤血球輸血が原因でHIVに感染した場合は生物由来製品感染等被害救済制度の対象となる。
d.    血液製剤を使用した際に作成した記録は、診療録とともに少なくとも5年間は保管する義務がある。
e.    宗教上の理由で輸血を拒否する患者以外であっても、文書によるインフォームドコンセントが必要である。   



問36.    手術中の輸血準備に際して、・の対象となる患者が満たすべき条件はどれか。2つ選べ。

a.    O型
b.    RhD陰性
c.    不規則抗体陰性
d.    輸血の可能性 10%未満
e.    予測出血量 400mL未満   




(正答)

問34   c, e
問35   a, d
問36   c, e



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2016年7月20日

血液製剤・輸血後副作用・アルブミン製剤

平成28年度血液内科学系統講義試験
細胞移植学(血液内科)
平成28年7月13日(水)


問31.    血液製剤の取り扱いについて正しいのはどれか。2つ選べ。


a.    血小板製剤は採血後7日間使用できる。
b.    照射赤血球製剤は照射当日に使用する。
c.    赤血球製剤は冷蔵(2〜6℃)で保存する。
d.    新鮮凍結血漿は採血の1年後から使用できる
e.    血小板製剤は室温(20〜24℃)で振とう保存する。   



問32.    輸血後副作用とその対策の組み合わせで正しいのはどれか。2つ選べ。

a.    TACO (transfusion-associated circulatory overload) ― 血液製剤への放射線照射
b.    輸血後鉄過剰症 ― 鉄キレート療法
c.    パルボウイルス感染症 ― NAT検査
d.    輸血後GVHD ― 免疫抑制剤の予防投与
e.    抗HLA抗体産生 ― 血液製剤からの白血球除去   



問33.    アルブミン製剤に関して正しいのはどれか。2つ選べ。

a.    大量の腹水穿刺時には等張アルブミン製剤を使用する。
b.    肝硬変に伴う浮腫の治療には高張アルブミン製剤を使用する。
c.    投与したアルブミン製剤の血管内回収率はおおよそ40%である。
d.    25%高張アルブミン製剤は5%等張アルブミン製剤に比べてアルブミ含有量が多い。
e.    高張アルブミン製剤は二重ろ過血漿交換療法(DFPP)の補充液として使用される。   



(正答)

問31  c, e
問32  b, e
問33  b, c


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2016年7月19日

APTT延長・紫斑・止血治療・クロスミキシング試験

平成28年度血液内科学系統講義試験
細胞移植学(血液内科)
平成28年7月13日(水)


問30. 70歳代の女性。

主訴:体幹の広範囲な皮下出血。
既往歴:50歳頃から糖尿病、慢性関節リウマチに罹患。異常出血の既往なし。
家族歴:特になし。
現病歴:
1週間前に、上胸背部に皮下出血が出現し、徐々に範囲が拡大してきたため近医受診。
Hb 6.0 g/dlの高度な貧血を認めたため緊急入院した。
赤血球輸血を行うも貧血は改善しなかった。
血小板数やプロトロンビン時間(PT)は正常であったが、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の著明な延長(86秒)、第VIII因子3.2%、他の凝固因子は正常範囲であった。
交差混合試験ではインヒビターパターンを示した。


止血治療として有効なのはどれか。1つ選べ。

a.    DDAVP
b.    ビタミンK
c.    トラネキサム酸
d.    濃厚血小板輸注
e.    活性型プロトロンビン複合体製剤   


(解説)
血小板数やプロトロンビン時間(PT)は正常であったが、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の著明な延長(86秒)、第VIII因子3.2%、他の凝固因子は正常範囲であった。
交差混合試験ではインヒビターパターンを示した。
上記(第VIII因子が著減しておりクロスミキシング試験ではインヒビターパターン)より、後天性血友病Aと診断される。

a     von Willebrand病の止血目的に使用される。
b ビタミンK欠乏症に起因する出血の治療に使用される。
c 過剰な線溶活性化に伴う出血症状に対して、最も効果を発揮する。
d 血小板数低下に起因する出血症状に有効である。
e 第VIII因子インヒビター(後天性血友病、先天性血友病でのインヒビター発症例)での止血目的に使用される。遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(ノボセブン)も同じ目的で使用される。


