金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年02月11日

HCV/HIV重複感染血友病とペグ化IFN&リバビリン併用療法

血友病における問題点の一つとして、HIV感染症やHCV感染症があります。

また、HIVとHCV両者の重複感染も少なくありません。今回紹介させていただく論文は、この重複感染症への対応を論じています。


「HCV/HIV重複感染の血友病に対するペグ化インターフェロン&リバビリン併用療法」


著者名:Mancuso ME, et al.
雑誌名:J Thromb Haemost 7: 1997-2005, 2009.

<論文の要旨>


C型肝炎ウイルス(HCV)による慢性肝炎は、HIVも重複感染することで末期肝疾患(end-stage liver disease : ESLD)への進行が早まることが知られています。HCV/HIV重複感染の血友病患者でも例外ではありません。

ペグ化インターファロン(Peg-IFN)とリバビリン(Rbv)の併用療法は、HCVを死滅させて肝疾患の進行を阻止する唯一の方法ですが、HIVとの重複感染例では効果が減弱する懸念が指摘されています。

著者らは、HCV/HIV重複感染の成人血友病34例(抗ウイルス療法の前治療なし)を対象に、Peg-IFNα2aとRbvの併用療法の有用性を検討しました。

Peg-IFNα2aは180μg/週皮下注し、Rbvは1,000〜1,200mg/日で、48週間継続しました。


1例(3%)を除く全例で治療を完結できました。

15例(44%)ではウイルス学的に反応しました。13例(38%)ではいずれかの薬物の減量が必要でした。

急速なウイルス学的反応(4週後にHCV-RNAが陰性化)、硬変像がないことが、治療が有効となるための独立した条件でした。

有効例では、治療後3年間の追跡により、CD4陽性細胞の上昇、CD4/8比の上昇が確認されました。


以上、HCV/HIV重複感染した血友病患者に対して、抗HCV療法は有用と考えられました。






【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 03:53| 医学全般