金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2013年4月30日

後天性抗第V因子インヒビター(2)発生機序、タココンブ

後天性抗第V因子インヒビター(1)概念・定義、疫学より続く。

後天性抗第V因子インヒビター(2)発生機序


<発生機序


過去に報告された抗第V因子(FV)インヒビターのほとんどが、手術時の止血目的で用いるフィブリン糊の使用後に発生しています。

心臓手術患者の40〜66%、神経系手術患者の20%で、ウシトロンビン関連抗FVインヒビターが発生します。

Streiff MB, Ness PM: Acquired factor V inhibitors: a needless iatrogenic complication of bovine thrombin exposure. Transfusion 42: 18-26, 2002.


ウシトロンビンが誘因となる抗FVインヒビター保有患者の多くは、凝血学的検査異常のみで出血症状は認めず、抗体も一過性のことが多いです。

我が国におけるフィブリン糊は、2011年ウシ由来トロンビン画分(タココンブ)をヒト血漿由来トロンビン画分(タコシール)に変更しました。

また、海外では遺伝子組換えトロンビンの使用が増加しており、ウシFV混入が誘因となる抗FVインヒビター発生例は今後減少していくと考えられます。


ウシトロンビン暴露やFV欠損症患者で発生する抗FVインヒビター(免疫抗体)症例を除きますと、約半数で自己免疫性疾患や悪性腫瘍が基礎疾患として認められます。

Franchini M, Lippi G: Acquired factor V inhibitors: a systematic review. J Thromb Thrombolysis 314:449-457, 2011.

Ang AL, Kuperan P, Ng CH, et al: Acquired factor V inhibitor. A problem-based systematic review. Thromb Haemost 101:852-859, 2009.



また、発症前もしくは発症時に何らかの薬剤を使用していた症例は全体の約40%で、抗生剤(βラクタム系、アミノグリコシド、セファロスポリン、など)の投与が最も多い結果でした。

その他輸血、感染症、手術なども合併要因としてあげられます。

しかし実際には、細菌感染症に抗生剤を投与するなど、いくつかの要因が重なって存在することが多く、インヒビター発生要因を一つに特定することは困難です。

インヒビターの多くはpolyclonal IgGであり、FV軽鎖上のC2ドメインを認識するものが多いです。

C2ドメインはリン脂質との結合部位であり、インヒビターはリン脂質との結合を阻害する可能性が考えられています。

Ajzner E, Balogh I, Haramura G, et al: Anti-factor V auto-antibody in the plasma and platelets of a patient with repeated gastrointestinal bleeding. J Thromb Haemost 1:943-949, 2003.


(続く)後天性抗第V因子インヒビター(3)病態


<リンク>
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:43 | 出血性疾患

2013年4月29日

後天性抗第V因子インヒビター(1)概念・定義、疫学

後天性抗第V因子(FV)インヒビターを、シリーズで記事にさせていただきます。

後天性抗第V因子インヒビター(1)概念・定義、疫学


<概念・定義>


後天性抗第V因子(FV)インヒビターとは、FVに対する自己抗体が出現し、その結果FV活性(FV:C)の低下をきたし、後天的に出血症状を発症する疾患です。

症状の程度は、無症候性から致死的な出血まで様々です。

過去の症例報告のほとんどが、手術時に使用したフィブリン糊(ウシトロンビン画分を含む)が関連して発症したインヒビターです。

Knoble P, Lechner K: Acquired factor V inhibitors. Baillieres Clin Haematol 11:305-318, 1998.


ウシトロンビン画分中には少量のウシFVが混入しており、ヒトFVとの共通抗原に対して抗体産生を促すと考えられています。


<疫学>

後天性抗FVインヒビターの発生はまれですが、1955年にHörderが初めて報告して以来2001年までに120数例の報告があります。

その症例報告の約2/3で、ウシトロンビン暴露が成因となっています。

Streiff MB, Ness PM: Acquired factor V inhibitors: a needless iatrogenic complication of bovine thrombin exposure. Transfusion 42: 18-26, 2002.


