金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年02月14日

血栓止血の臨床(研修医のために):凝固製剤の適応と使用法

血栓止血学会では、血栓止血の臨床(研修医のために)のシリーズが学会誌およびHPで掲載されています。

 

学会員でなくても、HPからフリーでダウンロードすることが可能です。もし、まだアクセスされていない方がおられましたら、是非一度アクセスしていただければと思います。超お薦めではないかと思います。血栓止血の臨床(研修医のために)

今回は、このシリーズからの論文を紹介させていただきたいと思います。

関連記事:止血剤

 

「Factor VIIa製剤:血栓止血の臨床-研修医のために-(凝固製剤の適応と使用法)」

著者名:桑原光弘、他。
雑誌名:日本血栓止血学会誌 20: 571-573, 2009.


<論文の要旨>

遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa:商品名ノボセブン)は、インヒビターを保有する先天性血友病および後天性血友病患者に対する遺伝子組換えバイパス製剤です。

rFVIIa単独では止血反応は開始されず、組織因子との複合体形成により、あるいは活性化血小板膜上で止血反応が可能となります(血管損傷部位特異的な止血作用です)。

実際の投与方法は、rFVIIa 90μg/kg(60〜120μg/kg)を2〜3時間ごとに繰り返し静脈注射します(出血の重篤度により、投与方法を調整します)。rFVIIaは既往免疫反応(anamnestic response)によるインヒビター力価上昇を認めません。

rFVIIaは以上のような利点をもちますが、現行の製剤では効果を示さない症例も存在します。また、止血完了まで繰り返し静脈内投与が必要であるという利便上の問題も残っています。

これらのrFVIIaの欠点を克服するため、より止血作用に優れた製剤や、血中半減期を長くした製剤を、現在複数のメーカーが開発中です。

 

【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 02:25| 出血性疾患