金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年05月12日

厚生労働省DIC診断基準の改訂へ(8)

厚生労働省DIC診断基準の改訂へ(7)より続く。

DIC改訂案

 

DIC診断基準の改訂へ(8)

8)    備考

DIC臨床レベル向上のため、有用な情報を備考欄で提供すべきと考えられます。


FDP

DIC診断で最も重要視されるFDPですが、FDP上昇をきたす他疾患(深部静脈血栓症、肺塞栓、大血腫、大量胸腹水、術後など)の鑑別は重要です。

特に、DICに深部静脈血栓症や肺塞栓も合併することがあるため、DIC診断基準を満たしていても下肢静脈エコーを積極的に施行すべきと考えられます。


PT

ビタミンK欠乏症や肝不全などでも延長する点に注意が必要です。


TAT

採血困難例やルート採血などではartifactで上昇することの注意喚起が必要と考えられます。


線溶活性化マーカー


PIC、α2PI、プラスミノゲンは、線溶亢進型DICの診断に必要です。


予後判断マーカー


DICの診断に直結していなくても予後と関連するマーカーを紹介すべきと考えられます。
具体的には、アンチトロンビン著減例、PAI著増例、HMGB-1著増例では予後不良です。

(続く)厚生労働省DIC診断基準の改訂へ:インデックス

 

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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:27| DIC