金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。

|1/4ページ | 次の20件 >>

2010年7月5日

Ximelagatran(キシメラガトラン):抗トロンビン薬(5)

スロンノン、ノバスタンなど:抗トロンビン薬(4)より続く

 
  【キシメラガトラン

Ximelagatran(キシメラガトラン)は、melagatran(メラガトラン)のプロドラッグです。

キシメラガトランは、抗トロンビン薬として経口投与可能な薬物です。

キシメラガトランはメラガトランのプロドラッグであり、経口投与されると小腸より速やかに吸収され活性を有するメラガトランに変換されます。

本剤は経口投与後2〜3時間で血中濃度が最高値に達し、血中半減期は約3時間です。

本剤の薬物動態は極めて安定しており、患者の体重、年齢、性別、人種による差異はなく、他薬剤や食物との相互作用もありません。


急性深部静脈血栓症、非弁膜症性心房細動症例などにおける有用性が報告されてきました。

経口薬であることや、INRまたはトロンボテストによるモニタリングの必要性がないことのメリットはすこぶる大きかったのですが、肝障害の副作用のため開発が断念されたのは残念です。

 

(続く)

ダビガトラン:抗トロンビン薬(6)

 


【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 02:48 | 凝固検査

2010年5月18日

線溶系の血液検査


線溶マーカーとは(インデックス)


血液凝固検査入門(図解シリーズ)← 関連記事のリンク


1)Dダイマー(D dimer)など

2)t-PA/PAI-1複合体など

3)FDP採血管など

4)FDPのartifactなど

5)FDP・Dダイマー・PICの高値

6)DICとDVTの合併など


 

 【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 12:55 | 凝固検査 | コメント(0)

2010年5月17日

線溶関連マーカー(6):DICとDVTの合併など

線溶関連マーカー(5):FDP・Dダイマー・PICの高値 より続く

 

線溶マーカーとは(6)


血液凝固検査入門(図解シリーズ)← リンク

 

FDP・Dダイマー・PIC解釈上の注意点

通常、FDPDダイマーは併行して上昇することが多いです。

ただし、著しい線溶活性化がみられる病態(例えば線溶亢進型DIC)では、フィブリンのみならずフィブリノゲンの分解も進行するために、FDPの著増に対して、Dダイマーの上昇が相対的に軽度のことがあり、FDP/Dダイマー比が大きくなります(Dダイマー/FDP比が小さくなります)。

この場合、PICは著増し、α2PIやフィブリノゲンは著減しやすいです。

プラスミノゲンも中等度低下します。


一方、線溶抑制型DIC(敗血症に合併したDICに代表されます)においては、t-PAに対して阻止的に作用するプラスミノゲンアクチベータインヒビター(plasminogen activator inhibitor:PAI)が過剰に産生されて、線溶が抑制されます。

このため、血栓が多発してもあまり溶解されずにFDPDダイマーは軽度上昇にとどまることが多いです。

線溶抑制型DICにおいては、FDPやDダイマーを過度に重要視しますと、DIC診断が遅れる懸念があります。この場合は、血小板数の経時的低下や、凝固活性化マーカーTATSFなどに注目することで早期診断が可能です。

FDP、Dダイマー、TATPICが最も上昇しやすい疾患はDICですが、深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)や肺塞栓(pulmonary embolism:PE)でも上昇する場合がある点に注意が必要です。

また、播種性血管内凝固症候群(DIC)の基礎疾患とDVT&PEの危険因子は、悪性腫瘍など共通していることがあります。


DIC診断基準をみたすような症例であっても、DVT&PEも合併していることがありますので、注意が必要です。

管理人らは、DVT&PEの見逃されているDIC症例が少なくないのではないかと懸念しています。


 

 【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 12:52 | 凝固検査 | コメント(0)

2010年5月16日

線溶関連マーカー(5):FDP・Dダイマー・PICの高値

線溶関連マーカー(4):FDPのartifactなど より続く

 

線溶マーカーとは(5)


血液凝固検査入門(図解シリーズ)← リンク

 

________________________

FDPDダイマーPICが高値となる病態・疾患

 
1)    播種性血管内凝固症候群(DIC)

2)    DIC準備状態

3)    深部静脈血栓症(DVT)&肺塞栓(PE)

4)    線溶療法時

5)    手術後

6)    プラスミノゲンアクチベータ産生腫瘍

7) その他

________________________


(注意)

1)    異常フィブリノゲン血症では、血清FDPによる測定の場合のみ高値となります。
2)    線溶亢進型DICでは、FDP/Dダイマー比は大きくなります。
3)    大量胸水・腹水、大血腫でもFDPやDダイマーの上昇が見られることがあり、DICとの鑑別が問題となります。
4)    手術後のみでも、FDPやDダイマーの上昇が見られることがあり、術後DICとの鑑別が問題となります。

 

(続く)

線溶関連マーカー(6):DICとDVTの合併など へ

 

 【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 12:50 | 凝固検査 | コメント(0)