一方、ウシトロンビン起因性を除いた抗FVインヒビターの症例報告約70数例をまとめた最近の2つの総説によりますと、年齢の中央値は69歳(3-91歳)あるいは71歳(3-95歳)と高齢者に多く、男女比は1.8-2.0:1と男性に多い結果でした。

Franchini M, Lippi G: Acquired factor V inhibitors: a systematic review. J Thromb Thrombolysis 314:449-457, 2011.

Ang AL, Kuperan P, Ng CH, et al: Acquired factor V inhibitor. A problem-based systematic review. Thromb Haemost 101:852-859, 2009.



日本血栓止血学会学術標準化委員会が実施した「わが国における後天性凝固因子インヒビターの実態に関する3年間の継続調査」結果(2008年)によりますと、インヒビター55例中抗FVインヒビターをもつ症例は1例で、56歳の男性でした。

田中一郎、天野景裕、瀧正志、ほか:わが国における後天性凝固因子インヒビターの実態に関する3年間の継続調査—予後因子に関する検討—.血栓止血会誌19:140-153, 2008.


(続く)後天性抗第V因子インヒビター(2)発生機序、タココンブ


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血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
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2013年4月28日

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)新人歓迎会(6)

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)新人歓迎会(5)より続く。

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の新人歓迎会(6)  

新歓6
 
 
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2013年4月27日

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)新人歓迎会(5)

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)新人歓迎会(4)より続く。

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の新人歓迎会(5)  

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2013年4月26日

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)新人歓迎会(4)

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)新人歓迎会(3)より続く。

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の新人歓迎会(4)  

新歓4
 

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2013年4月25日

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)新人歓迎会(3)

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)新人歓迎会(2)より続く。

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の新人歓迎会(3)

新歓3
 

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2013年4月24日

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)新人歓迎会(2)

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)新人歓迎会(1)より続く。

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の新人歓迎会(2)

新歓2
 

(続く)金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)新人歓迎会(3)

 

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血液凝固検査入門(図解シリーズ)
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2013年4月23日

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)新人歓迎会(1)

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の新人歓迎会(平成25年4月13日)が、ホテル金沢で行われました。大変に楽しい会になりました。

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)の新人歓迎会(1)

新歓

(続く)金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)新人歓迎会(2)


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血液凝固検査入門(図解シリーズ)
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2013年4月22日

後天性血友病A(インデックス)

後天性血友病(3)治療、予後より続く。

 

後天性血友病(インデックス)


関連記事;後天性血友病とは:インデックスページ


<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
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2013年4月21日

後天性血友病(3)治療、予後

後天性血友病(2)診断、鑑別診断より続く。

後天性血友病(3)

参考;後天性血友病とは:インデックスページ

アルゴリズム
PSL:predonisolone、CPA:cyclophosphamide、CyA:cyclosporine A、AZP:azathioprine(日本血栓止血学会後天性血友病A診療ガイドライン.血栓止血会誌 22:295-322, 2011より引用)
 


<治療>

田中一郎ほか:日本血栓止血学会後天性血友病A診療ガイドライン.血栓止血会誌22:295-322, 2011.

後天性血友病の治療の原則は、止血療法と免疫抑制療法です。

インヒビターを除去しない限り出血をきたす危険性があるため、診断後直ちにインヒビター消失を目的とした免疫抑制療法を開始します。

さらに、重度な出血症状がある場合に止血治療を開始します。


止血療法

止血治療の対象となるのは、生命の危険を及ぼすような重篤な臓器出血や、貧血の進行を認めるような皮下出血等の軟部組織への出血です。

このような出血症状を認めた場合は、速やかに止血治療を開始する必要があります。

バイパス止血製剤

本疾患の止血療法は、バイパス止血製剤が第一選択となります。

現在、本邦で使用できるバイパス止血製剤は遺伝子組換え活性型凝固第VII因子製剤rFVIIa:ノボセブン)もしくは活性型プロトロンビン複合体製剤APCC:ファイバ)です。

用法・用量は、通常rFVIIaでは90〜120 μg/kgを2-3時間毎に反復投与します。

Hay CR, et al: The treatment of bleeding in acquired haemophilia with recombinant factor VIIa: a multicentre study. Thromb Haemost 78: 1463-1467, 1997.

出血後可及的早期の投与がより有効です。

一方、APCCでは50〜100 U/kgを8-12時間毎1-3回/日投与します。

Sallah S: Treatment of acquitted haemophilia with factor eight inhibitor bypassing activity. Haemophilia 10:169-173, 2004.

