金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年10月20日

血友病Aに対する血漿 or 遺伝子組換え第VIII因子製剤とインヒビター

血友病治療においてインヒビターを発症することは、現在においても大きな問題になっています(参考:後天性血友病血友病)。

この場合、血漿由来の第VIII因子製剤と、遺伝子組換え第VIII因子製剤で、インヒビター出現の仕方に差があるかどうかは、議論になってきた点です。

今回紹介させていただく論文はこの点を論じています。


「未治療血友病Aに対して血漿または遺伝子組換え第VIII因子製剤を輸注した場合のインヒビター発症率


著者名:Iorio A, et al.
雑誌名:J Thromb Haemost  8: 1256-1265, 2010.


<論文の要旨>

血友病Aに対して、血漿由来第VIII因子製剤(pdFVIII)または遺伝子組換え第VIII因子製剤(rFVIII)を輸注した場合に、インヒビター発症率は異なるのではないかと考えられてきました。

しかし、文献的には相反する報告が見られています。


著者らは、未治療血友病A(previously untreated patients; PUPs)に対してpdFVIIIまたはrFVIIIを投与した場合のインヒビター発症率を文献的にレビューしました。

検討対象の全報告より症例を集積して再解析を行いました。


その結果、24の報告から2,094例(pdFVIII治療1,167例、rFVIII治療927例;年齢中央値9.6ヶ月)が集積され、420症例においてインヒビターを発症していることが判明しました。

このうちpdFVIIIでは14.3%(10.4〜19.4)、rFVIIIでは27.4%(23.6—31.5)のインヒビター発症率であり、high responderはpdFVIII 9.3%(6.2〜13.7)、rFVIII 17.4%(14.2〜21.2)でした。

ただし、試験方法、試験期間、検査を行う頻度、追跡期間を考慮するとこの差は有意ではありませんでした。

以上、PUPの血友病Aにおけるインヒビター発症率が、rFVIIIまたはpdFVIIIのいずれかによって異なるかどうかを明らかにするためには、無作為コントロール試験が必要と考えられました。

 

【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:18| 出血性疾患