2010年5月15日

線溶関連マーカー(4):FDPのartifactなど

線溶関連マーカー(3):FDP採血管など より続く

 

線溶マーカーとは(4)


血液凝固検査入門(図解シリーズ)← リンク

 

線溶マーカー測定上の注意点

FDPやDダイマーは大変安定した検査であり、artifactを生じにくいです。

ただし、留置カテーテルなどからの採血は、カテーテル内凝固をきたして、PICFDPDダイマーが偽高値となる可能性があります。

また、血清FDPの場合には、試験管内に抗凝固剤が混入しますと(例えばヘパリンロックされたカテーテルからの採血など)、専用試験管内の凝固剤が作用しなくなり上清中にフィブリノゲンが残存してしまいます。この状態で抗フィブリノゲンポリクローナル抗体を用いた測定を行いますと、偽高値となります。



異常フィブリノゲン血症
では、血漿FDPDダイマーPICは正常として測定されます。

ただし、血清FDPで測定しますと偽高値となります。これは、フィブリノゲンのアミノ酸配列に異常をきたした本疾患では、採血管内の凝固剤(トロンビン)がフィブリノゲンをフィブリンに転換できず、上清中にフィブリノゲンが残存してしまいます。

この状態で、抗フィブリノゲンポリクローナル抗体を用いたFDP測定を行いますと、偽高値となります。

 

(続く) 

線溶関連マーカー(5):FDP・Dダイマー・PICの高値 へ

 

 【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 12:47 | 凝固検査 | コメント(0)

2010年5月14日

線溶関連マーカー(3):FDP採血管など

線溶関連マーカー(2):t-PA/PAI-1複合体など より続く

 

線溶マーカーとは(3)


血液凝固検査入門(図解シリーズ)← リンク



測定の実際&採血管

PICは、クエン酸ナトリウム入りの凝固検査用採血管を用いて採血し、調整した血漿をラテックス免疫比濁法、EIAで測定します。

Dダイマーは、クエン酸ナトリウム入りの凝固検査用採血管を用いて採血し、調整した血漿をラテックス免疫比濁法、EIAで測定します。フィブリノゲンとは反応しない抗Dダイマーモノクローナル抗体を使用しています。



FDPは大きく、血清FDP血漿FDPに分類されます。

血清FDPは専用試験管が必要であるのに対しまして、血漿FDPであれば他の凝固検査と同じ採血管で良いため(採血量が少なくて済むため)、血漿FDPの方が浸透しつつあるのが現状です。


血漿FDP

フィブリノゲンとは反応せずFDPとのみ反応する抗FDPモノクローナル抗体が使用されています。


血清FDP

凝固剤(トロンビンなど)と抗線溶剤が含まれた専用試験管が用いられます。凝固剤が含まれているために、検体中のフィブリノゲンはフィブリンに転換し、遠心操作を行えば上清中にはフィブリノゲンは含まれないことになります。

この状態で、抗フィブリノゲンポリクローナル抗体(FDPとも反応します)を用いて測定します。



基準値

プラスミン-α2PI複合体(PIC) <0.8μg/mL
FDP <2.0〜5.0μg/mL(ただし、測定試薬により異なります)
Dダイマー <1.0〜2.5μg/mL(ただし、測定試薬により異なります)

 

(続く)

線溶関連マーカー(4):FDPのartifactなど へ

 

 【リンク】

 

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:57 | 凝固検査 | コメント(0)

2010年5月13日

線溶関連マーカー(2):t-PA/PAI-1複合体など

線溶関連マーカー(1):Dダイマー(D dimer)など より続く

 

線溶マーカーとは(2)


血液凝固検査入門(図解シリーズ)← リンク

その名称通り、FDPには、フィブリン分解産物もフィブリノゲン分解産物も含まれますが、通常はフィブリン(血栓成分)分解産物がほとんどです(換言しますと多くの場合は、FDPとDダイマーは併行して上昇することが多いです)。

FDPやDダイマーの高値は、凝固活性化によって血栓が形成されて、かつその血栓が溶解したということを意味しています。つまり、凝固活性化も線溶活性化も進行したということになります。


t-PA/PAI-1複合体

狭義にはt-PAとPAI-1両者の複合体のみを指しています。

血管内皮から産生されたt-PAはPAI-1と結合して、循環血中に遊離型t-PAはほとんど存在しません。そのため、t-PA/PAI-1複合体は、t-PA抗原量と近似した値をとることになります。

t-PAが上昇する病態では、PAI-1はさらに著増する(遊離型PAI-1も大量に存在する)ことが多いです。

PICが上昇した場合には線溶活性化の病態を反映していますが、t-PA/PAI-1複合体が上昇した場合には線溶抑制の病態になっていることが多いため(たとえば線溶抑制型DIC)、注意して評価する必要があります。

 

ニックネームとしてのDダイマー:

