金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2010年11月17日

敗血症と凝固・DIC(7)活性化プロテインC(APC)の今後

敗血症と凝固・DIC(6)活性化プロテインC(APC)臨床試験より続く

関連記事:播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

 

敗血症と凝固・DIC(7)敗血症に対する活性化プロテインC(APC)の今後

現在、最も重症の敗血症病態と言える「敗血症性ショック」に対するrhAPCの臨床試験が進行中で、その結果が注目されています。

今後は、出血の問題を解決するための方法として、どのような凝血学的検査でモニターするのか(血小板数、PTAPTTなどのグローバルマーカー:PT&APTTなど:のみで良いのかどうか)、凝血学的検査や臓器障害の状況により投与量を変更させる必要があるのかなども検討される必要があるのではないかと考えられます。

また、有効性を向上させるために投与開始タイミング、投与期間、他の合併症の評価、併用薬の是非も重要な検討課題ではないかと考えられます。

特に、ヘパリン類(未分画ヘパリン、低分子ヘパリン、ダナパロイド)やアンチトロンビン製剤に関して併用の是非、投与量により是非が変わるのかどうかなど、大変気になるところです。

なお、APCに対する新たな抗体の出現も懸念されましたが、過去のrhAPCに関する臨床試験時の検体を検査したところ、rhAPC治療群とプラセボ治療群間には抗体出現率に有意差はありませんでした(それぞれ、1.5%、1.6%;p=0.72)。

 (続く)敗血症と凝固・DIC(8)活性化プロテインC(APC)の抗炎症効果 へ

 

【リンク】

血液凝固検査入門(図解シリーズ)

播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:34| DIC