金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2009年10月30日

松田保先生:金沢大学医学部第三内科 二代目教授(名誉教授)

私達の金沢大学医学部第三内科血液内科・呼吸器内科)は、教室の歴史はまだ浅く、現在の中尾眞二教授で、まだ第三代目の教授になります(金沢大学医学部第三内科教室の沿革)。

初代教授は服部絢一先生、二代目教授は松田保先生です。

この度、管理人は松田保先生の御略歴執筆の機会をいただいました。ただし、松田先生の在任期間中は、今のようにインターネットはあまり利用されていませんでしたので、インターネット検索では御略歴執筆の資料となるような記事は入手できませんでした。

ということで、私達のHP(ブログ)で松田保先生のご略歴を紹介させていただき、この記事がインターネット検索で検索されてくるようになるのが最も良いのではないかと思いました。以下に簡単ではございますが御略歴の記事を書かせていただきます。


リンク:金沢大学内科学第三教室史(インデックス)


松田保教授の御略歴

・昭和8年:石川県金沢市生まれ。
・昭和33年3月:金沢大学医学部卒業。石川済生会病院、金沢大学医学部附属病院第二内科助手、同講師を経て、
・昭和47年5月:東京都老人総合研究所臨床第二生理研究室長。東京都養育院附属病院内科兼務。
・昭和59年7月:金沢大学医学部内科学第三講座教授に就任。金沢大学医学部附属病院 輸血部長(併任)。同 高密度無菌治療部長(併任)。同講座に血液凝固研究室(現在の血栓止血研究室)を新設。
・昭和63年4月〜平成2年3月:金沢大学医学部教務委員長
・昭和63年4月〜平成2年3月:石川県医師会副会長
・平成8年1月〜平成8年6月:金沢大学医学部長
・平成11年3月 定年により退官。現在、金沢大学名誉教授。


<主な学会会長>

・昭和63年6月:第11回日本バイオレオロジー学会
・昭和63年12月:第11回日本骨髄移植研究会
・平成5年10月:第31回日本内科学会東海北陸合同地方会
・平成8年11月:平成8年度日本動脈硬化学会冬期大会
・平成9年9月:第20回日本血栓止血学会総会
・平成10年11月:第40回日本臨床血液学会総会


<所属学会>

多くの学会で理事を歴任。日本血栓止血学会(名誉会員)、日本血液学会(名誉会員)、日本臨床血液学会(名誉会員)(現在は日本血液学会と合流)ほか多数。


<研究内容>

・播種性血管内凝固症候群の病態解析と治療法の開発
・抗リン脂質抗体症候群の病態解析
・動脈硬化性疾患の病態解析
・先天性血液凝固異常症の遺伝子解析
・顆粒球エラスターゼと凝固異常 ほか多数。


<研究成果>

昭和63年度〜平成4年度厚生省特定疾患血液凝固異常症調査研究班の班長として(班長在任期間の前後には班員として)、血液凝固学とくに播種性血管内凝固(DIC)の臨床と研究をリードして、日本におけるDICの臨床と研究のレベルを世界一としました。特に、分子マーカーを駆使したDIC病態解析の手法は優れた業績であり、現在のDIC病型分類の概念へとつながっています。

厚生労働省DIC診断基準(1980年)の作成にあたっては松田保らが中心的役割を果たし、現在もこの診断基準が日本中で使用されていますが、2001年には国際血栓止血学会(ISTH)が日本における厚生労働省診断基準を模倣して、DIC診断基準を発表しています。この点からも、松田保らの貢献により、日本におけるDIC研究は世界的平均レベルより20年進んでいることになります。

教室内においては臨床の重要性を強調され、結果的にかえって研究も臨床に直結した優れたものが多数発信されました(在任期間中に2,500編:59編の学位論文を含みます)。

第三内科ホームページ(金沢大学医学部第三内科教室の沿革)では「第二代教授の松田保は、研究や診療の幅を広げました(血栓・止血グループを新設)。教室の規模が大きく拡がったのもこの時代です」と紹介されています。http://www.3nai.jp/

明るく温厚なお人柄、人を引き付ける笑顔、医学領域のみならず多領域に通じておられ、各種学会おいて多数の松田保教授ファンがおられた点も追加しておきたいと思います。


<代表的な著書(単著)>


1)    DIC症候群。P.1〜272. 中外医学社 1976年
2)    改訂版DIC。P.1〜237. 中外医学社 1979年( 1)の完全改稿版)
3)    凝固と線溶。P.1〜287. 中外医学社 1980年
4)    DICの臨床。P.1〜113. 新興医学出版社 1983年
5)    止血・血栓の臨床。P.1〜223. 新興医学出版社 1996年
6)    DICの臨床。P.1〜141. 新興医学出版社 1997年
7)    キリンの血圧はなぜ高いー血液学最前線—小学館文庫 1999年(ベストセラーとなる)


<受賞歴>


1)昭和51年 ベルツ賞「Cerebral vascular diseases including pathophysiology」
2)平成元年 北国文化賞


<その他>


1)    MROラジオ番組「市場ジョッキー」にて長期間にわたりゲストコメンテーターを担当。医学領域のみならず、映画、音楽、歴史、文学、趣味など多数領域に博識であったため人気番組となりました。
2)    コントラクトブリッジ:Senior Masterの段位を持っておられます。
3)    金沢大学医学弓道部のマネージャー(医学部在学時代)、顧問(教授就任時代)を担当されました。



【リンク】

播種性血管内凝固症候群(インデックスページ)ー図解ー

血液凝固検査入門(インデックスページ)ー図解ー

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 19:29| その他