なお、科学的なDダイマーは前述の如く架橋化フィブリン分解産物の最小単位を意味してますが、測定キット名としてDダイマーは、架橋化フィブリン分解産物の最小単位のみならず、その他の架橋化フィブリン分解産物も測り込んでいます。つまり、Dダイマーがニックネーム的に使用されることも多いです。

 

(続く)

線溶関連マーカー(3):FDP採血管など へ


【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:02 | 凝固検査 | コメント(0)

2010年5月12日

線溶関連マーカー(1):Dダイマー(D dimer)など

 

線溶マーカーとは

 組織因子(tissue factor:TF)の作用によって凝固活性化を生じますと、最終的にトロンビンが形成されます。トロンビンがフィブリノゲンに作用しますと、フィブリノゲンはフィブリンに転換して、さらにフィブリンが重合しますと血栓が形成されます。

この重合されたフィブリンを安定化するために、血液凝固第XIII因子による架橋結合(Cross-link)が行われます。これに対して、形成された血栓を溶解しようとする働きのことを線溶(fibrinolysis)と言います。

線溶が開始されるためには、血管内皮からの組織プラスミノゲンアクチベータ(tissue plasminogen activator:t-PA)産生が必要です。
t-PAは、プラスミノゲン(肝で産生)をプラスミンに転換し、プラスミンは血栓(架橋化フィブリン)を分解します。
血栓が分解された際に生ずる分解産物のことをFDP(Dダイマー)と言います。t-PAおよびプラスミノゲンはフィブリン親和性が高く、フィブリン上で能率良く線溶が進行します。


線溶活性化の程度を評価するためにはプラスミン産生量が分かれば良いのですが、プラスミンの血中半減期は極めて短く直接測定することはできません。
ただし、プラスミンとその代表的な阻止因子であるα2プラスミンインヒビター(α2PI)が、1対1結合した複合体を測定することは可能であり、これをプラスミン-α2PI複合体(plasmin-α2PI complex:略称PIC)と言います。
PICが高値であるということは、プラスミン産生量が多い、すなわち線溶活性化が高度であるということを意味します。


例えば、播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)においては、凝固活性化と並行して線溶活性化がみられるため、TATのみならずPICの上昇がみられます。
ただし、PICの上昇度は基礎疾患により異なり、このことはDICの病態を特徴つける大きな要素の一つです。

FDPは、フィブリン/フィブリノゲン分解産物(fibrin/fibrinogen degradation products)の略称です。そして、Dダイマー(D dimer)は、フィブリン分解産物(正確には架橋化フィブリン分解産物)の方の細小単位です。

架橋結合の部分はプラスミンで分解されないため、隣接した2つのフィブリン分子のD分画部分が第XIII因子で結合したものが最小単位となり、Dダイマー(D dimer)の語源となっているのです。

 

 

(続く) 

線溶関連マーカー(2):t-PA/PAI-1複合体など へ

 

【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ホームページ

金沢大学 血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:22 | 凝固検査 | コメント(0)

2010年1月20日

血餅退縮能(血液検査):インデックス

 血餅退縮能検査とは(5):参考文献 より続く


● 関連記事:血液凝固検査入門(図解シリーズ)


血餅退縮能検査(インデックス)

1)血餅退縮能とは(1):血小板無力症のスクリーニング検査

2)血餅退縮能とは(2):検査方法

3)血餅退縮能とは(3):検査に影響を及ぼす因子

4)血餅退縮能とは(4):血餅収縮の意義

5)血餅退縮能検査とは(5):参考文献

 

 

【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集

 


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:11 | 凝固検査

2010年1月19日

血餅退縮能検査とは(5):参考文献

血餅退縮能とは(4):血餅収縮の意義 より続く


● 関連記事:血液凝固検査入門(図解シリーズ)

リンク:血餅退縮能(インデックス)

 

血餅退縮能検査に関する記事を続けてきました。

これまでの記事で、本文中に文献番号を付けてきましたので、その論文を紹介させていただきたいと思います。

 

血餅退縮能検査の参考文献

1)  Macfarlane RG: A simple method for measuring clot retraction. Lancet I: 1199-1201, 1939.

2) Castaldi PA,et al: The bleeding disorder of uraemia. A qualitative platelet defect. Lancet 2(7454): 66-69, 1966.

3)渡辺清明:出血傾向に関する検査(血小板機能に関する検査)。三輪血液病学(浅野茂隆、池田康夫、内山卓編), p1968-1976, 文光堂, 2006.

4)Ginsberg MH, et al: Divalent cation regulation of the surface orientation of platelet membrane glycoprotein IIb. Correlation with fibrinogen binding function and definition of a novel variant of Glanzmann's thrombasthenia. J Clin Invest 78: 1103-1111, 1986.

5)Kouns WC, et al: Activation of the fibrinogen binding site on platelets isolated from a patient with the Strasbourg I variant of Glanzmann's thrombasthenia. Blood 84: 1108-1115, 1994. 

