金沢大学・血液内科・呼吸器内科
※記事カテゴリからは過去の全記事をご覧いただけます。
<< 前のエントリトップページ次のエントリ >>
2012年07月09日

可能性トロンボモジュリンと血友病

今回紹介させていただくBlood誌の論文は、抗凝固薬である可能性トロンボモジュリン(参考:リコモジュリントロンボモジュリン)が、出血性疾患である血友病に有効かもしれないというトリッキーな論文です。

本当なら、かなりビックリですが、Bloodでの報告ですから、重みがあります。


参考:血友病後天性血友病


「可能性トロンボモジュリンは血友病全血のクロット安定性を高める」

著者名:Foley JH, et al.
雑誌名:Blood 119: 3622-3628, 2012.


<論文の要旨>

Solulinは可溶性トロンボモジュリンです。

第VIII因子欠乏血漿のクロット溶解時間は、TAFIaを介した機序により延長することが知られています。

著者らは、血友病のヒトおよび犬から採血し、トロンボエラストグラフィー(TEG)による組織因子惹起フィブリン形成能およびt-PA溶解能を評価しました。


その結果、重症血友病Aにおいては、Solulin存在下でクロット安定性は4倍以上となりました(溶解能への影響はごくわずかでした)。

第VIII/IX因子製剤による予防投与を受けている症例においても、Solulinで同様の効果が得られました。

低濃度状態ではトロンビン- Solulin複合体の効果は、プロテインC活性化よりもTAFI活性化に対して優位でした。

血友病イヌの検討では、Solulinを投与することによりクロットが強固になりました(TEGによる評価)。


以上、Solulinが低濃度であれば血友病ヒト(in vitro)と血友病イヌ(in vivo/ex vivo)において、抗線溶活性が優位に発揮されるものと考えられました。

この知見は、低濃度Solulin(可溶性トロンボモジュリン)が血友病の新たな治療戦略になる可能性を示していると考えられました。


<リンク>

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:07| 出血性疾患