金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年05月28日

新規経口抗凝固薬(12): プラザキサとフィブリノゲン

新規経口抗凝固薬(11): リバーロキサバン(イグザレルト)とATより続く。

参考記事:PT-INRダビガトランプラザキサワーファリンリバーロキサバンアピキサバン深部静脈血栓症

 
新規12
 
 
 
トロンビン阻害薬であるダビガトラン(商品名:プラザキサ)内服中の患者さんにおいて、血液凝固検査の結果をみる際の注意点として、フィブリノゲンの評価も挙げられます。

フィブリノゲンはいろんな目的で測定されます。
金沢大学第三内科は、血液内科と呼吸器内科を専門領域としていますが、呼吸器内科の専門医にとっては、フィブリノゲンは炎症反応の評価として良く用いられています。

肝予備能の低下した患者さん(慢性肝炎、肝硬変など)では、第VIII因子を除く凝固因子の産生が低下しています。
フィブリノゲンも低下することが多いために、しばしばチェックされます。


いろんな理由でフィブリノゲン が100mg/dLより低値になる場合には、新鮮凍結血漿(FFP)によりフィブリノゲンを含む凝固因子の補充を考慮することがあります。


さて、このように種々の目的で測定されるフィブリノゲンですが、ダビガトラン(プラザキサ)内服中の場合には、artifact的にフィブリノゲンが低値で測定されることがあります(上図)。
このことを知りませんと、行わなくて良いFFP輸注をしてしまったりなど、おかしな治療につながる懸念があります。

プラザキサ内服中の患者さんで、フィブリノゲンが低値で結果がかえってきても、本当にそうなのか冷静に結果を評価することが重要と考えられます。

なお、フィブリノゲン測定に用いる試薬によって、上記の現象が強くでる場合とほとんど影響ない場合がある点にも注意が必要です。

 

(続く)新規経口抗凝固薬(13): プラザキサとAPTT

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:40| 抗凝固療法