一日最大投与量は200 U/kgで、トランサミンとの併用は禁忌です。


両製剤の止血効果は同等であり、比較試験はこれまでに行われていないため、あらかじめどちらの製剤の方が有効かを予測することは困難です。

rFVIIaおよびAPCCの副作用としては血栓塞栓症がありますが、発症頻度は低いと考えられています。

Summner MJ, et al: Treatment of acquired haemophilia with recombinant activated FVII: a critical appraisal. Haemophilia 13:451-461, 2007.

Ehrlich HJ, et al: Safety of factor VIII inhibitor bypass activity (FEIBA): 10-year complication of thrombotic adverse events. Haemophilia 8:83-90, 2002.

しかしながら、動脈硬化が進行した高齢者や肥満、高脂血症、虚血性心疾患などのリスクを有する症例では、血栓マーカーの定期的チェックを行うなど血栓症の発症に留意しながら使用すべきです。


第VIII因子製剤、DDAVP(デスモプレシン)

インヒビター力価が極めて低く、FVIII: Cが検出される場合には、FVIII製剤またはDDAVPによりFVIII:Cが上昇する可能性があります。

しかしながら、必ずFVIII:Cの注意深いモニタリングが必要です。

 

免疫抑制療法(インヒビター除去)

本邦のガイドラインでは、免疫学的治療の第一選択は副腎皮質ホルモン(PSL) 1 mg/kg/日の単独投与としています。

ただし、既にステロイドが使用されている症例では、cyclophosphamide(CPA) 50-100 mg/kg/日の併用も考慮します。また、高容量γグロブリン製剤の有効性に関するエビデンスはなく、推奨されていません。

免疫抑制療法の効果は、APTT、FVIII:C、インヒビター力価を測定して判定しますが、中でもインヒビター力価の低下の程度を最も重要視します。

治療開始後4〜6週間経過してもインヒビター力価の低下が認められない場合は、薬剤の追加や変更を考慮します。

追加・変更薬剤としては、従来はcyclosporin A(CyA)azathioprine(AZP)などが選択されていましたが、近年は抗CD20抗体であるrituximabが注目されています。

Wiestner A, et al: Rituximab in the treatment of acquired factor VIII inhibitors. Blood 100:3426-3428, 2002.

現時点では、rituximabと他の免疫抑制剤との比較試験がないため、どちらが優れているかは明らかではありませんが、海外では第一選択薬の効果が不十分な場合の第二選択薬として位置付けており、AZPやCyAより推奨度が高いです。

Collins PW, et al: Consensus recommendations for the diagnosis and treatment of acquired hemophilia A. BMC Res Notes 3:161-168, 2010.


<予後>

本邦における2008年調査結果によりますと、後天性血友病A 40例中インヒビター消失は21例(52%)、インヒビター残存は9例(23%)でした。

田中一郎、ほか:わが国における後天性凝固因子インヒビターの実態に関する3年間の継続調査—予後因子に関する検討—.血栓止血会誌19:140-153, 2008.

インヒビター消失までの期間は0.5〜15か月(中央値2か月)であり、81%が半年以内に消失しました。

本症は一部で再燃をきたすことが知られており、免疫抑制療法中止後中央値7.5か月でインヒビターが再発しています。

そのため、治療終了後の半年間は月1回、半年から1年までは2か月に1回の間隔で、APTTとFVIII:Cをモニターすることが推奨されています。

嶋緑倫:後天性凝固異常症の病態と治療:後天性血友病を中心に.臨床血液51:211-218, 2010.

生命予後は決して良好ではなく、死因の多くは重篤な出血と免疫抑制療法に伴う重症感染症です。

したがって、免疫抑制剤投与中は感染症の予防対策を行い、免疫機能をチェックしながら早期発見に努める必要があります。

(続く)


<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
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参考:血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:02 | 出血性疾患

2013年4月20日

後天性血友病(2)診断、鑑別診断

後天性血友病(1)概念、疫学、病態より続く。


後天性血友病(2)

参考;後天性血友病とは:インデックスページ


<診断>

田中一郎ほか:日本血栓止血学会後天性血友病A診療ガイドライン.血栓止血会誌22:295-322, 2011.

