金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年01月17日

後天性血友病A診療ガイドライン(治療):血栓止血学会


後天性血友病A診療ガイドライン(診断):血栓止血学会より続く。

日本血栓止血学会
からの後天性血友病A診療ガイドラインの紹介を続けます。

ここでは、要旨のみを紹介させていただきますが、診療にあたっては必ず全文を熟読していただければと思います。

今回は治療編です。

(参考)血友病後天性血友病PT-INRAPTT第VIII因子インヒビター



後天性血友病A診療ガイドライン(治療)


著者名:田中一郎、他。:
雑誌名:日本血栓止血学会誌 22: 295-322, 2011.


<要旨>
(ほぼ論文からの転写です)

止血治療


8.    生命予後に直結する臓器出血もしくは貧血の進行をともなう軟部組織への出血に対しては速やかに止血治療を開始すべきである。

9.    止血治療として遺伝子組換え活性型凝固第VII因子製剤(rFVIIa)もしくは活性系プロトロンビン複合体製剤(APCC)を第一選択とする。ただし、両製剤のうちどちらがより有効かをあらかじめ予想することは困難である。

10.    インヒビター力価が低く、かつFVIII:Cが検出される場合にはDDAVPもしくは第VIII因子製剤の使用も考慮される(参考:止血剤の種類)。ただし、その効果判定にはFVIII:Cを注意深くモニタリングする必要がある。


免疫抑制療法

11.    本症では重症、致死的な出血をきたすことがあり、診断後直ちに免疫抑制療法を開始すべきである。すなわち、重篤な出血はもちろん、軽度の出血ですぐに止血治療を必要としない場合でも免疫抑制療法を直ちに開始すべきである。

12.    免疫抑制療法はPSLの単独療法を基本とし、PSLの初期投与量は原則1mg/kg/日とする(保険適応あり)。

13.    患者の年齢や基礎疾患、インヒビター力価、出血症状、これまでの免疫抑制剤の使用歴などを勘案した上で、より強力な免疫抑制が必要であり、かつ、患者が忍容できると判断される場合には、PSLとCPAの併用療法も考慮する。CPAは50〜100mg/日の経口投与を基本とするが、高齢者などで感染症などの副作用のリスクが高いと判断される場合にはCPAパルス療法も考慮する(保険適応なし)。

14.    妊娠中あるいは妊娠の可能性のある女性に対しては、CPAや他のアルキル化剤の使用を避けるべきである。

15.    免疫抑制療法の効果はインヒビター力価の低下の程度を最も重視する。すなわち、治療開始後、順調にインヒビター力価が低下する場合は適時投与量を漸減するが、4〜6週間たってもインヒビター力価が低下しない場合は、薬剤の追加や変更を考慮する。

16.    PSLとCPA以外の免疫抑制剤は、CyA、AZP、rituximabなどの中から選択する(保険適応なし)。また、高用量γグロブリン製剤の単独投与あるいは併用は推奨されない。

17.    本症の死因の約半数は感染症に起因するとの報告があり、免疫抑制療法中は免疫機能を十分に評価しながら、感染症の予防ならびに早期発見に努めるべきである。

18.    治療終了後に再燃をきたす症例が報告されており、寛解後も長期にわたる慎重なフォローアップが勧められる。


【リンク】
 
血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:16| 出血性疾患