金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年04月12日

活性化プロテインC(APC)と敗血症

活性化プロテインC(APC)は、日本ではDICを対象に臨床試験が行われ有用性が報告されましたが、認可されませんでした。

関連記事敗血症と凝固・DIC/抗炎症効果 <インデックス>

Aoki N, et al. A comparative double-blind randomized trial of activated protein C and unfractionated heparin in the treatment of disseminated intravascular coagulation. Int J Hematol. 2002; 75: 540-7.

一方、欧米では敗血症に対するAPCの効果が期待されてきましたが、有用性はないということで昨年に市場から撤退しました。N Engl J Medに報告された内容が、否定されたことになりますので、とても衝撃的です。

Bernard GR, et al. Efficacy and safety of recombinant human activated protein C for severe sepsis. Recombinant human protein C Worldwide Evaluation in Severe Sepsis (PROWESS) study group. N Engl J Med. 2001; 344: 699-709.

Martí-Carvajal AJ, et al. Human recombinant activated protein C for severe sepsis. Cochrane Database Syst Rev. 2012; 3: CD004388.

 Thachil J, et al. The withdrawal of Activated Protein C from the use in patients with severe sepsis and DIC [Amendment to the BCSH guideline on disseminated intravascular coagulation]. Br J Haematol. 2012 Jan 9. doi: 10.1111/j.1365-2141.2011.09019.x. [Epub ahead of print]

 

「敗血症に対する遺伝子組換え活性化プロテインC(APC)」

著者名:Martí-Carvajal AJ, et al

雑誌名:Cochrane Database Syst Rev. 2012 Mar 14; 3: CD004388


<論文の要旨>


著者らは、重症敗血症および敗血症性ショックに対するAPCの有効性と安全性を検証しました。

無作為化比較試験(RCTs)の結果を集積しました(CENTRAL、MEDLINE、EMBASE、BIOSIS、CINAHLより)。


全部で5つのRCTs(5,101例)での検討になりました。

重症敗血症の成人患者に対してAPCを投与しても28日後の死亡率を低下させませんでした。

また、APCの使用により出血の有害事象が増加しました(RR1.47、p=0.01)。

小児患者においても、APCは死亡率を低下させませんでした。

解析に用いられた臨床試験では特に大きな限界があった訳ではありませんが、ほとんどの臨床試験において一次エンドポイントやプロとコールの修正が行われていました。


APCが重症敗血症や敗血症性ショックに対して有効という証拠は得られませんでした。

加えて、APCにより出血の有害事象が増加しました。

以上、APCは使用すべきでないと考えられました。
(2011.10.25.に, PROWESS-SHOCK study の結果を受けて、Xigris (APC/、drotrecogin alfa) の市場からの撤退が決定されました。今回の解析はPROWESS-SHOCK studyの結果もふまえて、将来アップデートされる予定です)


<コメント>

敗血症に対するAPCの有用性を否定することになった報告ですが、実際にこの後APCは全ての市場、臨床試験から撤退するという結論になっています(本記事アップ時点では、PROWESS-SHOCK studyの全貌は公開されていません)。

ただし、注意すべき点は、これらの臨床試験や検討は、敗血症に対するAPCの有用性を検証したものであって、DICに対する評価ではないことです。

APCがDICに対して有用であるという本邦での臨床試験の報告がありますが、現在の医学標準からすると十分な臨床試験とは言い難く、APCがDICに対して有用かどうかは不明です。

 

<リンク>

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:36| DIC