嶋緑倫:後天性凝固異常症の病態と治療:後天性血友病を中心に.臨床血液51:211-218, 2010.


診断手順としては、高齢者あるいは分娩後の女性に原因不明の出血症状を認めたらまず本疾患を疑い、次に述べる血液検査を実施していきます。

検査

出血傾向のスクリーニング検査の中で、血小板数、出血時間、フィブリノゲン値、プロトロンビン時間(PT)は正常で、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)のみが延長を認めます。

このような場合FVIII:Cの測定を行い、低下していた場合は抗FVIIIインヒビター定性試験としてAPTTクロスミキシング試験(APTT交差混合試験)を行います。


FVIII:C測定

本邦の前向き調査によりますと、初診時に半数以上の症例でFVIII:Cが検出されます。

田中一郎ほか:わが国における後天性凝固因子インヒビターの実態に関する3年間の継続調査—予後因子に関する検討—.血栓止血会誌19:140-153, 2008.

しかし、後天性血友病では出血症状の重症度とFVIII:Cレベルが全く相関しないので注意が必要です。


APTTクロスミキシング試験

ズ

(A)先天性血友病(凝固因子欠乏症)では、正常血漿の添加によりAPTT延長は補正され、下に凸のパターンを示します。一方、後天性血友病では、APTT延長は補正されにくく、上に凸もしくは直線的なパターンを示します。
(B)後天性血友病では、混和直後に下に凸のパターンであったものが、37℃2時間加温にて明らかな上に凸のパターンあるいは直線的なパターンになります。
 

患者血漿に正常血漿を一定の比率で混合してAPTTを測定することにより、凝固因子欠乏症とインヒビターとを鑑別する検査です。

図Aに示すように先天性血友病では、正常血漿の添加により延長したAPTTは短縮しますが、後天性血友病では短縮されません。

検査上の注意点として、FVIIIに対するインヒビターの反応は時間および温度依存性ですので、APTT測定は0時間と37℃2時間加温後の両方で実施することが重要です(図B)

Hay CR, et al: The diagnosis and treatment of factor VIII and IX inhibitors: a guideline from the United Kingdom Haemophilia Centre Doctors’ Organization. Br J Haematol 133:591-605, 2006.


また、APTT試薬の中にはFVIII:C低下に対して感度が低い試薬がありますので、混合試験にてインヒビターパターンを示さなくても後天性血友病は否定できません。


インヒビター力価の測定

診断の確定は、抗FVIIIインヒビターの検出です。

インヒビター力価の測定は、通常Bethesda法にて行います。すなわち、段階希釈した患者血漿と正常血漿を等量混合して37℃2時間加温後残存するFVIII:Cを測定します。残存FVIII:Cが25-75%に入る希釈倍率で得られたインヒビター力価に、その希釈倍率を乗じて最終インヒビター力価とします。

インヒビターはFVIII:Cの抑制パターンにより、先天性血友病に多く見られるタイプ(I)と後天性血友病に多く見られるタイプ(II)に分類されます。

タイプ(I)は検体希釈度と残存FVIII:Cが比例直線的に相関し、インヒビター存在時のFVIII:Cは通常1%未満です。


一方、タイプ(II)は希釈倍数と残存FVIII:Cは相関しません。

このような場合は、残存活性が50%を超えた希釈倍数をもってインヒビター力価を算出するのが望ましいですが、現時点では検査の標準化はなされていません。

したがって、インヒビター力価はFVIII:Cと同様に病勢の強さを反映するものではなく、むしろ治療反応性のモニタリングとして用いた方が良いです。

 

<鑑別診断>

・von Willebrand病(vWD):vWD はAPTT延長・FVIII:C低下を認めるため、von Willebrand因子リストセチンコファクター活性を測定することにより鑑別が必要です。

・Lupus anticoagulant (LA)ループスアンチコアグラント(LA)が陽性の場合、凝固検査試薬中のリン脂質を抑制するため、APTTが延長したりFVIIIなどの内因系凝固因子活性が見かけ上低値となることがあります。

クロスミキシング試験でもインヒビターパターンを示し、さらにはFVIIIインヒビターが偽陽性となることがあります。

Kazmi MA, et al: Acquired haemophilia A: errors in the diagnosis. Blood Coagul Fibrinolysis 9:623-628, 1998.

