金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年06月07日

血液専門医試験対策:DICの病態など

リンク:播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)


血液専門医試験対策として、DICは重要疾患の一つになります。
シリーズで、ブログ記事化したいと思います。


DICの病態(血液専門医試験対策)

播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)は、基礎疾患の存在下に全身性持続性の著しい凝固活性化をきたし、細小血管内に微小血栓が多発する重篤な病態です。凝固 活性化と共に線溶活性化がみられますが、その程度は基礎疾患により差違がみられます。進行しますと血小板や凝固因子と言った止血因子が低下し、消費性凝固障害の病態となります。

DICの二大症状は、出血症状と臓器症状ですが、臨床症状が出現しますと予後は極めて不良となりますので、臨床症状の出現がない時点で治療開始できるのが理想です。DICの三大基礎疾患は、敗血症、急性白血病、固形癌ですが、その他にも多くの基礎疾患が知られています。

敗血症においては、lipopolysaccharide(LPS)やTNF、IL-1などの炎症性サイトカインの作用により、単球/マクロファージや血 管内皮から大量の組織因子(tissue factor:TF)が産生され、著しい凝固活性化を生じます。また、血管内皮上に存在する抗凝固性蛋白であるトロンボモジュリン (thrombomodulin:TM)の発現が抑制されるため、凝固活性化に拍車がかかることになります。さらに、血管内皮から産生される線溶阻止因子 であるプラスミノゲンアクチベータインヒビター(plasminogen activator inhibitor:PAI)が過剰に産生されるため生じた血栓は溶解されにくい病態になります。

一方、急性白血病や固形癌などの悪性腫瘍においては、腫瘍細胞中の組織因子により外因系凝固が活性化されることが、DIC発症の原因と考えられています。血管内皮や炎症の関与がほとんどない点において、より直接的な凝固活性化の病態となっています。


(続く。。。)

血液専門医試験対策:DICの疫学
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【リンク】

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 02:49| DIC | コメント(0)

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