金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2009年02月07日

急性咳嗽:咳嗽の診断と治療(3)

 

咳嗽の定義 & 性状:咳嗽の診断と治療(2)からの続きです。



【急性咳嗽】

急性咳嗽(がいそう)の原因疾患を以下に示します。

1.胸部X線で異常を認める重篤な疾患

a. 心血管系疾患: 肺血栓塞栓症、うっ血性心不全
b. 感染症: 肺炎、肺結核
c. 悪性腫瘍: 原発性・転移性肺腫瘍
d. 免疫アレルギー的機序: 各種間質性肺疾患


2.胸部X線で異常を認めない場合のある感染性疾患

普通感冒、急性気管支炎、マイコプラズマ感染、クラミジア感染、百日咳、インフルエンザウイルス感染、慢性気道疾患急性増悪、急性鼻副鼻腔炎、RSウイルス感染、ヒトメタニューモウイルス感染

3.遷延性・慢性咳嗽の原因疾患の初発
気管支喘息、咳喘息、アトピー咳嗽、鼻副鼻腔炎、GERD、ACE阻害薬

4.健常成人ではまれな疾患:誤嚥、気道内異物など





急性咳嗽のアウトラインを以下の図に示します。

咳2


急性咳嗽のなかで最も頻度の高いのは、感染性疾患です。その中でも鼻腔から喉頭までの上気道のウイルス感染によるかぜ症候群の頻度が最も高いです。特に治療を行わなくとも自然治癒することが多いです。

その後、咳嗽の持続期間が長くなってきますと、非感染性疾患による遷延性・慢性咳嗽の頻度が増加してきます。

また、急性咳嗽の診療を行う場合には、全ての遷延性咳嗽と慢性咳嗽が発症当初は急性咳嗽の形をとるため、急性咳嗽の診断においても遷延性および慢性咳嗽の原因疾患に対する知識が要求されることになります。

(続く)

  

【シリーズ】  咳嗽の診断と治療

1)ガイドライン

2)咳嗽の定義 & 性状

3)急性咳嗽

4)遷延性咳嗽 & 慢性咳嗽

5)咳嗽の発症機序

6)診断フローチャート

7)咳喘息

8)アトピー咳嗽 vs. 咳喘息

9)副鼻腔気管支症候群(SBS)

10) 胃食道逆流症(GERD)

11)慢性咳嗽&ガイドライン

 

【関連記事】 好酸球性下気道疾患

1)概念 & β2-刺激薬の特徴

2)咳喘息

3)アトピー咳嗽 & 非喘息性好酸球性気管支炎

4)咳喘息・アトピー咳嗽・非喘息性好酸球性気管支炎の関係

 


【関連記事】NETセミナー

慢性咳嗽の診療

非小細胞肺癌治療の最前線

肺がんに気づくサイン

 

 
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:11| 咳嗽ガイドライン | コメント(0) | トラックバック(0)

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