6)Fournier DJ, et al: A variant of Glanzmann's thrombasthenia characterized by abnormal glycoprotein IIb/IIIa complex formation. Thromb Haemost 62: 977-983, 1989.

7)Chen YP, et al: A point mutation in the integrin beta 3 cytoplasmic domain (S752-->P) impairs bidirectional signaling through alpha IIb beta 3 (platelet glycoprotein IIb-IIIa). Blood 84: 1857-1865, 1994.

8)Kunitada S, et al: Inhibition of clot lysis and decreased binding of tissue-type plasminogen activator as a consequence of clot retraction. Blood 79: 1420-1427, 1992.

 

 

【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 04:29 | 凝固検査

2010年1月18日

血餅退縮能とは(4):血餅収縮の意義

血餅退縮能とは(3):検査に影響を及ぼす因子 より続く


● 関連記事:血液凝固検査入門(図解シリーズ)

リンク:血餅退縮能(インデックス)

 

血餅収縮の意義

1)    止血機序:

止血過程において、血小板粘着、血小板凝集、凝固活性化(フィブリンの形成)と進行した上で、凝血塊(血餅、止血血栓)が収縮することで、より強固な止血が完了します。


2)    血栓症:

血小板を含有した血栓により血管が閉塞された場合であっても、血栓が収縮することで、血液の再還流が期待できます。

ただし、血餅退縮が生じることで、血栓が線溶の作用による溶解を受けにくくなりかえって不利になるという考え方もあります 8)。

 

血餅退縮能の関連検査項目

1)    出血時間:

出血時間は、

・血小板数の低下

・血小板機能の低下(血小板無力症、von Willebrand病、アスピリン内服など)

・血管壁の脆弱性

のいずれかがみられる場合に延長します。

 

2)    血小板凝集能:

血小板無力症では、ADPの一次凝集の低下という特徴的な所見がみられます。

 

(続く)

血餅退縮能検査とは(5):参考文献

 

 

【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 03:18 | 凝固検査

2010年1月17日

血餅退縮能とは(3):検査に影響を及ぼす因子

血餅退縮能とは(2):検査方法 より続く


● 関連記事:血液凝固検査入門(図解シリーズ)

リンク:血餅退縮能(インデックス)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
血小板無力症の分類

1.    GPIIb/IIIaの量的異常

1)    タイプI:GPIIb/IIIaが正常の5%以下に著減。血餅退縮は欠如。
2)    タイプII:GPIIb/IIIaが正常の10〜20%存在。血餅退縮はほぼ正常。


2.    GPIIb/IIIaの機能的異常(variant型)

GPIIb/IIIaが正常の50%以上存在するにもかかわらず、血小板無力症の病態。
血餅退縮は欠如する例も残存する例もあり。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

血餅退縮能検査に影響を及ぼす因子

1)    血小板数:

血小板数<10万/μLでは血餅退縮能の減弱傾向が観察され、血小板数<5万/μLでは明らかな減弱がみられます。


2)    血小板無力症:

血餅退縮能は明らかに減弱します。ただし、GPIIb/IIIaが正常の10〜20%存在するtype IIでは、血餅退縮能は低下しないことが多いです(上の表)。

Variant typeでは、欠損するものと、欠損しないものの両者の報告がみられます 4)5)6)7)。

また、血小板機能が低下する疾患の中でも、storage pool disease、von Willebrand病などでは異常になりません。


3)    赤血球数の異常(全血を用いた場合):

赤血球数の多い症例では低値を示し、赤血球数の少ない(貧血)症例では高値を示しやすいです。

 

4)    フィブリノゲン量または機能の低下:

血餅退縮能の減弱がみられます。

 

5)    線溶亢進症例、第XIII因子欠損症:

血餅が経時的に縮小または溶解する現象がみられます。

 

6)    試験管:

ガラス試験管ではなく、シリコン処理試験管またはプラスチック試験管を用いると病態を有した検体でなくても、血餅収縮は悪くなります。

 

(続く)

血餅退縮能とは(4):血餅収縮の意義

 

 

【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 02:05 | 凝固検査

2010年1月16日

血餅退縮能とは(2):検査方法

血餅退縮能とは(1):血小板無力症のスクリーニング検査より続く


● 関連記事:血液凝固検査入門(図解シリーズ)

リンク:血餅退縮能(インデックス)

 

血餅退縮能検査の目的

やはり、血小板無力症のスクリーニング検査としての意義が大きいです。

血餅退縮能の次のステップの検査としては、出血時間、血小板凝集能、血小板膜糖蛋白GPIIb/IIIa解析などになります。

 

血餅退縮能検査の方法

1)    Macfarlane法(全血を使用)1)

・ 静脈血を採取して、目盛りつきのガラス遠心管に正確に5 mL入れます。

・ 針金付きのゴム栓をします(針金先端は、後で血餅を取り出すことができるように鉤状になっており血液の上層にひたる長さにします)。

・ 血液が凝固した後に、遠心管を37℃の恒温槽で、1時間incubationします。

・ 1時間経過した後、静かに針金を引き上げて凝血塊を取り除き、収縮により、凝血塊(血餅)よりしぼり出された血清量を読みます(S mL)。この際、artifactで血清量が多くならないように、静かな操作が肝要です。