このような場合は、検体をさらに希釈するか、合成発色基質法やFVIII抗原を測定することで鑑別できます。

・他の内因系凝固因子活性が低下:抗FVIIIインヒビターが高力価の場合、測定で使用する欠乏血漿中のFVIIIを失活するため、見かけ上第IX因子などの他の内因系凝固因子活性も同時に低下することがあります。

ですから、複数の凝固因子インヒビターが存在すると誤った判断をせずに、凝固因子抗原を測定したり特異的抗凝固因子結合抗体をELISAで測定するなどして、鑑別する必要があります。

(続く)後天性血友病(3)治療、予後


<リンク>

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2013年4月19日

後天性血友病(1)概念、疫学、病態

後天性血友病(1)

参考;後天性血友病とは:インデックスページ


<概念>

後天性血友病Aとは、第VIII因子(FVIII)に対する自己抗体が出現し、その結果第VIII因子活性(FVIII:C)の低下をきたし後天的に出血症状を発症する疾患です。

FVIII遺伝子異常により先天性にFVIIIが低下する先天性血友病Aとは、全く異なる疾患です。

2011年に日本血栓止血学会が『後天性血友病A診療ガイドライン』を作成しましたので、本疾患の診断ならびに治療に際しては必ず一読されることをお薦めしたいと思います。本シリーズでは、このガイドラインを基に概説したいと思います。

田中一郎ほか:日本血栓止血学会後天性血友病A診療ガイドライン.血栓止血会誌22:295-322, 2011.


<疫学>

発症率は、最近の英国からの報告によると100万に対して1.48人と言われています(ただし、これは実状よりも相当に低く見積もられているのではないかと、管理人らは考えています)。

Collins PW, et al: UK Haemophilia Center Doctors’ Organization: Acquired hemophilia A in the United Kingdom: a 2-year national surveillance study by the United Kingdom Haemophilia Center Doctors’ Organization. Blood 109:1870-1877, 2007.

本症はまれな疾患と考えられてきましたが、最近認知度が高くなり、従来の報告よりも相当に発生数が多いものと推測されます。

日本血栓止血学会学術標準化委員会が実施した調査結果(2008年)によりますと、性差は明らかではありません(男女比=1:0.9)。

発症年齢は、女性を中心とした20−30歳台のピークと70歳台を頂点とする60−80歳台のピークを示します。

田中一郎ほか:わが国における後天性凝固因子インヒビターの実態に関する3年間の継続調査—予後因子に関する検討—.血栓止血会誌19:140-153, 2008.


<病因>

FVIIIに対する自己抗体の発生機序はいまだ不明な点が多いですが、本邦での調査によりますと、自己免疫性疾患(17%)や悪性腫瘍(17%)、妊娠/分娩(6%)などの基礎疾患を有する場合が75%以上みられます。

また、本症は高齢者の発症も多いことから、加齢も要因の一つと考えられます。

基礎疾患の詳細につきましては、上記の調査報告書を参照していただければと思います。


<病態>

今までに出血性素因がなく出血の家族歴もない成人が、突然広範で重篤な皮下・筋肉内出血を発症します。

最も頻度が高い出血症状は皮下出血で、特に打撲部位、注射部位におきやすいです。

この他、重篤な腹腔内出血や後腹膜出血、卵巣出血、胸腔内出血で発症する場合もあります。

先天性血友病に比べ重篤なものが多く、また先天性血友病で多く見られる関節内出血がまれな点も特徴です。

一方、出血症状が全くみられず、術前検査などで偶然発見される場合や、軽度の出血症状で治療を要しない症例が3割程度みられます。


嶋緑倫:後天性凝固異常症の病態と治療:後天性血友病を中心に.臨床血液51:211-218, 2010.


