金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年10月23日

濃縮フィブリノゲン製剤、クリオプレシピート

今回の論文は、血栓止血学会誌からです。

<参考>

血栓止血の臨床 研修医のために(日本血栓止血学会HPより)
http://www.jsth.org/publications/index3.html
非学会員でも、IDやパスワードなくフリーで閲覧可能です。

 

 


「大量出血時における濃縮フィブリノゲン製剤、クリオプレシピートの有効性

著者名:高松純樹。
雑誌名:日本血栓止血学会誌 21:409-411, 2010.


<論文の要旨>

24時間以内に循環血液量を超える大量出血時にはその原因がいかなるものであれ、もともと凝固能に異常がない患者であっても、凝固因子の漏出、産生不足を生じ、結果として凝固因子が枯渇し、さらに大量出血を来すこことが明らかにされています。


基礎疾患が大血管病変や、肝疾患、産科DICの場合にはさらに出血が顕著となり致命的なこともあります。

従って、このような病態においては積極的な検査(特にフィブリノゲン値と血小板数)を施行し、早め早めの対応が求められます。


フィブリノゲンは凝固の最終基質であり、代替となる因子はないにもかかわらず循環血液量の1.4倍前後の出血で止血レベル以下に低下します。


このような病態には輸血療法による止血以外に方法はありませんが、濃縮フィブリノゲン製剤もしくはクリオにより短期間(一気)にフィブリノゲン値を上昇させる積極的なフィブリノゲン補充が必要です。

 

 【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:58| 出血性疾患