金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年11月16日

治療前診断:咳喘息・アトピー咳嗽・副鼻腔気管支症候群6

SBS:咳喘息・アトピー咳嗽・副鼻腔気管支症候群5 より続く。

 

咳喘息・アトピー咳嗽・副鼻腔気管支症候群(6):治療前診断

湿性咳嗽ならば副鼻腔気管支症候群が大部分です。

副鼻腔異常(咳払い、後鼻漏、上顎洞X線写真にて粘液貯留像や粘膜肥厚像)に、喀痰中好中球増多を認めれば確率が高くなります。

さらに喀痰が膿性であり、喀痰中に慢性気道感染症の起因細菌が同定されれば、診断確率はさらに高くなります。


乾性咳嗽では、アトピー咳嗽咳喘息の鑑別が問題となります。

治療前診断は、表(アトピー咳嗽と咳喘息)に示した病態を全て検査して行う「病態的診断」が理想的ですが、一般臨床ではこれらを全て実施して診断することは不可能です。


そこで日本咳嗽研究会および日本呼吸器学会では、臨床研究をする際の対象患者の選択基準としての「きびしい診断基準(診断基準)、病態的診断」と、日常臨床で患者を診療する際の手引きとしての「あまい診断基準(簡易診断基準)、治療的診断」を準備しました。

藤村政樹、亀井淳三、内田義之、新実彰男、内藤健晴、塩谷隆信、西耕一、藤森勝也. 慢性咳嗽の診断と治療に関する指針. 藤村政樹 監修、日本咳嗽研究会・アトピー咳嗽研究会発行、前田書店、金沢、2006.

咳嗽に関するガイドライン.日本呼吸器学会咳嗽に関するガイドライン作成委員会編、日本呼吸器学会、東京、2005.

 

 (続く)治療的診断(図):咳喘息・アトピー咳嗽・副鼻腔気管支症候群7

 

【関連記事】  咳嗽の診断と治療
1)ガイドライン
2)咳嗽の定義 & 性状
3)急性咳嗽
4)遷延性咳嗽 & 慢性咳嗽
5)咳嗽の発症機序
6)診断フローチャート
7)咳喘息
8)アトピー咳嗽 vs. 咳喘息
9)副鼻腔気管支症候群(SBS)
10) 胃食道逆流症(GERD)
11)慢性咳嗽&ガイドライン

【リンク】
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:26| 咳嗽ガイドライン