(続く)後天性血友病(2)診断、鑑別診断


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2013年4月18日

血液疾患セミナーのご案内:DIC・血栓塞栓症と抗凝固療法

血液疾患セミナー

日時:平成25年4月18日(木) 19時00分より
場所:金沢大学附属病院 外来診療棟4F 「宝ホール」


特別講演

座長:金沢大学 血液内科・呼吸器内科 教授 中尾 眞二

「DIC・血栓塞栓症における抗凝固療法」

名古屋大学医学部附属病院 輸血部 教授 

松下 正 先生


主催:旭化成ファーマ株式会社


<リンク>

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2013年4月17日

金沢の桜:金沢大学附属病院から歩いて(9)桜のトンネル

金沢の桜:金沢大学附属病院から歩いて(9)

兼六園〜金沢城などの画像です。

<兼六園と金沢城間の桜のトンネルです>

桜26


<金沢市内関連病院の桜のトンネルです>
桜27


<金沢城内の桜のトンネルです>
桜25

 

<リンク>

 
 
 

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2013年4月16日

金沢の桜:金沢大学附属病院から歩いて(8)


金沢の桜:金沢大学附属病院から歩いて(8)

兼六園〜金沢城の画像です。

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2013年4月15日

金沢の桜:金沢大学附属病院から歩いて(7)

金沢の桜:金沢大学附属病院から歩いて(7)

兼六園〜金沢城の画像です。

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2013年4月14日

金沢の桜:金沢大学附属病院から歩いて(6)

金沢の桜:金沢大学附属病院から歩いて(6)

兼六園〜金沢城の画像です。

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2013年4月13日

金沢の桜:金沢大学附属病院から歩いて(5)

金沢の桜:金沢大学附属病院から歩いて(5)

兼六園〜金沢城の画像です。

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2013年4月12日

金沢の桜:金沢大学附属病院から歩いて(4)

金沢の桜:金沢大学附属病院から歩いて(4)

兼六園〜金沢城の画像です。

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2013年4月11日

金沢の桜:金沢大学附属病院から歩いて(3)

金沢の桜:金沢大学附属病院から歩いて(3)

兼六園〜金沢城の画像です。

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2013年4月10日

金沢の桜:金沢大学附属病院から歩いて(2)

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兼六園〜金沢城の画像です。

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2013年4月9日

金沢の桜:金沢大学附属病院から歩いて(1)

金沢大学附属病院から歩いて数分ちょっとのところに、兼六園があります。

桜のシーズンは素晴らしくて、ため息が出ることもあります。
金沢大学附属病院で勤務される研修医の先生も、この場でレフレッされては如何でしょうか。

金沢の桜:金沢大学附属病院から歩いて(1)


桜3

 

桜2
 
桜1

 

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2013年4月8日

重症血友病における第VIII因子製剤とインヒビターの発症

論文紹介です。

参考:血友病後天性血友病rFVIIa血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)


重症血友病における第VIII因子製剤とインヒビターの発症

著者名:Gouw SC, et al.
雑誌名:N Engl J Med 10: 2254-2263, 2013.


<論文の要旨>

未治療の重症血友病Aの小児において、第VIII因子製剤の種類や製剤間の切替えが、インヒビター発症に関連するかどうかは不明です。


著者らは、重症血友病 A患者 574 例(第 VIII 因子活性<0.01 IU/mL、2000〜2010 年に出生)を対象に、最長 75 日間におけるすべての凝固因子製剤投与についてデータを集積しました。

主要転帰はインヒビター発症とし、インヒビターが 2 回以上陽性で、体内における第 VIII 因子活性の回復が低下している場合と定義しました。


その結果、インヒビターは 574 例中 177 例で発症しており(累積発症率 32.4%)、116 例では高力価のインヒビター(最高力価が 5 B.U./mL 以上)でした(累積発症率 22.4%)。

血漿由来製剤は、遺伝子組換え型製剤と比較して、インヒビター発症頻度は同じでした。

第二世代の全長組換え型製剤は、第三世代の全長遺伝子組換え型製剤と比較して、インヒビター発症は高率でした。

凝固因子製剤中のvon Willebrand因子含有量や製剤間の切替えは、インヒビター発症と無関係でした。


以上、遺伝子組換え第 VIII 因子製剤と血漿由来第 VIII 因子製剤におけるインヒビター発症は同率であり、製剤中von Willebrand因子含有量や製剤間の切替えは、インヒビター発症に関与していないと考えられました。

第二世代の全長遺伝子組換え製剤は、第三世代製剤と比較してインヒビター発症率が高い事が明らかになりました。



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2013年4月7日

第XIII因子欠損&アレルギー性紫斑病とrFVIIa(ノボセブン)

論文紹介です。

参考:血友病後天性血友病rFVIIa(ノボセブン)血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)


コンパートメント症候群と第XIII因子欠損をきたしたアレルギー性紫斑病に対するrFVIIaの効果

著者名:Alioglu B, et al.
雑誌名:Blood Coagul Fibrinolysis 24: 102-105, 2013.