・ そして以下の式により血餅退縮能を算出します。

・ 血餅退縮能=S/{5×(1—Ht/100)}×100(%)


2)    Castaldi変法(血漿を使用)2)3)

・ 抗凝固剤であるクエン酸ナトリウム入り試験管で採血し、50G、15分室温で遠心し、多血小板血漿(platelet rich plasma:PRP)を採取します(血小板数をカウントします)。

・ その後、2000G、30分で遠心して、乏血小板血漿(platelet poor plasma:PPP)を採取します。

・ PRPをPPPで希釈して、血小板数20万/μLに調整します。

・ ガラス試験管に調整済みPRPを1mLとり、37℃の恒温槽に入れます。

・ 数分後に、トロンビン溶液(生食で50単位/mLに調整)0.2mLをPRPに加え、1時間incubationします。

・ 凝血塊(血餅)が収縮し、血清部分との分離が生じるので、ピペットで血清を取り出し、その容量(A ml)を測定します。

・ 血餅退縮能は、以下の式で求められます。

・ 血餅退縮能=A/1.2×100(%)

 

血餅退縮能検査の基準値

1)    Macfarlane法:40〜94%

2)    Castaldi変法:80〜95%。50%以下は異常。


(続く)

血餅退縮能とは(3):検査に影響を及ぼす因子

 

 

【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:40 | 凝固検査

2010年1月13日

血餅退縮能とは(1):血小板無力症のスクリーニング検査

血餅退縮能は、現在あまり行われなくなってきている検査かもしれませんが、血小板、血栓を理解するという観点からも重要な検査ではないかと思います。

関連記事:血液凝固検査入門(図解シリーズ)

 リンク:血餅退縮能(インデックス)


血餅退縮能とは

血餅退縮能(clot retraction test)は、血小板無力症のスクリーニング検査としての意義が最も大きいですが、血小板凝集能を施行可能な医療機関であれば、あまり行われていないのが実状ではないかと思われます。

しかし、止血、血液凝固、血小板機能などの本質を知る上で、是非知っておきたい検査と言えます。

血液凝固反応が進行して凝血塊(血餅)が形成される過程で、血小板が血餅に取り込まれます。この形成された血餅は次第に収縮(退縮)していく現象が知られています。そのため、血餅中から血清が分離されてきます。

これは、血餅内で血小板膜糖蛋白GPIIb/IIIa(血小板インテグリンαIIb/β3)とフィブリンが結合した状態で、血小板内の収縮蛋白の作用により血小板が収縮した結果として、フィブリンが引っ張られて血餅が収縮するためと考えられています。

なお、GPIIb/IIIaは膜を貫通しているインテグリンファミリーの一つで、裏打ち蛋白のアクトミオシン(骨格蛋白)と結合しています。GPIIb/IIIaにフィブリンが結合しますと、裏打ち蛋白の収縮力はGPIIb/IIIaを介してフィブリンに伝わり、フィブリン塊が収縮し、血餅退縮を生じます。血餅退縮は、フィブリン塊を補強する役割を演じているものと考えられています。

血小板無力症では、GPIIb/IIIaが欠損しているために、血餅退縮能は低下します。

また、血小板無力症以外では、血小板数やフィブリノゲンが低下した病態でも血餅退縮能は低下します。


(続く)

 

血餅退縮能とは(2):検査方法

 

 

【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

金沢大学血液内科・呼吸器内科HP

金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ

研修医・入局者募集


投稿者:血液内科・呼吸器内科at 04:48 | 凝固検査

2009年11月5日

血液凝固検査入門:インデックスページ(図解シリーズ)

血液凝固検査入門
<図解シリーズ>

血栓止血の基礎と臨床(血管内皮の役割)
(0.   血液内科と出血性&血栓性疾患


1.   血栓止血の生理と病態
2.   血小板と凝固因子
3.   止血・血栓の機序 <図>
4.   血管内皮
5.   トロンボモジュリン
6.   トロンボモジュリン(TM)分布と血中濃度  
7.   アンチトロンビン(ATIII)
8.   プロスタサイクリン(PGI2)&一酸化窒素(NO) 
9.   血管内皮の抗血栓性物質と線溶 
10. 線溶とt-PA&プラスミノゲン 
11. 強力な止血機序と血栓症



血液凝固検査(PT&APTT)

12. 組織因子(TF)と異物
13. 凝固カスケード(PT&APTT)
14. 凝固カスケード(検査室&生体内)
15. プロトロンビン時間(PT-INR)
16. ビタミンK依存性凝固因子
17. ビタミンK依存性凝固因子の覚え方
18. PT-INRとワーファリン
19. PT-INRとPIVKA-II
20. ビタミンK欠乏症の原因
21. 電撃性紫斑病とワーファリン
22. APTTの延長
23. APTT延長の解釈
24. クロスミキシングテスト(混合試験)

