金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2009年03月16日

PT-INRとワーファリン:血液凝固検査入門(18)

ビタミンK依存性凝固因子の覚え方:血液凝固検査入門(17)から続く。

 
血液凝固検査18

 

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ワルファリンは、抗血栓療法(抗凝固療法)治療薬です。深部静脈血栓症、肺塞栓などの静脈血栓症の発症予防や、心房細動からの脳梗塞発症予防目的などに使用されます。

ワルファリン(商品名:ワーファリン)は、ビタミン拮抗薬ですので、ワルファリンを内服しますと、ビタミンK依存性凝固因子(第VII、IX、X、II因子)活性が低下します。

この場合、半減期の短い順番に活性が低下します。ですから、ワルファリンを内服しますと、まず第VII因子活性が低下します。

第VII因子が低下しますと、プロトロンビン時間(PT)が延長します。さらにワルファリンが効いてきますと、IX、X、II因子活性が順次低下していきますので、APTTも延長します。

ワルファリンコントロールには、APTTではなくPT(PT-INR)が用いられていますが、半減期の短い第VII因子を反映するPT(PT-INR)の方がワルファリン内服に伴うビタミンK欠乏状態をより敏感にチェックするためです。

なお、治療目的のワルファリンではなく、病的なビタミンK欠乏症の場合にもAPTTよりもPTの方が敏感です。ですから、ビタミンK欠乏症のスクリーニングは、APTTではなくPTで行います。




(続く)

PT-INRとPIVKA-II:血液凝固検査入門(19)

 

 
PT-INRは、以下の記事も御参照いただければと思います。
PT(PT-INR)とは? 正常値、ワーファリン、ビタミンK欠乏症
PT-INRとは(正常値、PTとの違い、ワーファリン)?
 
関連記事(リンクしています)
TAT
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PT(PT-INR)とは?
PT(ワーファリン)&トロンボテスト
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クロスミキシング試験
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・NETセミナー:血栓症と抗血栓療法のモニタリング


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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 05:50| 凝固検査 | コメント(0)

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