<論文の要旨>

著者らは、コンパートメント症候群と第XIII因子欠損をきたしたアレルギー性紫斑病(Schoenllin-Hemoch purpura: HSP)の男児7才に対して、遺伝子組換え活性型第VII因子(rFVIIa)と筋膜切開術を行った症例の報告を行っています。


コンパートメント症候群をきたしたHSP症例に対する治療法は定まったものはなく、症例毎に検討しているのが現状です。

また、このような症例では第XIII因子活性が低下している可能性に留意する必要があります。

コンパートメント症候群をきたしたHSP症例の出血に対してはrFVIIaが有効である可能性があります。

また、コンパートメント症候群に対しては手術治療も選択されえます。

しかし、凝固異常を伴っている場合には、その是正の方が優先されるべきです。


以上、rFVIIaは凝固異常のためにコンパートメント症候群をきたした小児に対して有効な治療選択肢になるものと考えられました。




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2013年4月6日

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)送別会(5)

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)送別会(4)より続く。

送別会9

 
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2013年4月5日

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)送別会(4)

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)送別会(3)より続く。

送別会7 
   
送別会8

 

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2013年4月4日

桜:兼六園〜金沢城/金沢大学附属病院から歩いて(1)

平成25年度の桜の画像をお届けしたいと思います。

兼六園〜金沢城にかけての桜です。

金沢大学附属病院から歩いて数分で兼六園に到着できます。

研修医の先生方にも味わっていただきたいところです。


桜:兼六園〜金沢城(1)

桜1
桜2
 
桜3

 

 


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金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)送別会(3)

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)送別会(2)より続く。

送別会5 
 
送別会6

 

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2013年4月3日

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)送別会(2)

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)送別会(1)より続く。

送別会3

 
送別会4

 

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2013年4月2日

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)送別会(1)

金沢大学第三内科(血液・呼吸器内科)送別会(1)

金沢大学第三内科の送別会(平成25年3月21日)の様子です。

大変に楽しい会になりました。

送別会1

 
送別会2


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2013年4月1日

第XIII因子インヒビターと出血

論文紹介です。

参考:血友病後天性血友病rFVIIa血栓止血の臨床日本血栓止血学会HPへ)


「第XIII因子インヒビターに伴う致命的な出血傾向

著者名:Sugiyama H, et al.
雑誌名:Blood Coagul Fibrinolysis 24: 85-89, 2013.


<論文の要旨>

先天性第XIII因子欠損症は、まれな出血性素因です(参考:遺伝子組換え第XIII因子製剤:第XIII因子欠損症に対して)。

一方、第XIII因子の産生低下や消費亢進に伴う後天性第XIII因子欠損症は少なくないです(出血症状をきたすことはほとんどありません)。

ただし、第XIII因子に対する自己抗体が出現することによる自己免疫性/後天性出血性素因(autoimmune/acquired hemorrhaphilia XIII due to anti-FXIII antibodies : AH13)はまれな疾患ですが、致命的な出血症状をきたします。


著者らはAH13の全国調査を通して、66才女性の重症AH13を診断しました。

患者は手に皮下血腫をきたしたために受診となりました。

1.5ヵ月後には、筋肉内血腫もきたしましたが、第XIII因子活性は約半分(52%)を維持していました。


出血傾向は重症化して、大きな腹部の筋肉内血腫、骨盤内出血、腹膜内出血もきたすようになりました。

患者が出血をきたすようになって2ヶ月後、血漿交換治療を行ったにもかかわらず死亡しました(血漿交換は第XIII因子に対する抗体を強く疑ったために行われました)。

死亡7日後に、第XIII因子活性が6%に低下し、第XIII因子に対する抗体が存在していることが外注検査会社より報告されました。

著者らが後日dot blotを行ったところ、FXIII-サブユニットAに対する自己抗体が検出されました。


以上、重症AH13を救命するには迅速な診断が必要と考えられました。




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