(追加)
25. 出血時間、血小板凝集能
26. 抗リン脂質抗体症候群の血液検査
27. ループスアンチコアグラント(LA)
28. ループスアンチコアグラント検査の必要性



血液凝固検査(FDP&Dダイマー)
29. FDP&Dダイマーとは

(DIC図解シリーズより)
FDPとDダイマーの違い
線溶阻止因子PAIの役割
PAIの変動(敗血症、癌、白血病など)
基礎疾患とFDP
基礎疾患とFDP、Dダイマー
多臓器不全(MOF)の有無とFDP
FDP(Dダイマー)低値の意味
FDP(Dダイマー)低値の別の意味
DICで、FDP(Dダイマー)の上昇しない意義

30. Dダイマーと血栓症


(追加)線溶系のマーカー             
Dダイマー(D dimer)など
t-PA/PAI-1複合体など
FDP採血管など
FDPのartifactなど
FDP・Dダイマー・PICの高値
DICとDVTの合併など



血液凝固検査(TAT&PIC)

(DIC図解シリーズより)
TAT&PICとは
基礎疾患ごとのTAT&PICの変動
DICの病型分類



抗血栓療法と血液凝固検査
31.  抗血栓・血小板・凝固 療法
32. TAT・F1+2・SF・Dダイマー
33. 心房細動と凝固活性化マーカー
34. 心房細動とF1+2(アスピリン vs. ワーファリン)
35. INRとF1+2の相関
36. PT-INRと血栓塞栓症
37. INR&F1+2と副作用&効果判定
38. PT-INR、APTTと抗凝固療法
39. PT-INRのセルフモニタリング
40. 血栓性素因の血液検査

 

研修医の広場金沢大学第三内科 当科での研修の様子をご覧いただくことができます。

播種性血管内凝固症候群(DIC)(インデックスページ)へ

トランサミン(インデックスページ)へ

後天性血友病とは(インデックスページ)へ

 

関連記事(リンクしています)

TAT
PIC
アンチトロンビン
PT(PT-INR)とは?
PT(ワーファリン)&トロンボテスト
APTT
クロスミキシング試験
Dダイマー
DICの病態、診断、治療:リンク先から更に
他のヘパリン類やDIC関連記事がリンクされています!

・NETセミナー:血栓症と抗血栓療法のモニタリング


抗リン脂質抗体症候群(インデックスページ) 抗リン脂質抗体症候群の全記事へリンクしています。

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:59 | 凝固検査 | コメント(0)

2009年4月23日

血栓性素因の血液検査:血液凝固検査入門(40)

PT-INRのセルフモニタリング:血液凝固検査入門(39)から続く。

血液凝固検査40

 

 血液凝固検査入門(インデックスページ) クリック! 血液凝固検査入門シリーズの全記事へリンクしています。

 

金沢大学血液内科では、血液学的な血栓性素因がないかどうかということで、しばしばご相談(紹介)を受けています。


上図では、血液学的な血栓性素因を示しています。赤字は、検査項目です。当科において、この中で最も高頻度に診断されるのは、抗リン脂質抗体症候群です。次は、高Lp(a)血症です。

なおこの内容につきましては、既に記事になっていますので、その記事へのリンクのみとさせていただきます。

 血栓性素因の血液検査(アンチトロンピン、プロテインC、抗リン脂質抗体他)


 
 【関連記事3】
TAT
PIC
アンチトロンビン
PT(PT-INR)とは?
PT(ワーファリン)&トロンボテスト
APTT
クロスミキシング試験
Dダイマー
DICの病態、診断、治療:リンク先から更に他のヘパリン類DIC関連記事がリンクされています!

・NETセミナー:血栓症と抗血栓療法のモニタリング

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 20:23 | 凝固検査 | コメント(0) | トラックバック(0)

PT-INRのセルフモニタリング:血液凝固検査入門(39)

PT-INR、APTTと抗凝固療法:血液凝固検査入門(38)から続く。

血液凝固検査39
血液凝固検査入門(インデックスページ) クリック! 血液凝固検査入門シリーズの全記事へリンクしています。

 

糖尿病患者さん、特にインスリン治療中の場合には、しばしば自宅で自己血糖測定をなさっています。その結果をふまえて、治療に反映されます。

経口抗凝固療法の治療薬であるワルファリン(商品名:ワーファリン)を内服中の患者さんでは、PT-INR(プロトロンビン時間のINR)や、プロトロンビンフラグメント1+2(prothrombin fragment 1+2:F1+2)の定期的な測定が必要です。

INRは国際的に異論のないところですが、F1+2の扱いにおいては、専門家の間でも意見の分かれるところです。管理人たちは、INRと比較しても、F1+2は同等以上に価値がある検査と思っていますが(参考記事:PT-INR、APTTと抗凝固療法:血液凝固検査入門(38))、まだInternationalとはなっていません。

さて、InternationalであるINRですが、海外では既に自宅で測定している国もあるようです。そして、そのINRの結果をふまえて、治療に反映されるという訳です。

日本ではまだそのような医療環境にはなっていませんが、そんなに遠くない将来、ワーファリンは自宅での血液検査をみながらコントロールするというような時代がくるのではないかと思っています。
 

 

 
 
関連記事(リンクしています)
TAT
PIC
アンチトロンビン
PT(PT-INR)とは?
PT(ワーファリン)&トロンボテスト
APTT
クロスミキシング試験
Dダイマー
DICの病態、診断、治療:リンク先から更に他のヘパリン類DIC関連記事がリンクされています!

