金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2018年03月25日

DIC臨床検査所見、PT、APTT、出血時間(CBT)

CBTの再現問題と解説です。

DICでみられるのはどれか.

a 出血時間正常,PT正常,APTT正常
b 出血時間正常,PT正常,APTT延長
c 出血時間正常,PT延長,APTT正常
d 出血時間正常,PT延長,APTT延長
e 出血時間延長,PT正常,APTT正常
f 出血時間延長,PT正常,APTT延長
g 出血時間延長,PT延長,APTT正常
h 出血時間延長,PT延長,APTT延長




(解説)

DICの診断には、血液凝固検査の評価が不可欠です。
本問には登場しませんが、FDP、D-ダイマーはもっとも重要なマーカーです。




(正解)h



(ポイント)


播種性血管内凝固症候群(DIC)の臨床検査所見
1.基礎疾患の存在.

2.出血症状の存在.

3.臓器症状の存在.

4.血小板数の低下

5.血中FDP(D-ダイマー)の上昇

6.血中フィブリノゲンの低下
7.プロトロンビン時間(PT)の延長(進行例でのみAPTTの延長もみられることあり)
8.アンチトロンビン (AT)の低下:消費性凝固障害の一環として、活性型凝固因子と1:1結合。
9.プラスミノゲンの低下、α2プラスミンインヒビター(α2PI)の低下。消費性凝固障害の一環として、二次線溶に伴い消費される。特に、線溶亢進型DICの典型例では、α2PIは著減する。
3. トロンビン-アンチトロンビン複合体(TAT)、可溶性フィブリン(SF)の上昇。
4. プラスミン-α2PI複合体(PIC) の上昇。特に、線溶亢進型DICの典型例では、PICは著増。

(備考)
本問では、APTTの延長を正解にして良いですが、実臨床ではAPTTの延長しないDICも多いです。


DICの病型分類

線溶抑制型DIC:敗血症などの重症感染症。臓器症状がみられやすいです。
線溶亢進型DIC:急性前骨髄球性白血病(APL)、大動脈瘤、巨大血管腫、前立腺癌など。出血症状がみられやすいです。
線溶均衡型DIC;固形癌など(ただし一部の癌は線溶亢進型DIC)。

<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:13| 医師国家試験・専門医試験対策