金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2009年03月05日

止血・血栓の機序 <図>:血液凝固検査入門(3)

血小板と凝固因子:血液凝固検査入門(2)から続く。

血液凝固検査3

 

 

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既に記事にさせていただいた通り、止血も血栓も、同じ役者が登場します。つまり、血小板と凝固因子が協力しあって止血したり、血栓症を発症したりします。


ですから、止血という生理的状態も、血栓症という病態も同じような図を用いて説明することが可能なのです。

さて、止血機序です。血管が破綻いたしますと、まず血小板が集まってきます。これを血小板粘着と言います。さらに、血小板は仲間を呼んできます。これを血小板凝集と言います。血小板が粘着する時に間を埋めてくれる言わば糊とも言える成分が必要です。これを、von Willebrand因子(vWF)と言います。また、血小板が凝集する時にも間を埋めてくれる言わば糊とも言える成分が必要です。これを、フィブリノゲン(図ではFbg)と言います。

血小板を反応の場としまして、多くの凝固因子が集まってきます。そして最終的には、トロンビンと言う酵素(エンザイム)が産生されます。トロンビンは、凝固活性化の結果生じる最終的なエンザイムです。

トロンビンは、フィブリノゲンをフィブリンに転換しますと凝固が完結します。そして止血する訳です。

これとほぼ同じ役者が登場して血栓症も発症します。

なお、図中に赤字で書かれているのが、凝固阻止因子です。
アンチトロンビン(AT)は、トロンビンや活性型第X因子(Xa)などの活性型凝固因子と一対一結合することで凝固を阻止しますし、活性型プロテインC(APC)は、Va、VIIIaを阻止することで凝固活性化を抑制いたします(APCが作用する際のコファクターがプロテインSです)。

(続く)

血管内皮:血液凝固検査入門(4)


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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:37| 凝固検査 | コメント(0) | トラックバック(0)

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