金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年10月14日

ダビガトランおよびリバーロキサバンの中和

論文紹介をさせて続けさせていただきます。

参考:血友病後天性血友病rFVIIa。、プラザキサ vs ワーファリン(心房細動)新規経口抗凝固薬


「ダビガトランおよびリバーロキサバンの抗凝固活性に対する非特異的中和剤の効果(健常人を対象としたex vivoの検討)」

著者名:Marlu R, et al.
雑誌名: Thromb Haemost 108: 217-224, 2012.


<論文の要旨>

新規経口抗凝固薬であるダビガトランやリバーロキサバンにおいて出血合併症の対処が問題となっています。

著者らはトロンビン形成能をマーカーとして、これらの薬剤の抗凝固活性に対する各種中和剤の効果を検討しました。


白人健常男性10名に対して、リバーロキサバン20mgまたはダビガトラン150mgのどちらかを1回経口投与して、ex vivoの検討を行いました。2週間のwashout期間の後に、もう一方の抗凝固薬を内服しました。

採血は、薬物内服前(H0)および2時間後に行った。ex vivoでの抗凝固薬の中和は、各種濃度のプロトロンビン複合体製剤(PCC)、rFVIIa、FEIBAで行いました。


リバーロキサバンは、内因性トロンビン能(ETP-AUC、トロンビン形成最大値)、lag-time、ピークまでの時間に影響を与えました。

PCCは強力にETP-AUCを是正しましたが、rFVIIaの効果はマイルドでした。FEIBAは全てのパラメータを正常化しました。


ダビガトランは、lag-timeおよびピークまでの時間の延長を伴うトロンビン形成動態に影響を与えました。

PCCはETP-AUCを上昇させたものの、lag-timeも是正したのはrFVIIaとFEIBAのみでした。

どちらの抗凝固薬に対しても、少量(通常量の1/4〜1/2)のFEIBAが中和能が最も強力でした。


臨床応用可能かどうかについては、今後の慎重な臨床試験による検討が必要です。

 

<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
金沢大学血液内科・呼吸器内科HP
金沢大学血液内科・呼吸器内科ブログ
研修医・入局者募集
 

 

投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:09| 出血性疾患