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2016年7月18日

止血機序・一次止血・二次止血

平成28年度血液内科学系統講義試験
細胞移植学(血液内科)
平成28年7月13日(水)


問29.次の文章を読み、下線を記した中で正しいものはどれか。1つ選べ。


血管が破綻すると血管外のコラーゲンが露出してそれに対して血小板が集まってくるが、この現象を血小板凝集(a)と言う。

さらに多くの血小板が集合するが、これを血小板粘着(b)と言う。

血小板凝集(a)時に血小板とコラーゲンの間を埋める、言わば糊とも言える成分をvon Willebrand因子(vWF)、血小板粘着(b)時の糊にあたる成分がフィブリノゲンである(ここまでが一次止血)。


血小板を反応の場として多くの凝固因子が集まり、最終的にはプロトロンビン(c)という鍵とも言える酵素が産生される。

プロトロンビン(c)がフィブリノゲンをフィブリンに転換すると凝固が完結し止血に至る。

形成されたフィブリン分子を分解(d)するのが第XIII因子(e)である(ここまでが二次止血)。


(解説)


a. 血小板粘着である。
b. 血小板凝集である。
c. トロンビンである。
d. 重合(あるいは、架橋結合、クロスリンク)
e. 第XIII因子で正しい。

フィブリン分子を分解する作用は二次止血ではなく、線溶です。
問題文には(ここまでが二次止血)と書かれていますので、「フィブリン分子を分解する」は、明らかに間違った記載と判断することができます。

この設問では、(ここまでが二次止血)の記載も、ポイントになっています。


(正解)e


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2016年7月16日

血管内皮の抗血栓作用と向血栓作用

平成28年度血液内科学系統講義試験
細胞移植学(血液内科)
平成28年7月13日(水)


問28.    血管内皮の抗血栓作用と関連しているのはどれか。1つ選べ。

a.    組織因子(TF)
b.    エンドセリン(ET)
c.    トロンボキサンA2(TXA2
d.    プロスタサイクリン(PGI2
e.    プラスノゲンアクチベーターインヒビター(PAI)



(解説)

a.    組織因子(TF)は、内因系凝固機序を活性化させる。
b.    エンドセリン(ET)は血管収縮作用があり、向血栓性に作用する。
c.    トロンボキサンA2(TXA2)は、血小板機能亢進作用や血管収縮作用を有している。向血栓性に作用する。
d.    プロスタサイクリン(PGI2)は、血小板機能抑制作用や血管拡張作用を有している。抗血栓性に作用する。
e.    プラスノゲンアクチベーターインヒビター(PAI)は、組織プラスノゲンアクチベータと1対1結合することで、抗線溶作用を発揮する。


(正答)
d


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2016年7月15日

血栓止血関連疾患の検査、治療

平成28年度血液内科学系統講義試験
細胞移植学(血液内科)
平成28年7月13日(水)


問27.    血栓止血関連疾患の検査、治療に関する記載として誤っているのはどれか。1つ選べ。


a.    経口避妊薬を内服すると血中プロテインS活性が低下する。
b.    ワルファリンコントロールは、PT-INR 2〜3前後で行うことが多い。
c.    深部静脈血栓症(DVT)の再発予防としては、新規経口抗凝固薬(直接作用型経口抗凝固薬)内服が有効である。
d.    血友病Bの出血に対しては、遺伝子組換え第IX因子製剤が有効である。
e.    von Willebrand病の出血に対しては、遺伝子組換え第VIII因子製剤が有効である。



(解説)

a.    経口避妊薬を内服すると血中プロテインS活性が低下することが、経口避妊薬の血栓傾向の原因と考えられている。

b.    ワルファリンコントロールは、PT-INR 2〜3前後で行う。

c.    深部静脈血栓症(DVT)の再発予防としては、新規経口抗凝固薬(直接作用型経口抗凝固薬)内服が有効である。アスピリンは無効である。

d.  血友病Bの出血に対しては、遺伝子組換え第IX因子製剤が有効であるので、正しい。
 
e.   von Willebrand病の出血に対しては、DDAVPまたはvon Willebrand因子含有血漿由来第VIII因子製剤(コンファクトF)が有効である。遺伝子組換え第VIII因子製剤は、von Willebrand因子が含まれないため全く無効である。


(正答)
e

 <リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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