・NETセミナー:血栓症と抗血栓療法のモニタリング

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:15 | 凝固検査 | コメント(0) | トラックバック(0)

2009年4月22日

PT-INR、APTTと抗凝固療法:血液凝固検査入門(38)

INR&F1+2と副作用&効果判定:血液凝固検査入門(37)から続く。

血液凝固検査38

血液凝固検査入門(インデックスページ) クリック! 血液凝固検査入門シリーズの全記事へリンクしています。

 

 

抗凝固療法と言えば、経口抗凝固療法治療薬であるワルファリン(商品名:ワーファリン)を連想すると思いますが、厳密に言いますと、以下のように2大別できます。

 

【抗凝固療法】(治療薬)

1)    経口薬

ワーファリン:経口可能な抗凝固薬は今だにワーファリンのみです。抗血小板薬は、アスピリン(商品名:バイアスピリン、バファリンなど)、チクロピジン(パナルジン)、クロピドグレル(プラビックス)、シロスタゾール(プレタール)、ベラプロスト(プロサイリン、ドルナー)、サルポグレラート(アンプラーグ)など多数あるのですが。。。。


2)    注射薬

・ ヘパリン類:ダナパロイド(オルガラン)、低分子ヘパリン(フラグミン、クレキサンなど)、未分画ヘパリン(標準ヘパリン)、フォンダパリヌクス(アリクストラ
アルガトロバン(スロンノン、ノバスタン)
メシル酸ナファモスタット(FUTなど)、メシル酸ガベキサート(FOYなど)
・ アンチトロンビン濃縮製剤(アンスロビンP、ノイアート、ノンスロン)
遺伝子組換えトロンボモジュリン製剤(リコモジュリン)
・ 活性化プロテインC製剤(アナクトC)

 

 

さて、これらの薬剤のモニタリングはどうすれば良いのでしょうか。

前回の記事(INR&F1+2と副作用&効果判定:血液凝固検査入門(37))でも書かせていただいたように、管理人らは、ワーファリンの効果判定はプロトロンビンフラグメント1+2(prothrombin fragment 1+2:F1+2)、副作用チェックは、PT-INR(またはトロンボテスト)で行うべきであろうと考えています。

それでは、ヘパリン類についてはどうでしょうか。

欧米の教科書では、未分画ヘパリンを投与する場合には、APTTを1.5倍に延長させるようにとか、APTTを2倍に延長させるようにと言った記載があります。

しかし、APTTを延長させたということは、未分画ヘパリンが投与されているという証拠かもしれませんが、効果が発揮されているかどうかは、話は別ではないかと思っています。

APTTが延長しすぎているという事は、出血の副作用が生じ易い状況にあるため、要注意というサインととるべきではないでしょうか。

 

実際、低分子ヘパリンや、ダナパロイドと言った、「改良型のヘパリン」類は、APTTをあまり延長させないために出血の副作用が少ないことをウリにしています(APTTが延長しなくても効果は未分画ヘパリンと同等以上です)。

 


ヘパリン類の効果判定は、FDPDダイマーTATなどで行うべきではないでしょうか。

 


ただし、このあたりの考え方は、専門家の間でも意見が分かれるのではないかと思います。10年後、20年後、更に言いますと、100年後、1,000年後にはどのような考え方になっているのか、タイムマシンにのって、答えを見に行きたいところです。

 
 
関連記事(リンクしています)
TAT
PIC
アンチトロンビン
PT(PT-INR)とは?
PT(ワーファリン)&トロンボテスト
APTT
クロスミキシング試験
Dダイマー
DICの病態、診断、治療:リンク先から更に他のヘパリン類DIC関連記事がリンクされています!

