金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2011年12月07日

富山県赤十字血液センター:吉田喬先生(金沢大学第三内科)


富山の輸血事業:吉田喬先生(金沢大学第三内科)
より



富山の輸血事業に従事して(2)


富山県立中央病院では多くの造血器腫瘍に対して化学療法、造血幹細胞移植を行ってきたため、富山県内で最も多くの血液製剤を扱い、患者さんのためとはいえ、時間外、休日を問わずに血液製剤を発注してきたことを思い出します。

今回血液製剤を供給する立場となり、半年(註:本原稿執筆時点)が経過しましたが、献血者確保のための各種イベントの開催、採血の安全性の確保、より安全な輸血医療のための遡及調査、迅速で効率的な対応が要求される供給など、それぞれの業務において、多くの職員の皆さんの努力のおかげで成り立っていることを再認識させられています。 


富山県赤十字血液センターに来まして初めて知りましたが、日本赤十字社の血液事業は効率を上げるため広域化、集約化が進められています。

3月11日の東日本大震災はまだ記憶に新しいところですが、震災直後はすぐにできるボランテイア活動として富山県のみならず北陸及び全国的に多くの方に献血に協力して頂きました。

しかしながら阪神淡路大震災と異なり、被災された方の多くは津波による轢死が多くて、輸血を必要とするような手術は少なく、病院も被害を受けて手術件数が減少したこともあって、東北の輸血使用料はむしろ例年より少なくて済みました。

しかし東北ブロックの拠点となる予定の宮城センターが被害を受けて、輸血の検査、供給ができなくなり、関東から応援することになり、当センターも含めた全国の血液センターから供給の応援に行き、乗り切ることができました。

今回は未だ青森、秋田、福島の地域センターの検査、製造の機能がまだ残っていましたから乗り切ることができましたが、完全に宮城に移行してから震災が発生していれば、青森、秋田、福島への血液の供給も必要となり、今回より広範囲の応援が必要で、東北の医療機関に支障なく対応できたかどうかわかりません。

北陸三県も愛知ブロックに統合する方向で検討されてきましたが、今回のような大災害のみならず、北陸は毎冬雪によって閉ざされることもまれではないため、石川に検査、製造の機能を残すように働きかけて何とか踏みとどまっているところです。


(続く)富山のHUSと輸血:吉田喬先生(金沢大学第三内科)




【リンク】
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:31| 血液内科