金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2017年07月18日

広範な皮下出血・APTT延長

平成29年度 血液内科学系統講義試験

平成29年7月12日 水曜日 試験時間 16時00分〜17時00分 (60分間)

問29.    70歳代の男性

【主訴】体幹の広範囲な皮下出血。

【既往歴】50歳頃から糖尿病に罹患。抜歯歴があるが異常出血なし

【家族歴】特になし(異常出血者なし)。

【現病歴】
1週間前に上胸背部に皮下出血が出現し、徐々に範囲が拡大してきたため近医受診。
Hb 6.0 g/dlの高度な貧血を認めたため緊急入院した。
赤血球輸血を行うも貧血は改善しなかった。
血小板数やプロトロンビン時間(PT)は正常、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の著明な延長(86秒)、第VIII因子活性は3.2%と著減していたが、他の凝固因子は正常範囲であった。


止血療法としてとして最も有効なのはどれか。1つ選べ。


a.    DDAVP
b.    ビタミンK
c.    新鮮凍結血漿
d.    遺伝子組換え第VIII因子製剤
e.    遺伝子組換え活性型第VII因子製剤




(解説) 
第VIII因子の著減、APTTの延長が見られていますが、異常出血の家族歴や既往歴がありません。
先天性の血友病Aではないようです。
第VIII因子に対する自己抗体の出現した、後天性血友病Aです。

遺伝子組換え第VIII因子製剤は無効です。
遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(ノボセブン)または活性型プロトロンビン複合体製剤(ファイバ)などが止血に有効です。



(正答)
    e


 <リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:42| 医師国家試験・専門医試験対策