金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2012年12月23日

血友病患者と高血圧症

論文紹介です。

参考:血友病後天性血友病rFVIIa


血友病患者では高血圧症の発症率が高い

著者名:Fransen van de Putte DE, et al.
雑誌名:Thromb Haemost 108: 750-755, 2012.


<論文の要旨>

血友病患者では高血圧症の発症頻度が高いと指摘されてきましたが、バイアスのかかっていない大規模試験はありませんでした。

著者らは血友病701症例での検討を行いました。

30才以上血友病のオランダ人386例、英国人315例で血圧(BP)の測定を行い、年齢の一致した一般人男性と比較しました。

BP140/90mmHg以上および降圧剤内服中の症例を高血圧症と診断しました。

49%の症例は重症の血友病でした。平均年齢は49.8歳でした。


その結果、血友病患者での高血圧症罹患は49%であり、一般人男性40%と比較して有意に高率でした。

血友病重症例においては、非重症例と比較して高血圧症の罹患率は高かったですが、血友病のタイプ別、国別の差はみられませんでした。

70%の症例では複数回の血圧測定が行われたが、同様の結果でした。

高血圧症と、腎不全、腎出血率、HCVやHIVの感染との関連はみられませんでしたが、肥満や年齢との関連はみられました。


以上、血友病患者における高血圧症発症率は一般人男性よりも高いものと考えられました。この理由については不明でした。

30歳以上の血友病患者においては、血圧測定を標準的診療内に含めるべきと考えられました。
 

<リンク>

血液凝固検査入門(図解シリーズ)
播種性血管内凝固症候群(DIC)(図解シリーズ)
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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:33| 出血性疾患