金沢大学・血液内科・呼吸器内科
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2013年06月02日

医師国家試験:紫斑、点状出血、血小板低下

医師国家試験対策

 

3歳の男児。

紫斑を主訴に来院した。

2週間に38.7℃の発熱が2日間続き、近医で咽頭炎と診断された。昨日から全身に赤〜紫色の点状の皮診が出現している。診察前に鼻出血があり、止血に20分を要した。

体温36.9℃。脈拍88/分、整。全身の皮膚に紫斑を認める。口腔内に粘膜出血を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦で、肝•脾を触知しない。

血液所見:赤血球340万、Hb10.5g/dl、白血球6,700、血小板0.6万

血清生化学所見:AST31IU/l、ALT28IU/l、LDH284IU/l(基準176〜353)。CRP0.1mg/dl。

骨髄塗抹染色標本:巨核球の増加


【ポイント】

紫斑を主訴に来院した3歳の男児です。先行する上気道感染症がみられています。

紫斑の患者で上気道感染症がみられる場合は、急性ITP(成人に多い慢性ITPは含まれない)、アレルギー性紫斑病などを思い浮かべながら、病歴を聴取します。

全身に赤〜紫色の点状の皮疹が出現していますが、点状出血でしょうか。

紫斑の性状によってもある程度疾患の絞り込みが可能です。

鼻出血の止血に20分も要しており、加えて口腔内出血があり、高度な出血症状がみられています。

外来では血液検査の結果が未着であっても、入院も想定した対処が必要です。

紫斑の種類と病態


・    点状出血(petechiae、径1〜5mm):血小板や血管が原因。

・    斑状出血(ecchymosis、径数cm以内):凝固異常が原因。


・    びまん性出血(suggillation、面積の比較的大きな皮下出血):凝固異常が原因。


【病態】

血液検査では、血小板数の著しい低下が最も際立った所見です。

軽度の貧血も見られていますが、それ以外には特に大きな所見はみられていません。

LDHは全く正常であることも注目しておきたいです。

血小板数が著減する疾患の中には、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、溶血性尿毒症症候群(HUS)、急性白血病などもありますが、これらの疾患ではLDHが上昇します。

骨髄像では、巨核球が増加しています。

特発性血小板減少性紫斑病性
(idiopathic thrombocytopenic purpura:ITP)と診断されます。

近年は、免疫性血小板減少症(immune thrombocytopenia:ITP)とも言うようもなりました。

血小板に対する自己抗体が出現して、脾臓で血小板が破壊されます。

典型例では、骨髄像での血小板産生が代償性に亢進しているために幼若な血小板が流血中に多くなり、幼若血小板比率(immature platelet fraction:IPFが高くなります。

幼若な血小板は大きいために、ITPではしばしば巨大血小板が出現します。

小児ITPでは急性型が約8割を占め、ウイルス感染が先行する場合が多いです。

慢性型は成人ITPに多く、原因は特定できないことが多いです。

出血性疾患の病態別にみた分類を示します。

出血性疾患の病態別にみた分類

1)    血小板数の低下:ITP、TTP、HUS、HELLP、再生不良性貧血、急性白血病、播種性血管内凝固症候群(DIC)(3、4の要素も)など。

2)    血小板機能の低下:血小板無力症、von Willebrand病(3の要素/APTT延長も)、NSAID(アスピリンなど)内服など。

3)    凝固異常血友病A& B後天性血友病ビタミンK欠乏症など。

4)    線溶過剰亢進:線溶亢進型DIC(1、3の要素も)など。

5)    血管壁の異常:アレルギー性紫斑病、単純性紫斑、老人性紫斑など。


【治療】

急性ITPでは、副腎皮質ステロイドが第一選択薬です。多くの場合には効果が期待できます。

慢性ITPでは、ピロリ菌が陽性であれば、除菌療法をまず行います。半数以上で血小板数の回復がみられます。

ピロリ菌陰性または除菌療法の効果がみられなかった場合には、副腎皮質ステロイドを投与します(ただし、血小板数1〜3万程度に低下していても出血症状が軽度であれば経過観察することも少なくないです)。

ステロイドが効かない場合には脾摘を行います(寛解率は約60%)。

平成23年度よりITPに対してトロンボポエチン受容体作動薬が保険適用となりました。

脾摘が無効の時やステロイド抵抗性で脾摘が困難である場合には同薬が考慮されます。



【参考】


血小板数低下以外に大きな所見がなく骨髄巨核球が増加していれば、特発性血小板減少性紫斑病性(ITP)を考えます。

小児に多い急性ITPでは、しばしば先行するウイルス感染症がみられます。




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投稿者:血液内科・呼吸器内科at 01:53| 医師国家試験・専門医試験対策