・NETセミナー:血栓症と抗血栓療法のモニタリング

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 06:52 | 凝固検査 | コメント(0) | トラックバック(0)

2009年4月19日

INR&F1+2と副作用&効果判定:血液凝固検査入門(37)

PT-INRと血栓塞栓症:血液凝固検査入門(36)から続く。

血液凝固検査37
 

血液凝固検査入門(インデックスページ) クリック! 血液凝固検査入門シリーズの全記事へリンクしています。




ワルファリン(商品名:ワーファリン)による経口抗凝固療法を行っている場合のモニタリングは、プロトロンビン期間(prothrombin time:PT)のPT-INRトロンボテストにより行うのが一般的です。

ただし、前回記事(PT-INRと血栓塞栓症:血液凝固検査入門(36))に書かせていただいたように、PT-INRが高値になりすぎますと出血のリスクが高くなりますが、PT-INRのレベルとは関係なく血栓塞栓症は生じてしまっています。

つまり、PT-INRでは出血(副作用)のモニタリングはできても、効果判定には使用できないことになります。

やはり、PT-INRによる評価のみでなく、ワーファリンによって凝固活性化がどの程度是正されたかという評価も重要です。管理人たちは、この目的のために、プロトロンビンフラグメント1+2(prothrombin fragment 1+2:F1+2)を用いています。外来でワーファリンコントロール中の患者さんの凝固検査は、INRとF1+2をセットで行っています。

ただし、このあたりの考え方は専門家の間でも意見が分かれるところだと思います。管理人らの、個人的見解ということでご容赦いただければと思います。


(補足)
凝固活性化マーカーとしましては、F1+2の他にはTATなどもありますが、TATは高値には敏感なマーカーですが、正常域近傍では感度が今一つなのと、正常値よりも低値を評価することはできません(ワーファリン投与中には、十分なコントロールが得られている場合にはF1+2は、正常値よりも低値になります)。そのため、ワーファリン時の効果判定のモニタリングには、F1+2を用いています。

(続く)
PT-INR、APTTと抗凝固療法:血液凝固検査入門(38)





PT-INRは、以下の記事を御参照いただければと思います。
PT(PT-INR)とは? 正常値、ワーファリン、ビタミンK欠乏症
PT-INRとは(正常値、PTとの違い、ワーファリン)?
 
 
関連記事(リンクしています)
TAT
PIC
アンチトロンビン
PT(PT-INR)とは?
PT(ワーファリン)&トロンボテスト
APTT
クロスミキシング試験
Dダイマー
DICの病態、診断、治療:リンク先から更に他のヘパリン類DIC関連記事がリンクされています!

・NETセミナー:血栓症と抗血栓療法のモニタリング

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 11:13 | 凝固検査 | コメント(0) | トラックバック(0)

2009年4月17日

PT-INRと血栓塞栓症:血液凝固検査入門(36)

INRとF1+2の相関:血液凝固検査入門(35)から続く。

血液凝固検査36


血液凝固検査入門(インデックスページ) クリック! 血液凝固検査入門シリーズの全記事へリンクしています。



心房細動
(atrial fibrillation:Af)は、脳梗塞心原性脳塞栓)などの血栓塞栓症の重要なリスクファクター(risk factor:危険因子)として良く知られています。

今回紹介させていただく成績は、大変示唆に富んでいます。

心房細動(atrial fibrillation:Af)の患者さんを対象に、ワルファリン(商品名:ワーファリン)を投与して、血栓塞栓症や出血の頻度がどうなるかをみたものです。

横軸はPT-INRです。この数字が大きくなるほど、プロトロンビン期間(prothrombin time:PT)の延長が高度でありワーファリンコントロールは強力であることを意味しています。縦軸はイベント発症率です。

全対としてはPT-INR 2.0〜3.0が最もイベント発症率が低いようです。



次に個々にみてみましょう。まず黒くつぶされている大出血の発症率を見てみましょう。ワーファリンが強力になるほど、特にPT-INR 5.0以上では大出血の頻度が高くなっています。これはうなずける結果です。

一方、斜線で示されている血栓塞栓症の発症率はどうでしょうか。PT-INR 1.0〜1.9とワーファリンコントロールが弱い状態では、血栓塞栓症の発症率は高くなってしまうようです。しかし、INR 4.0以上、あるいはINR 5.0以上と出血の副作用が懸念されるような強力なワーファリンコントロールを行いましても、血栓塞栓症の発症はやはり高頻度なのです。


これはどういうことかと言いますと、INRというマーカーは、出血しないかどうかをモニタリングすることは可能であるものの、決して効果判定のマーカーにはなっていないということを意味しています。

さて、それではどうすれば良いのでしょうか。。。。



(続く)
INR&F1+2と副作用&効果判定:血液凝固検査入門(37)




PT-INRは、以下の記事を御参照いただければと思います。
PT(PT-INR)とは? 正常値、ワーファリン、ビタミンK欠乏症
PT-INRとは(正常値、PTとの違い、ワーファリン)?
 
 
関連記事(リンクしています)
TAT
PIC
アンチトロンビン
PT(PT-INR)とは?
PT(ワーファリン)&トロンボテスト
APTT
クロスミキシング試験
Dダイマー
DICの病態、診断、治療:リンク先から更に他のヘパリン類DIC関連記事がリンクされています!

・NETセミナー:血栓症と抗血栓療法のモニタリング

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 21:21 | 凝固検査 | コメント(0) | トラックバック(0)

|1/4ページ | 次の20件 >>

▲このページのトップへ